私の家族2
男爵家に連れてこられた私達は早々とシシリーを紹介された。
「はじめまして、シシリーと申します。」
お目々パッチリのかわいいした女の子にふんわり笑顔であいさつをされて、私は心の中で喝采した。かわいい義妹が出来たと。
姉もそう思ったのか笑顔を浮かべて
「ワタシはアデル、こっちの子は妹のマリンよ。
これからは姉としてよろしくね。」
「はいっ、よろしくお願いします。」
と和やかなムードで会話を行なったけれど、母が紹介され会話が始まると、その様子を見ていた私は不安を覚え姉に小声で耳打ちをした。
「母様の目が笑ってないよねアレ」
「そうね」
母がシシリーと笑顔で会話をしているが、母の事をよく知っている私達からすればアレは愛想笑いで目が笑っていないとすぐにわかった。でもシシリーと男爵は気がついていないみたい。
「とりあえず、様子をみるしかないわ」
「わかったわ」
2人で頷き合うと、頃合いを見計らって会話に参加した……
男爵家で暮らし始めて1年くらいまではとても仲がいい家族だったと思う。養父は私達を分け隔てなく優しくしてくれたし、母も素行が控えめだったので比較的平和だった、でも数日後養父が亡くなった。
その日はシシリーの誕生日プレゼントを買いに馬車で出掛けた先で飛び出した動物を避けようとして横転、馭者は何とか生命は取り留めたものの重傷、養父は頭を強打し亡くなったとのことだった。
その後のことを私はあまり覚えていない、かろうじて覚えているのは、母と姉が葬儀や色々やっていた事、ショックが酷かったシシリーを私が慰めていた事くらいかな。
それからだ、母が本性を現し始めたのは。