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002.入部

サックスにも種類があります。

入学式が終わり、俺たちは教室に戻った。


「入学式、誰が何言ってんのか全くわからなかった」


「それな〜。でも生徒会長美人だったくね?」


マジでこいつは女にしか目がないのか。せっかくイケメンなのにモテない理由だぞ。

と、心の中で思ったが、俺なりの親切でいうことをやめておいた。


「見てない。引越し作業昨日やってしんどくて寝てた」


「あ、そうなんか。てか引っ越した場所どこ?防音なら高くねーの?」


「俺が一ヶ月働いて10万くらいお釣りくるぐらいの家賃。ただその10万は敷金になったけど」


「あーな。お前ネットでなんか色々やってんだっけか」


「まーな」


WeTubeで動画を投稿したり、ブログでそれなりに入ってくる。もちろん親には伝えていないが。

そんな事を思っていると、勢いよくドアが開いた。


「みんな席について〜」


やや身長が低めの女性であった。


「これからみんなの担任をする、野崎です。部活は吹奏楽の顧問をしてるよ。これからよろしくね」


\\\ヨロシクオネガイシマス///


俺含め皆がテンプレのような返しをする。よかった。優しそうな人じゃないか。


「これから君たちには自己紹介をしてもらうね。じゃあ1番の…赤畑くんから」


「うす、俺の名前は赤畑っていいます。趣味はーーー」


正直言って興味がない。人のやつは本当に興味が湧かない。何故だろうか。俺のやつも適当に流しておくか。

別に人が嫌いなわけじゃ無いし、むしろ喋りたい人は結構喋りたい。

ただ、人より音楽をしたくなってしまう。人と喋っている時は何かbgmが欲しいなと思って、その次にはもう音楽がしたくなってる。

人とは話したいんだが、それより興味を引くものがあるっていう幸せ感と罪悪感が交互に混ざり合う感覚。

そんな事を考えているうちに俺の番が回ってきた。


「西宮です。趣味はトロンボーン吹いたりギター弾いたりすることです。お願いします。」


パチパチパチパチ


よしなにいけただろう。


「ねぇ、西宮くん」


ふと、隣の人が話しかけてきた。


「どうしたんですか?えぇと…」


聞いてなかった弊害が早くも出てきた。


「涼風結衣だよ。結衣って呼んで」


「ごめん、結衣さん。それでどうしたの?」


「西宮くんはトロンボーンやってるってことは吹部入るの?」


「そうなるね」


「私も中学校流行ってなかったけど入ろうと思ってるんだ」


この結衣さん、多分挫折するだろうな。そう直感で感じた。俺は子供の時からトロンボーンをやっていて、挫折した人を何人も見てきた。その上で結衣さんには同じ匂いがする。


「そうなんだね。お互い頑張ろうね」


「うん!」


ただ、そんな事を大っぴらに言う俺では無い。人間関係を良くするには第一印象をよくしておかなければならないからな。それに多分この結衣さん、一軍の真ん中にいそうな人だから仲良くなっておいて得の方が損より多いはずだ。


「はーい!と言うわけでみんな自己紹介が終わったのでこれにて今日の授業は終わりとします!」


はや。高校ってこう言うものなのか。


「それで部活なんだけど、これからどの部活も始まるから好きに見学していっていいらしいです!もうここに決めた!って言う人はさっき渡した入部届にサインして先生に渡してね〜!」


そんなこんなで、今日の授業が終わった。


「西宮くん、一緒に吹部の見学行かない?」


「ですね。あー、でも俺の友人も来ちゃうんですが大丈夫ですか?」


「大丈夫大丈夫!私も友達誘うし!」



〜〜〜



そんなわけで、2分の1が初対面の4人で行くことになった。


「私春山希っていいます!よろしくお願いします!」


「じゃあ全員自己紹介終わったところで行こっか!」


「そだね〜」


吹奏楽部の部室、音楽室からはそこまで遠くなく、ちょっと歩いたら着く距離だった。


「ここかぁ〜!」


俺たちは音楽室の外から見学している。


「結衣、あれサックスじゃない?」


「ここの吹奏楽は中くらいだな。金賞か銀賞くらい」


「でも和音の重なりは綺麗だな」


なんと言うaway。女子2人が可哀想である。男が吹奏楽経験者、女が未経験者というのはなかなか珍しくて面白い。

ぐだぐだ4人で喋っていると、急にドアが開いた。


「君たち!吹奏楽志望!?」


「え、まぁ…」


なんだこの人は。ユーフォを持ったイケメンが迫ってきた。


「良かった〜。今年は吹奏楽志望誰もいないかと!」


「そんな事ないって言ったでしょ〜?」


テナーを持った人が言う。


「と、とりあえず君たち!」


「「「「はいっ!」」」」


「入部届にサインをしてくれ!!」


「希〜、どーするー?」


「うーん…」


女子2人が迷っているうちに、男子は書き終えた。


「ええっ!もう西宮くんと岡西くん書いちゃったの!?」


「まー、元々そのつもりだったからな」


「うぇ〜…なら私も入る!」


「え、結衣が入るなら私も」


「ありがとう!君たち!」


見事、全員入部した。

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