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33-4・ゴウちゃん再び

 南都市サウザンには、薄暗くなる頃に到着した。カミフ様への面会は翌日でも良いんだろうけど、豪邸に押し掛けて、ガラの悪い受付の人に取り次ぎをお願いする。


「申し訳ないがカミフ様は外出中じゃ」

「明日は在宅ですか?」

「さぁなぁ・・・気紛れな人じゃけぇ解らん」


 少しでも早く武藤さん(調合師)を連れてきた報告をしたかったのに、カミフ様は留守だった。


「仕方が無い。出直そう」


 ガラの悪い受付の人に聞いたら、由井さん&我田さん&輪島さんは町外れの安宿に泊まっているらしい。仲間達に合流をするために向かう。しかし、部屋には誰もいなかった。


「僕等がいつ帰ってくるか解らないんだから、部屋で待っているわけがないよね」


 宿の主に聞いたら、由井さんはカミフ屋敷の近くにある酒場に務めているらしい。愛想の良い・・・てか、酒場と言えば、酔っ払った中年男性が多そうなイメージなので、オッサンキラーの由井さんにはピッタリの仕事だ。


「行ってみよっか!丁度良いから、そこで夕食にしよう」

「サウザンに到着して、この宿の近所を素通りしてカミフ屋敷に直行して、

 門前祓いされて3㎞くらい離れた宿まで戻ってきたのに、

 またカミフ屋敷の周辺に行くのか?」

「・・・う、うん」

「段取り悪すぎだろう。町中だけで何キロ歩かせるつもりだ?

 既にトンナンからサウザンで50㎞近く移動してんだぞ」

「そうなっちゃうね。なんか、すみません」


 早速、武藤さんからのキツいダメ出しが飛んで来た。だけど、カミフ様が不在ってこと、仲間達の宿、由井さんのバイト先、どれも知らなかったんだから仕方無いじゃん。まぁ、大元まで突き詰めれば、「サウザンからトンナンに向かう前に、仲間の宿と職場くらい把握しとくべきだった」って話なんだけどさ。



 由井さんのバイト先に言ったら、見たことのあるヤク○ふうの中年男性が、カウンター席を陣取って、由井さんをほぼ独占状態にして会話をしていた。


「えっと・・・誰だっけ?」


 由井さんが「パパ」と呼ぶのが強烈すぎて、そればかりが記憶に残り、名前を忘れてしまった。


「・・・ゴウちゃん、だったっけ?」

「そうそう、ゴウちゃんさんだ」

「パパって、由井とも仲が良いのか?」

「・・・・・・・・ん?」


 武藤さんが想定外の単語を発信。僕は我が耳を疑って、真田さん&吉見くんと視線を合わせる。


「あ・・・あの・・・武藤さん達、ゴウちゃんさんのこと知ってるの?」

「・・・ってゆーか、パパ?」

「ああ、実の父親じゃねーけどパパって呼んでる。

 パパのお陰で、今まで食い繋げたようなもんだな。

 カミフさんとのツテや、トンナンの家を準備してくれたんだ」


「仕事の斡旋はともかく、家をくれたの?援交の見返り?

 むとちゃんとゴウさんって、そーゆー関係なの?」


 僕と吉見くんが戸惑いながら言葉を選んでいたら、真田さんが踏み込んだ追及をしてくれた。


「違う違う!パパがトンナンに来た時に、一緒に飯を食うだけ。

 援交みたいな卑猥な関係じゃねーよ」

「いやいや、援交でしょ・・・てか、家をもらうなんて、ほぼ愛人でしょ」


 見た目が幼い由井さんは「援交」で、大人っぽい雰囲気の武藤さんは「愛人」。なんかもう、真田さんの単語のチョイスがバッチリとハマりすぎている。

 ゴウちゃんさんの職業は「遊び人」らしいけど、どうやって稼いでいるんだろう?他人に家を提供するなんて、よほど稼がないと不可能だ。ダチのカミフ様にたかってるのかな?


「パパの愛人かぁ・・・現実世界に戻れなかったら、それも悪くないな」


 武藤さんが否定をしない所為で、楠木くんの機嫌がちょっとだけ悪くなった。だけど、武藤さんは一切気にせずに、ゴウちゃんさん&由井さんのいるカウンター席に寄って行って、隣の椅子に座る。


「どもっ!ゴウパパの愛人でぇ~す!」

「あっ!ムッキー、いらっしゃいっ!」 

「おうっ!来たか、ムツキ!酒飲むか?」

「もちろん飲む!パパのおごりだろ?」

「ムッキー未成年だよ」

「ここは現実世界じゃねーんだから良いんだよ!

 まぁ、現実世界でも飲んでるけど」

「がっはっはっは!頼もしいじゃねーか!

 なんでもおごっちゃる!好きなモンを飲めや!」

「ムッキーに、お店で一番高いお酒入りま~す!」


 なんか、早速盛り上がってる。僕等も合流するべきだろうか?ゴウちゃんさんと、援交相手(由井さん)と、愛人(武藤さん)で楽しく会話をしているのに、邪魔をするのは申し訳が無い気がする。だからって、声をかけないのも違う気がする。



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