新聞を満載した配達用バイクが盗まれた
3年前、東京の西の果てにある多摩地区の東京都福生市とあきる野市にある新聞販売店で新聞配達をちょっとの期間だけしていた。急に人が足りなくなり人を補充する数ヶ月間だけだがなかなかいい所であった。
福生市は米軍基地などが有名。
あきる野市は福生の隣、多摩川の向こうにあるゴルフコースや長閑で自然豊かな所でした。
私が配達した区域はあきる野市の方なんだが山あり川ありたぬきありで自然豊か。田舎に帰った時のような安心感でずっとここに住みたいとさえ思うような治安のよさもあった。
スーパーマーケットやドラッグストアなど店の方も充実しており、福生市の方には大型書店やゲームセンターなどもあった。ただ私の自宅からはかなり遠く、通いで働いていたためあまり行けなかった。時間もなかったしゲームセンターのゲームを楽しむには歳を取りすぎてしまった。
福生からあきる野に行く途中には多摩川と長〜い坂道があり、その坂道を新聞が満載した原付バイクで登ると時速10キロそこそこしか出ないため、後ろに何台か車がある時は坂道を登る前に道路の端に寄って車を先に行かせてから最後尾になるまで待って坂を登る日もあった。
さて、まず最初に道順を覚えなくてはいけないのだが、とある新しめの市営アパートがある所で先輩社員に、ここは配達バイクを盗まれた事があるから必ずバイクのキーを抜いていけ。ときつく注意された。
なぜ新聞が満載された配達バイクなんか盗むんだ? 目立ちまくってすぐに捕まって終わりじゃないかと疑問に思ってそのように聞いた所、福生市の酔っ払った米軍兵士が配達バイクを盗み、米軍基地に帰る際タクシー代わりに使用したという。米軍基地の近くには乗り捨てられた原付バイクや大量の新聞紙が散乱していたそうだ。
盗まれた社員は1、2時間くらいその場で待ちぼうけ、当然まだかまだなのか犯人なんてどうでもいいからバイクと新聞だけでも戻って来てくれないのかああなんでカギなんか指しっぱにしてしまったんだと一分ごとにこんな考えがぐるぐるぐるぐると駆けめぐる。
手の空いている社員は他の原付バイクを用意し余った新聞紙と折り込みチラシをかき集め新聞にチラシを折り込んでバイクに積んで現地に向かい、警察にも電話したり休みの社員も叩き起こして協力してもらったかもしれない。再スタートするのも外が明るくなってからかもしれないな。
その時の社員達は本当に大変な思いをしたろうな。想像すればするほどわかる。たまに大寝坊をかます人やバイクの不良、突然の事故を起こしたり巻き込まれたり、雪の日に寝坊した奴もいたっけ。365日の中にほんの数回くらいはそんな大変な日がたまにある。私も迷惑をかけた日や休みの日に出動した事も何回かある。
しかしなあ、あきる野から福生までなんてタクシーでいくらもかからないだろうになんでそんなことするかなぁ。と考えるのは日本人的考えなのかな。米軍兵士はカギ付いたバイクあるラッキー! 帰ったらもうこれいらないし邪魔だな適当な所に置いて帰ろ。ってな感じか。いやはや······。
私の配達した数ヶ月はそういうトラブルとかは無かったんですが、2回ほど新聞泥棒がいました。防犯カメラも付いてなさそうな古めのお宅で泥棒も防犯カメラを警戒していたのかな? ありがたいことにお客さんが警察にも通報してくれて見回りのパトカーにも何回かすれ違いました。ただやっぱり米軍兵士は捕まえて欲しかったな。でも基地に入ってしまったら捕まえるの無理なはずだよね。米軍基地周辺勤務のお巡りさんもこういうトラブルが何十回何百回あって、報道されない事件で大変苦労されたはずですね。お巡りさんお疲れ様です。福生店の先輩社員さん達ありがとうございました。