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死闘の終わり

ディアブル


モンスターから稀に生まれる凶悍種という突然変異体

そのどれもが災害級の恐るべき力を持つ

数年に一度魔窟の森という危険区域からイヨ村のある森まで餌を求めてやってくる

俺の住むイヨ村のエリアの中で

最も危険レベルの高いBランクモンスターの一体だという


先ほどのキャンキの大群はディアブルから逃げていたため攻撃的で異常な数だったのだろう

同じBランクのシハンがいるからと言って安心できる相手ではない

なにせモンスターと冒険者のランクを同一視してはならない

相手は凶悍種という災害級のモンスターなのだから


ディアブルは俺たちを発見すると息を荒げながら突進する準備を始めている

その悪鬼羅刹の如き姿を見るだけで卒倒しそうになる


「あかん、奴さん俺ら殺す気やで

近くに冒険者も居てへんし逃げ切れるような相手やない・・・気張れやレオン」


広域魔術を使えないハンデのあるシハンと完全素人の俺

どうにかしてこの局面を乗り切らなければならない


と気合を入れた瞬間

先ほどまでディアブルが居た地面が爆発する

黒い隕石のような巨体が眼前に迫る

俺は回避しようとすると、俺の踏んでいた地面も爆発して吹っ飛ばされていた


「レオン!」


「大丈夫です!思いっきり地面を蹴ったら身体がふっとんじゃいました!」


「なんやそれ!」


今のはディアブルの突進がぶつかったのではなく、俺の脚力の威力らしい

これが夜叉神様の力…凄まじい

これなら勝てるかもしれない


岩場に突っ込んでもがいているディアブルにシハンが火炎魔法を乗せた剣で斬撃を浴びせている

素晴らしい、周りの空気がチリチリと焦げる程の熱量と魔力

それをあの剣に収め斬撃に乗せる制御力と技術力

どれをとっても一級品だ

しかしその乱撃もディアブルには大した効果はないようだ


「こらあかん、こいつの毛皮と筋肉が硬過ぎて剣も炎も通らへんわ!

特殊な毛のせいで炎が無効化されとる、相性最悪や!」


「なら俺が!」


俺はさっきのように思いっきり地面を蹴って接近しようとするが

まだ力に慣れていないせいか少しズレた大木に直撃した


「アホなことしてんとはよ手伝わんかい!」


すぐさま攻撃を与えようとした瞬間

ディアブルが首を大きくスイングし、俺の太ももほどある牙が鳩尾に直撃した

またしても俺は吹き飛ばされる

喉の奥から血が吹き出してくる

やばい、俺死ぬ!死んじゃう!!


・・・あれ?あんま痛くないぞ?


「レオォォォン!!!」


「大丈夫です、シハンはそのまま立ち回ってディアブルを走り回らせないようにお願いします!」


「あ?おっ、おぉ!!」


流石シハン、ディアブルに張り付いて上手いこと死角に回り込み

着実にダメージを与えつつ行動を封じている

そして暴れ回っているディアブルの攻撃を一度も食らっていない

天才的な戦闘技術だ


俺も助けにならないと!


いちいち吹っ飛んで近づくのは照準が合わないため

駆け寄って接近する

それでも速すぎて目が追いつかないが、なんとか攻撃範囲まで近づけた


太刀を構え、回斬を連発する

ディアブルの皮膚が裂け血が飛び散るが

表皮を切るばかりで致命傷には至らない

こうなったら


「シハン!そのままディアブル抑え込んで下さい!」


「簡単に言うなやボケ!まぁ簡単にやったるけどな!」


ディアブルは周りの木々や地形まで変形するほど暴れ回っているが

シハンに単純な攻撃は全く意味がないというように軽やかに回避し、反撃する


その間に俺は空中へジャンプする

地上8メートルは飛んだかもしれない

そしてそのまま太刀を上段に構えて

重力と共に己の力の限り太刀を振り下ろした


その軌道はディアブルの首筋に迫り

体高3メートル、全長5メートルはあろう化け物を

見事真っ二つにした


悍しい巨躯の悪魔が夕焼けで真っ赤に燃えた地に沈む


長い沈黙が訪れ、俺たちの中に安堵の感情が湧き出した

 


「レオォン、お前やればできる子やないかぁ!!」


「いやぁ、シハンの立ち回りと炎撃の消耗がなければ無理でしたよ」


「まぁその通りやわな!でもMVPはお前や!

へぁ〜、しんどかったわこいつぅ・・・ごっつ硬いしスタミナお化けやし」


そう言ってディアブルの死骸を見る

死してなおその重圧と威厳は損なわれず

このエリアの支配者然としたオーラを漂わせていた


持ち運べる素材だけ回収し、俺たちは湖畔にてキャンプをすることになった

例によってシハンはあっと言う間に準備をし、火を起こした

ディアブルの肉を焼いて食べてみる

う〜ん、まずい!

硬い臭い歯に挟まる味が無い!


「まずいですね!」


「ホンマやな!シバくぞアホンダラ!」


湖で行水を行い、その後傷を癒すために俺たちは横になった

気がつけばあたりはすっかり暗くなり、星空が俺たちを照らしている


「なぁ、俺ら冒険者としてテッペン目指せるんちゃうか?

真面目にお前とのコンビならいける気がするわ

今日のとどめの技もえげつなかったなぁ

あれ名前つけたんか?」


「あぁ、あれは斬首にしました」


「また色気のないやっちゃな」


そうして戦闘後の達成感や緊張の糸が解けた開放感と脱力感のためか

俺は徐々に意識がなくなっていった




だんだん・・・意識が・・・


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