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ヲタク高校生は恋できない  作者: 悪ッ鬼ー
第三話 ~筋肉は恐ろしい~
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第三話 ~筋肉は恐ろしい~(2)


 ドッと疲れた。ただ花園に五里斗の事を伝えただけなのに・・・・・

 こんなことがよく僕にはある。まぁ、正直に言って、あいつらと会うのがストレス何だろうか。と、思ってしまうことがあるが、なんだかんだ思っていても、いなかったらいなかったらで、暇すぎてそれこそストレスどころじゃないような気がするけどな。


「今日も疲れているようだね。浅木くん」


 昼休み、いつも通り飯をもらい飯を食べ、そして飯後の話し合いの時間。

 天ノ河は、僕の状態を察してくれていた。


「まぁ、色々とあって、な?」


「そう、じゃあ、そんな君には良い情報をあげようか」


 そう言い、鞄からスマホを取り出す。

 差し出されたスマホの画面を僕は覗き―――――


「こ、これは!」


 ヲタクの恋は一度きりのキャラクター。限定十体ずつでフィギュアが販売される。それは、今週の休みにこの近くのメイトで販売されると言う情報だった。

 最近は疲れすぎのせいか、直ぐに寝てしまうから知りたい情報も見れていない。


「だから、その日は私と一緒に―――――」


「行かない」


「一緒に行ったらカップル限定でクリアファイルが―――――」


「騙されないぞ」


 前にも同じようなやり取りに遭ったような気がするが、もう二度目は騙されない。絶対に。


「いや、書いてあるんだけど」


「は?」


 天ノ河がスマホに指差した。そこを見ると、そこには、天ノ河が言っていた通り、カップルで来た人にはランダムでクリアファイルをプレゼントと書いてある。


「わ、分かったっ」


「はい、言質は取ったからね」


 そう言うと、今さっきまでクリアファイルなどの情報が書いてあったスマホを目の前に出した。

 おそらくこの言動から見るに、録音をしたのだろう。


「あぁ、大丈夫だ。言質を取ってなくても、僕はクリアファイルのためならお前なんかとも喜んで行ってやろう」


「お前なんかとよりも、お前とならの方が私的には嬉しいかな」


「そうかよ。生憎、僕は、ヲタクは恋愛対象外なんでね。ヲタクにそんな事を言ってもメリットはない。ただ恥ずかしいだけだ」


「残念。少しからかっただけよ」


 フフッと、笑い天ノ河は笑い、それと同時にチャイムが校内に鳴り響いた。

 そして、昼からの授業は大変詰まらなく、昼飯後だったこともあって寝て過ごした。

 寝ていた故に、時の流れはもの凄い速さで過ぎ去る。あっと言う間に放課後だ。もうこのまま立会人的な事をせずに帰ろうと言う気持ちはあったが、五里斗の事を考えると、不思議と行く気になった。本当に不思議だ。なんでだろう。足の震えが止まらない・・・・・。


「迎えに来たよ」


 鞄に筆記用具やなんやら詰めていると、花園がドアからヒョコっと顔を覗かせ僕を迎えに来た。


「やけに早いな。そんなに五里斗に会いたいのか?」


「なわけない」


 僕は少し鞄に詰めながらからかうと、花園は少し不服そうにそっぽを向いた。

 準備ができ、花園の待つすぐそこのドアに駆け足で行った。


「おう、待たせたな」


「ん、じゃあ行こう」


 花園は僕の前を歩く。その小さな背を見ると、何故か守りたいと言う感情に駆られた。これが―――――


「花園が女子たちに気に入られる要因か・・・・・」


「何言ってるか分かんない・・・・・」


 花園が女子たちに気に入られている。その理由を解き明かし、キメ顔をした。逆に花園は何故かムスッとしていた。


「それにしてもお前が男子のところに行くのは珍しいな」


 花園は僕が見る限り、男子のもとに行くことなんて無い。ただ女子に囲まれているからなんてことも考えた。しかし、一人でいる時間も男子の場所に自分からは行かない。

 今回、無理を承知で言ったのだが、まさか行くなんて・・・・・


「そんな事・・・・・な、い」


 少し口ごもりながら花園は答える。


「はいはい。ふんじゃあ、やっぱりトイレ行ってくるから先行ってて」


「何かもじもじしていると思ったら。分かった」


 花園は僕の前を行っていたはずなのに、よく分かったな。

 僕は靴箱の近くにあるトイレへと急いで駆け込んだ。


「ふぅー、ギリセー」


 溜まっていた尿を一気に体外へと放射する。それは快感と答える以外にその他の答えなんて存在しない。


「ってうぉあ!」


 僕が驚いた理由を十文字で簡潔に答えよう。


 『窓から花園が覗いてる』


 僕は驚き、直ぐに用を済ませた。さぁ、お説教の時間だ。


「お前なぁあ・・・・・」


 僕は、怒りを喉元に溜めて溜めて、蓄積させ一気に怒鳴った。


「なぁに男子便所覗いてんだ!」


 それは校内に響くほどにうるさく、自分でも叫んだ後に少し後悔した。


「待ってた」


 僕の怒鳴りに冷静に答えた。が、冷静も、使いどころを間違えるとただ気持ち悪いだけというのが分かった。

 こいつは天然。それは分かっているけど、ここまで馬鹿だとは思わなかった。

 正直に言ってあきれた。

 呆れて唖然としてしまった。それ故、今となっては怒りもどっかに行ってしまい、もうどうでも良くなった。


「見たか?」


「見てない」


「そうか。なら良かった。良くないけど」


 こうして、僕の思い出したくないランキング第八位にこの歴史が残った。

 これからまた大変になるのに、ここで挫けていたりは出来ない。さぁ、最終決戦の地、体育館裏に行くとしようか。

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