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お越しくださりありがとうございます。

 そんなある日、お母様の仕えるミネルダ=クラジオ様のご成婚の日取りが決まった。

 

 ご結婚相手のお名前はジョセフ=マクライン様。


 マクライン伯爵家家のご嫡男です。


 ブレジール王国の南に位置し、他国との貿易で富を築いた伯爵家。

 最近は富に加え、海からの侵略に備え、軍事力も兼ね備えているそうで。


 要は敵に回しては行けない家。


 そこで味方に引き入れようと、王家が政略結婚を企て、9歳のジョセフ=マクライン様と年が近い7歳のミネルバ=マクライン様の婚約が成立されたのが9年前の事でした。

 クラジオ公爵家は、先代陛下の弟君が降下されてできた家門で、ミネルバお嬢様は現王太子とはハトコの関係になります。

 王家の血が濃ければ濃いほど、髪は赤く、目は濃いオレンジ色なのですが、ミネルバお嬢様は、髪はお母様似の白銀に近い明るい金髪で、瞳は王家の血を少し引いているためオレンジ色が入ってはいるのですが、どちらかというと金色に近い、例えるならトパーズのような瞳の、光の加減によって色彩の変わるとても美しい方でした。

 ミネルバお嬢様はお美しいだけでなく、教養もあり、私たちを見るといつもおやつをくれる、見た目も心もパーフェクトなお嬢様です。

 ミネルバお嬢様を見るたびに、私もアンも前世でアイドルに会った時のように、胸がときめきました(変な意味ではありません)。

 6か月後のジョセフ様の卒業と同時に、ミネルバ様も花嫁修業のため、マクライン家へと引っ越されることになったのでした。

「ミネルバお嬢様と結婚できるなんて、相手の方ちゅごくちあわせ者だわ!」

「ほんとね。イケメンじゃないとゆるちぇない」

 なんて、私とアン姉さまはきゃあきゃあ言っていました。


 そんなこんなで、ミネルバお嬢様の引っ越しの準備が着々と進んでいきました。

 その時は、てっきり私たち二人とも、ミネルバお嬢様の侍女であるお母様についていくのかと思っていました。

 

 今朝起きると、珍しくお母様が私たちのそばにいました。大抵はミネルバお嬢様のお世話の為、朝いることはないのですが。

「お父様?」

 その上、もっと珍しく、お父様までリビングでくつろいでいます。一体何が起こったのでしょう。記憶にある限り、朝両親がそろっていたことはありませんでした。


 ちなみに私たちは、このクラジオ公爵家の従業員用宿舎の家族部屋を当てがわれています。

 家族部屋は2LDKで、部屋の中にバス・トイレ・キッチンが揃っており、前世の記憶の中の最後に住んでいた2LDKのマンションよりも大きく快適でした。

 そういえば、この世界、世界観は中世っぽいのに、下水道設備は整っていますし、お湯も蛇口から出てとっても便利です。

 独身の人たちは一人部屋か2人部屋が与えられ、食事は食堂で食べられます。

 うちはお母様が忙しいので、大抵は食堂で他の使用人の人たちと混じって食事をしていました。

 

「立っていないで座りなさい」

 私たちが自分の席に着くと、お母様がテーブルに食事を並べ始めました。

 お母様のお料理久しぶり。

 美味しくないけど。

 お母様、お茶を入れるのはすごく上手なのに、お料理はすごく下手。侍女業務に全振りしたステイタスの持ち主なのよね。

 料理が一通り並べられ、お母様が席に着くと、お父様が話し始めました。

「アンもサラも頭のいい子だから知っていると思うが、母様は2か月後、ミネルバお嬢様に付いてマクライン領へ移る」

「はい。存ぢておりまちゅ」

 アン姉さまが応えた。

「うむ。だが、私はここを離れるわけにはいかない」

「はい。それも存ぢておりまちゅ」

 今度は私が応える。

 だからどうしたのだと言った態度で私たちが肯定すると、いつも無表情のお父様が少しさびし気な表情をした気がした。気のせいかもしれないけど。お父様は無表情がデフォだ。

 どちらにしろ、ほとんど親子らしい接触など無かったのだから、過度な期待はしないで欲しい。

「お前たちは私の仕事は何か知っているか?」

 今度はすぐに答えられず、二人で顔を見合わせた。

「私は公爵家の影の部隊カラスの頭領だ。主に情報収集や表にできない案件を扱っている」

 忍者!

 まさか私のお父様が忍者だったとは! 隣でアンが目をキラキラさせていました。冒険物語が大好きなアンのことです。ワクワクが止まらないのでしょう。こんな目で娘に見られたことのないお父様はまんざらではない顔をしています。

 お父様はコホンと咳を1つすると、いつもの厳しい顔に戻った。

「お前たちは生まれた時からずっと一緒だったから、今から辛い選択をさせることになる。どちらと一緒に来るかを選んでもらう。母親について行き、侍女としての教育を受けるか、私に付いて、影としての教育を受けるか。これはカルダン家に生まれた者の宿命だ。受け入れろ。まだ2か月ある。じっくりかんが……」

「わたち、お父様にちゅいていきます」

 とアンが、

「わたちはお母様にちゅいていきます」

 と私が、ほぼ同時に即決した。

「んん?」

 お父様のそんな間抜け顔初めて見ました。なんかに勝った気がして気分が良い。

「そんなに急いで決めなくてもいいのよ? よく考えて……」

 いつも厳しいお母様も、とまどっているご様子。

「「大丈夫でしゅ‼」」

 私の得意なものは侍女としての素質に特化しているし、アンは影としての素質に優れている。迷うべくも無かった。

 これが普通の幼児なら泣き叫び「離れたくない」と暴れるか、意味も分からず「いいよ」というかだろうが、そこは前世で大人の経験あり。それよりも、お互い得意分野で専門的なことを学べるからなんだかワクワクが勝っていた。

 そんな私たちの表情を見て、両親も納得したみたい。

「そうか。ならいいんだ。二人とも、2か月後には離れて暮らすことになる。日々を大切にすごしなさい」

 父の締めの言葉で、そこそこカルダン家の未来を決める重要な会議は、あっさりと終わった。

 久しぶりの家族団らんの食事は、ぎこちないながらも楽しい食卓となった。

お読みくださりありがとうございます。


暑いですね。ご自愛ください。

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「悪役令嬢(仮)の華麗なる(主観的)考察記録 -悪役令嬢に転生したような違うような。自分の立ち位置しっかり見極めて、目指すはほのぼののんびりライフですわ-」

https://ncode.syosetu.com/n0201ii/


サラ=アンが大きくなって侍女として活躍しています(※主役ではありません)

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