第18話 デカイチゴ
初めて動画を上げた【アムリラちゃんねる】という名前で。
正直俺は、アムダと愉快なエレモンちゃんねるがよかったんだけど、博士がこっちの方がいいと聞かないのでああいう感じになった。
「アムダ様! チャンネル登録者が10万人突破しました!」
「あ、うん。よかった」
「見てくださいよ。博士が可愛いってめっちゃ書いてある」
「……納得いかない、なぜジーググラモンがかっこいいというコメントで溢れないのか……これがわからない」
「あ、地雷踏んじゃいました?」
ラリラ博士が可愛いと言うコメントで動画は溢れていた。勿論、ジーググラモンがカッコいいとか沢山書いてはあるけども……
納得いかないわぁ……
「アムダ様、そんなに落ち込んでないで元気出しましょう! この間の動画はすごい人気だったんですから」
「そ、そうだけど」
うーむ、やはり納得がいかない。
「納得いってなさそうですね。取り敢えず、二本目の動画撮りましょう」
「う、うん」
「次はヴェルディオンがいいじゃないですか? 大会で優勝したし、話題性バッチリですよ」
「そ、そっか……」
ヴェルディオンかぁ。このまま動画を投稿し続ければ、お金が手に入るのだろうか。
今居る無人島はまだまだ発展していない。こっから、苗木とか植えて森を作りたい。
なぜなら、エレモンは系統によって住みやすい場所が違うからだ。まずは植物系エレモンが過ごしやすい場所を作る。
その後、火系、水系などを作っていきたい。
植物系は森が好きな個体が多い。最近、苗木とか果物の種子を買いまくっているのは森を作るためだ。森には川なども作らないとな。
「それじゃ、動画を回しましょう!!」
「あ、えと、その前に」
「ん?」
「《《デカイチゴ》》を収穫、したいです……」
さて、暫く島で畑を耕したりしているのだが……ようやく、果物の実がなった!
とは言っても、植えてからほぼ数日で収穫という驚異的なペース。ガーディモン、ファームモンが如何に質がいいエレモンなのかがわかる。流石は俺のエレモンだ!!!!
今回はこれを売って一儲けしたい!!!
なんだかんだでエレフォンを手に入れてから二ヶ月が経過している。
この間に色々とイベントが過ぎ去っていった。うーむ、色々あったなぁ
「とうとう収穫……」
この島は最初【テラゴラム】によってただの大きな大地だった。島を作り上げた時点で直径は10キロ。とても大きな島だ。
島として成立はしているが生活は豊かではない。俺は4000を超えるエレモンが居るが全員にいい生活をさせてやりたい。
この島でただ生活をするだけでは足りないのだ。その為に種子を埋めていた。
本来普通に育てたらもっと時間がかかる果実を、この時点で収穫できるとはね。
「デカイチゴを収穫するんですね! 博士も手伝います!」
ラリラ博士と一緒にデカイチゴを育てている場所に向かう。無人島という荒地に一点だけ、生い茂る場所が存在している。ひまわり畑のように空に木々が数多伸びていた。
「うえ!? う、嘘でしょう!? この島ってこの間で来たばかりなのに!? なんでこんなに立派な木々があるんですか??」
「へへへ」
「いや、へへへじゃないですよ!! エレモンの力を借りても、この短期間で木が育つわけがないですよ!!!」
ラリラ博士が立派な木々を見て、驚愕の声を上げる。確かに通常では考えられないペースでの植物の成長だ。
しかし、特段おかしくはないと思っている。
【エレメンタルモンスターズ・パラダイス】では、エレモンに色んな作業を手伝ってもらうことができた。
例えば果物、高レベルでそれに適したエレモンがすれば、とんでもない速さで質の良いのが作られていく。
これは果物だけではなく、装備や建物もそうだ。島クリエイトシステムと言うオープンワールド的な楽しみがあった。
無人島を自分の理想とするデザインにできる、それはエレモンと協力をすることでハイペースで質の良いのを作ることができる。
高レベル、その作業が得意なエレモンと言うのが大事だけどもね。
ファームモンやガーディモン、俺は基本的にエレモンは一部を限界突破120レベルまで育て上げる。
ここが響いたのだろう。
この世界だとレベルは100までしかないと言われてるけどね。まぁ、限界突破はゲームではクリア後の隠し要素だから知らないのも無理はない。
「ウゲェぇ!! すごいですよ!! デカイチゴがこんなにあるだなんて!! しかも、凄く美味しそうですよ!!」
「へへへ、お、俺のエレモンだから……」
「いや、常識を超えてしまってますよ……これは研究しがいがあります!!」
全ての木に完璧に実がなっているわけじゃない。未だ全部が実っているわけではない。それに木々はまだ10本ほどしか育っていない。まぁ、10本でも凄いんだけどな!!
収穫だな!
『アンタのことを、遠くから見て応援してるわ』
は!? 頭の中にクイーンのテレパシーが響いてきた!!!
クイーンと脳内で会話しながら、ラリラ博士、ファームモン、ガーディモン、武者マルが収穫を行う。
それにしても、すごいなデカイチゴ。真っ赤ないい色だ。大きさはリンゴくらいだろうか。
見ただけでわかる、これは美味しい。そしてこれを育てたのはほぼほぼファームモンやガーディモンだ。
『ファームモンやガーディモンがもっと良い種子だったらもっと育ったし、レベルもダウンしてるからまだまだ改良の余地があるってさ』
「なるほど。種子にも良いとか悪いとかあるのか。そんなのはゲームにはなかった……だが反対にレベルは上がるほど育てる質はスピードが上がるのゲーム通りか」
ゲームとは違う場所とゲームとは同じ点が混在しているのがこの世界だ。そう言った違いもノートとかに纏めた方がいいのだろう。
そして、今回育てた果物。量的にはまだまだ足りないと言っても過言ではない。種子だってもっとあれば大規模に育てられるし。
しかし、種子を大量に仕入れるにはどうしてもお金がいる。お金をどこから引っ張ってくるかが問題だ。
エレモンバーサスでテイマーから巻き上げるのは良心的に悪い。それに時間効率が悪い気もするしね。
大会でお金稼ぎは良い感じがする。ただ、それだけでも足りないんだよな。やはり、今後は動画投稿とかを頑張っていくべきだろう。
「今は頑張って育てた果物を収穫だな! この後のことはこの後に考えれば良い! 今は喜ぶ時だ!」
今回実がなったのは【デカイチゴ】。日本にあるイチゴにそっくりな木の実だ。
そっくりだが日本のイチゴと違う部分がある。先ずは木の実である点、そして大きさが8倍ほどになってリンゴくらいに大きな木の実なっている点だ。
デカいイチゴが木の実としてなっているイメージだ。
『おお! やるじゃない! 一本の木にかなりの数がなっているわ!』
「だよな! 島全体に一個ずつなら与えられるかも……」
『大体一個の木に400くらいなってるらしいわ。まぁ、ギリギリ難しいくらいかもね』
量だけで言えば思っていたよりも多かった。一本の木からこれだけのデカイチゴがなるだなんて。
『ふーん、美味しそうじゃない。アムダ、アンタが王なんだから最初に食べなさい。二口目はクイーンであるアタシによこしなさい』
お、俺が最初でいいのか? そう思ってファームモンやガーディモンを見ると食べろと言っているようにこちらをじっと見ていた。
ラリラ博士は何やらガーディモンとかの写真を熱心に撮っているので無視しよう。
一口食べると……
「旨いな! こう、何て言うか酸味が絶妙だ。でも甘くて食べやすい!!」
『あら、それならアタシも食べようかしら』
「あとで持っていくよ」
武者マルやガーディモン達もデカイチゴを食べている。全員が満足げだ。
「むしゃ!」
『美味しいって言ってるわ』
「ふぁむ? ふぁーむ」
「がでぃ」
『まだまだ改良の余地あるって。もう少し熟した時にとれば甘さがあって良かったって言ってるわ』
クイーンの翻訳便利すぎだろ!? 武者マル、ファームモン、ガーディモンが何を言っているのか全てわかってしまうんだが!?
しかし、かなり大量に仕入れられた。売るのもアリだろうか?
それをまた種子の代金にすれば大きく島を発展させることも可能かもしれない。ラリラ博士にも食べてもらおう。人間の感想もちゃんと聞いておきたいし。
「アムダ様! これめっちゃうまいですよ!!! やばい、今までで1番美味しいです!! これ動画で撮って宣伝して、売りましょうよ!!!」
良いアイデアかもしれないな……。どこで売るかは考えるべきだが……




