この日がやっと
とうとう待ちに待った時が来た、シシリーの成人がやって来る。
「やっとこの日々が終わるのね」
「そうですね、やっと母から解放されるチャンスが」
「はい、油断は禁物ですが」
はぁーっと3人でため息を付きながら、
真夜中の屋根裏部屋に集まりしみじみと語る。
これからの予定としては、役所に行きシシリーの成人証明を取り男爵位を継承し、母から代理を剥奪。
私達はシシリーを暫く補佐をした後平民になり、
私は今働いている服飾店に住み込みで就職。
姉様は劇団のお抱えメイク係として団員が住んでいる宿舎に住む予定だ。
まぁ、シシリーと縁を切るわけでもないので文通や、たまには会いに来てもらうつもりだ。
ただ一つ問題が起こった
「これ、全員出席しないとマズイわ」
「ですよね、よほど重病ではないかぎり出席しなければ不敬になりそうです」
3人がそろって見ている物は各自の名前が書かれた王城からの舞踏会の招待状
今日の早朝に届いたコレに母が大喜びしたが、
シシリーの名前が書かれた物もあるのが分かり、
ヒステリックに叫びながら破り捨てようとした所を私達が慌てて自分達があの子の前で破り捨てるからと、
何とか回収できてホッとするという一幕があり、
その後も母はドレスやアクセサリーなどの準備に巻き込まれ、やっとこの時間で話し合いとなった。
「よりにも寄って開催日が成人の日と重なるなんて」
タイミングが悪かった、開催時間が夜とはいえど朝は着替えやメイクに時間を取られ、役所に行く暇がない、これではすぐに申請はできない。
「仕方がないわ、こればかりは舞踏会を優先して次の日急いで役所にいきましょう。」
「それしかないですね」
「わかりました。」
取り敢えず、舞踏会をどう乗り越えるか話し合わなければ。