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孤独な日々の終わり

目覚めると見知らぬ森の中に居た

目の前には石碑がある、「忌まわしい豊穣の恵」と書かれている

なんのことだろうか、よく分からない

というか何も分からない、何も思い出せない。

ただ己の中にある強くなりたいという想いだけが沸沸と湧き上がるのがわかる。


とにかくここがどこか分からないから近くの街を探さないとな


あてもなく森の中をふらふら歩いていると、武装している男2人組に出会った


「すみません、ここはどこですか?何も覚えてなくて」

「なんだレオン、また喧嘩売りに来たのか?もうお前と闘うのは懲り懲りなんだがな」

「覚えてないってどういうことだ?」


壮年の髭面の男と長髪のノリの軽そうな男2人組は俺と面識があるようだ。

彼らが言うには、俺は誰から構わず喧嘩を売り

そして負けるという迷惑で情けない奴だったそうだ。

この近くのイヨ村のギルドに登録しているが

クエストも受注せずあの石碑の前でいつもタイマン張ってたらしい。

彼らの案内の通りに進むとイヨ村に到着した

だが何も感じない、ノスタルジーのかけらもない。


「おっ、レオンやんけ!さっきはほって帰ってすまんな!俺はまだしばらくイヨ村のクエスト受けてるよってこれからもよろしゅうな」


「あ、あなたは俺のことをご存知なのですか?」


西方の言葉を使う男が声をかけてきた

赤髪をアップバックにした筋骨隆々のナイスガイだ、シハンというらしい。

先程彼に負けたらしいが、それすら俺は覚えていなかった。


「なんや、俺にどつかれすぎて記憶飛ばしたんか?すまんことしたなぁ、俺も手加減したったら良かったんやけど」


この村の古くからの知り合いらしい人間は記憶喪失だということを一笑に付したが

この村の人間ではない流れの冒険者のシハンは真摯に対応してくれた。


「住んでる村すら覚えてないなら俺がこの世界のこと教えたるよ、何やったら2人でパーティ組んでもええで。俺の責任やしな」


「いいんですか?俺みたいな得体の知れないやつ」


「ええよええよ、あんまレオン強ないけど根性あるしな」


そういってとんとん拍子で俺とシハンはパーティを組むことになった。

彼は魔法剣士という職業で、この世界で言えばかなりのエリートらしい

「焰舞のシハン」といえば有名な冒険者らしく、冒険者ランクはBと上から3番目のランクの強者だという。


「俺が入ることによって足手まといにならなければいいのですが」


「かまへんかまへん、俺が強したるから。魔法は前につこてなかったし無理やろなぁ。ガタイええから大きめの刀でもつこたらええんやないか?」


そういってシハンは武器屋にある刀を俺に選ばせてくれた

その中で店の隅に、無骨で荒々しい見た目の刀が乱雑に置かれていた。


「あー、レオンそれはだめじゃよ。重いしでかいし扱える者がおらんのじゃ」


武器屋のオヤジはそういうが、手に馴染むし何か惹かれるものがあった。

試しに振ってみると、これ以上ない程しっくりくる。


「おっ、ええやんレオン!おっちゃんこれくれや。俺も剣新調したるさかい」


「す、すごい・・・あの刀を扱える人間が現れ、それがよりにもよってレオンだとは」


その後ギルドにて試しに軽いクエストを受けてみることになった。


「すみません、刀まで買って頂いて」


「何いうてんねん、出世払いじゃ。強なったら返さんかいアホ」


そう言ってシハンは一枚のクエスト用紙を取った


「これええわ、俺も退屈せんしレオンも練習になるやろ」


それは大きな猪10頭の討伐であった

この世界ではガンブルと言うらしい

背丈は190近くある俺よりも少し小さいくらいの化け物みたいなサイズなのだという

いきなり殺すつもりなのだろうか。


「ほな善は急げやで、行ってみよか」


そう言ってクエストを受注したシハンは無駄に白い歯をニカッと光らせた


俺は記憶喪失をした日が命日になるのだろうか…

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