孤独
目の前に、孤独を感じる人がいる。
私も孤独を感じているから、仲良くなれる、かもしれない。
「あなたは孤独なんですか?」
「私は孤独なんですよ、あなたもですか。」
話を聞いてみると、同じ孤独でも、ずいぶん方向性が違うようだ。
人の中で孤独を感じるこの人と、人とかかわらず孤独を感じる私。
人が好きすぎるこの人と、人を避ける私。
人を気にするこの人と、人を気にしない私。
孤独を嫌うこの人と、孤独を愛する私。
同じ孤独を感じるもの同士だというのに、まるで方向性が違う。
相性は、良いのか悪いのか。
良いのか悪いのか、イマイチ分からないまま時が過ぎ、今も目の前に孤独を感じる人がいる。
いろんな仕事を引き受けて、たくさんの人に囲まれながら、孤独だと日々嘆く。
「あなたの周りにはたくさん人がいるじゃない。」
「私のことを本当に分かってくれる人がいないから孤独を感じてしまう。」
「自分がわかっていたらいいじゃない。」
「誰かにわかってもらいたい。」
「私が分かっているからいいでしょう。」
「みんなにわかってもらいたい。」
話はいつも、平行線、結論は出ない。
毎日嘆きを聞きながら、人が好きな人は大変だなあと、孤独を愛する私は思う。
毎日孤独を感じる、人に囲まれた人を見ながら、あんなに囲まれているのに気の毒だなあと思う。
毎日孤独な私は、賑やかに過ごす孤独を感じる人を見るだけで、なんだかとても疲れてしまう。
一人は楽だな、一人がいいな。
孤独を愛せた私は、まだ、幸せなのかもしれない。