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1.二人で一人

お越しくださりありがとうございます。

始まりました。

楽しんでくださると嬉しいです。


よろしくお願いします。

 私の名前はサラ=カルダン。

 双子の姉アン=カルダンと一緒に、クラジオ公爵家のご息女ミネルダ=クラジオ様の侍女の娘として生まれた。

 父は代々グラジオ家に使える男爵家の次男で、普段はグラジオ公爵の側近として働いている。


 私もアン姉さまも、生まれながら前世の記憶を持っていた。

 しかも同一人物の記憶を。

 私たちは前世では、この世界とは全く違う世界で同一人物だった。

 それに気づくのは早かった。だってお母様もお父様も忙しくて、ほぼ放置状態で育ったから。

 頼れるのはお互いだけ。言葉が話せるようになってすぐ、お互いの秘密を打ち明けたら、あらびっくり。秘密と思っていた内容まで同じだった。


 でも、

「わにゃち、いちぇかいちぇんしぇちちゃんでちゅ」

「わちゃちは、じぇんしぇにょきにょくありゅにょにょ」

 当初、お互い何を言っているのかさっぱり分からなかった。


 知性的には前世を引き継いでいるけれど、2歳児の舌ではなかなかうまく発音できないから。なんとなくお互い会話しようとしてるな~、くらい。

 それでも、基本放っとかれている、食べて寝ることしかやることのない幼児。

 日がな一日中こんなことしていたら、お互い何を話しているのか理解するようになった。

 なんせ、体は子供、心は大人ですから。

「おにゃしゃみゃみょ、じぇんしぇでにひょんじぇんにゃったにょでしゅにぇ(お姉さまも、前世で日本人だったのですね)」

「みゃあ、あにゃたも〇〇けんにしゅんでちゃにょ?(まあ、あなたも〇〇県に住んでたの?)」

 それにしても、コソコソ語り合う2歳児。傍から見るとさぞや気味が悪かっただろう。

 あまり人が近づいてこなかったのは、これも原因だったのかもしれない。


 話していくうちに、異様に共通点が多いことに気づいた。

 お互い名字は思い出せないけれど、名前は「愛」と言った。お互い日本の〇〇県で近所のスーパーでパートとして働く主婦だった。幼稚園になる女の子と旦那さんの3人で、2 LDKの賃貸マンションに住んでいた。将来の夢は持ち家を買って、猫を買うこと。

 全て同じだった。でもよくある話だ。

 前世でも双子みたいと笑いあった。

 

 ある共通点により、もしかして同一人物ではと思うようになった。


 お互い旦那に浮気をされていた。


 しかも弁護士をつけ、まるでこちらに否があるかのように断罪され、全てを奪われた。


 最愛の娘さえも。


 現代版断罪劇だ。そこでの私の役は悪役令嬢と言ったところ。

 娘が浮気相手に懐いているのを見て、ずっと計画していたことを知った。

 夫が私に優しく笑いかけてくれていたのは全て嘘偽りだったのだ。

 娘が浮気相手に「ママ」と言っているのを聞いて、心が完全に壊れた。飲めないお酒を大量にのみ、街をふらついたことまでは覚えている。

 気づけばこの世界で赤ん坊に生まれ変わっていたというわけだ。

「わちゃちちゃち、ふちゃごどこりょか、おにゃじちとだったのにぇ(私たち、双子どころか同じ人だったのね)」


 でも違う事はあった。それは大きくなるにしたがって色々出てきた。


 アン姉さまはかけっこは早いけど、私は遅い。

 私はドジだけれど結構器用。

 アン姉さまはしっかりしているけれど結構不器用。

 私はお茶を入れるのが得意。アン姉さまは苦手。

 アン姉さまは大人に混じって体術を学び始めた。私は侍女たちと一緒に刺繍を習い始めた。

 私は恋愛物語が好きだったけれど、アン姉さまは冒険ものばかり読んでいた。

 

 私が得意なことはアン姉さまが苦手。アン姉さまが得意なことは私が苦手。

 だから、二人でいれば補い合える。

 アン姉さまと一緒なら何も怖くない。


 だって文字通り「二人で一人」なのだから。


お読みくださりありがとうございます。


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「悪役令嬢(仮)の華麗なる(主観的)考察記録 -悪役令嬢に転生したような違うような。自分の立ち位置しっかり見極めて、目指すはほのぼののんびりライフですわ-」

https://ncode.syosetu.com/n0201ii/


サラ=アンが大きくなって侍女として活躍しています(※主役ではありません)

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