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ショタに戻ったので今度はお姉さんズに甘えまくる

作者: 相野仁

30歳の社畜が寝て起きたらショタ扱いされてたあの頃に戻ってて、今絶賛困惑中だ。

 何が何だか解らないうちに親に起こされて、朝ごはんを食べている。

 食べ終わった後、もう一回鏡を見てみた。

 うん、ひげもはえてないし声変わりもしてない。

 小柄で女子や年上にかわいいと言われてたあのころのまんまだった。

 何でこうなった……?

 訳が解らんけどとりあえず学校に行くしかない。

 もう一回勉強いやだなぁと思いながら着替えて家を出る。

「アキラクンおはよー」

 すると前の家から出てきた双子にあいさつをされた。

 生まれた時からのつき合いの十和田姉妹である。

 彼女たちはバスに乗って少し遠くの私立女子高校に通っているはずだ。

 セーラー服と水色の襟が似合ってる。

「おはよう」

「ふふ、今日もかわいいー」

 と言われる。

 昔はこれがいやでダッシュで逃げたんだよなぁ。

 今? 今見てみれば十和田姉妹ってかなりかわいいしおっぱいデカい。

 ポニーテールにしてるほうがはるかちゃんで、おかっぱにしてるのがのどかちゃんだ。

「? 今日は逃げないの?」

 二人は不思議そうに首をかしげる。

 逃げると解っててからかってたんだな、この二人。

 いやそうだろうなと思っていたけども。

「だんだん慣れてきた」

 と返す。

「あら、そうなんだ。たくましくなった?」

 はるかちゃんがそう言うと腕を伸ばしてハグをしてくる。

 やわらかい感触といい匂いに俺の顔が包まれた。

 そうだった、はるかちゃんのやり方だと毎回立派なメロンを味わうことになるんだよな。

「どうかな」

 今回は暴れず、じっと大人しくしてる。

 これを堪能できるのは記憶してるかぎりでは俺だけの特権なんで、自覚をすれば逃げるなんてばかばかしい。

「??? アキラクンほんとに変だね?」

 逃げない俺を見てのどかちゃんが首をひねる。

「ちょっと心境の変化があって」

 とりあえずごまかそう。

 本当のことを言ったところで絶対に信じてもらえない自信がある。

「ふーん。まあいいじゃん。途中までいっしょに行こう?」

 はるかちゃんは気にせず俺の手をとって歩き出す。

 二人とも俺より少し背が高いんだよなあ。

 俺が高校に入るころ、二人は大学生になって実家から出て行ってそれっきり見なくなったけども。

 やっぱり彼氏ができて結婚したのかな。

 疎遠になってたころはあんまり気にしてなかったけど、こうしてみるとちょっとショックなような、彼氏がうらやましいような。

 二人とも美人でおっぱいデカいよねと横目で見る。

「何か今日のアキラクン、ちょっとえちいね」

 のどかがぼそりと言ってぎくりとした。

 逆行前の俺、二人をそういう目で見たことってあまりなかった気がするしな。

 何で意識しなかったんだろうか?

「だってはるかちゃんものどかちゃんも美人だって、今さら気づいたんだもん」

 二人が好きなのはすねるような、甘えるような声と言い方のはず。

 つまりこうすれば。

「あーん、アキラクンかわいいー」

 はるかちゃんが黄色い声をあげてもう一度ぎゅーっと抱き着く。

 再び堪能できて幸せだ。

「はるかばっかりズルイ」

 のどかちゃんはそう抗議すると、はるかちゃんから俺を奪ってぎゅーとする。

 うん、のどかちゃんも大きなマシュマロを持ってるよな。

「そうだったんだ? たしかに今さらだね」

 のどかちゃんはそう言いながら、よしよしと頭をなでてくれる。

 そう言えばのどかちゃんはわりと甘やかしてくれた気が……。

 中学校に入ってからそうされるのがいやで、ちょっとずつ疎遠になったんだっけ?

 逆行前の俺、死ぬほどばかなんじゃねえの?

 上手くやったら、二人のうち片方が彼女になってくれていた可能性だって……数億分の一くらいはあったかもしれないのに。

「今日のアキラクン、何だか甘えん坊だね?」

「何となく甘えたい気分になったんだよ」

 我ながら苦しい言い訳だと思ったけど、二人は気にしなかったようだ。

「そうなんだ。じゃあ久しぶりにいっぱい甘えていいよー?」

「どっちにする? 私にするのどかにする?」

 のどかちゃんとはるかちゃんに言われた俺は即答する。

「両方がいい」

 これには二人は笑い声を立てた。

「アキラクンはよくばりだなぁ」

「こういうところはかわってないね」

 二人は怒らずに言う。

「じゃあ特別に今日は二人で甘やかしてあげるね?」

「わーい」

 俺は無邪気に喜ぶふりをする。

 二人はニコニコして手をつなぎながらバス停まで歩き、そこでわかれた。

「残念だけど、おわかれだね」

「また放課後にね」

「うん」

 二人とわかれて俺はまっすぐに中学に向かう。

 何となくだけど二人のいい匂いがついている気がした。

 少なくともぬくもりと感触は俺の心に残ってる。

 朝からいい思いができてよかったなぁ。

 だらしなく頬がゆるんでる自覚はあったけど、止められなかった。

 今日の学校は久しぶりに楽しかった。

 双子姉妹の補正がかかりまくったおかげで。

 軽い足取りで戻ってくるが、双子とは会えなかった。

 そう言えばそうだったなぁと思いながら家に入る。

 するとおふくろに言われた。

「あんた、久しぶりにはるかちゃんとのどかちゃんと仲良くしてたみたいね?」

 どうやら近所の人に目撃されてたらしい。

「うん」

 照れ臭いなと思いながらうなずくと、おふくろはニヤニヤする。

「二人ともいい子だし、どっちかがあんたの奥さんになってくれたらいいのになー」

 そうやって茶化されるのが逆行前の俺はいやだったんだよなあ。

 二人の魅力に気づいた今の俺はむしろそうなってほしいとすら思う。

「なってくれるのかねー?」

 と切り返すと、おふくろはびっくりする。

「あんた、どういう風の吹き回し? 今までいやがってたのに? 何か心境の変化でもあったの?」

「うん、まあちょっとね」

 そう言って俺は自分の部屋に逃げ込んだ。

 俺の人生において、高校以降で双子姉妹レベルの女性と接点が生まれることはもうないんだよな。

 あとは家庭教師の優里加先生か。

 今にして思えば中学生が女性運のピークだった気がする。

 後悔先に立たずって本当だな。

 こんな展開にならなかったらだけど。

 窓の外をながめてると、双子たちの姿が見えてきた。

「おーい」

 声をあげて手を振ると、二人はすぐに気づいて笑顔で振り返してくれる。

 うん、今だから許されることだよな。

「どしたのー?」

 はるかちゃんが効いてくる。 

「二人の家に遊びに行っていい?」

「いいよー」

 二人は即答だった。

 よっしゃ。

 やっぱりあの二人と仲よくして、どっちかを彼女にしたい。

 そう思い、俺は宿題をカバンに入れて部屋を出る。

 宿題を教えてもらうという名目なら遊びに行きやすいからな。

 あの二人は学業も優秀だし。

「アキラ、出かけるの?」

「うん、宿題教えてもらってくる」

 そう言って家を靴をはいて玄関を出た。

 玉東という表札の下のインターフォンを鳴らす。

「はい」

「こんにちは。アキラです」

「あら、アキラ君。久しぶりじゃない」

 という反応はおそらくおばさんだろう。

 すぐに玄関が開いてニコニコした女性の姿が見える。

 双子の母親で四十代のはずなのに、せいぜい三十前後くらいにしか見えない人だ。

「久しぶりねえ。二人から聞いてるわよ。あがってちょうだい」

「お邪魔します」

 久しぶりだけど気心の知れた相手で、今さら緊張なんてしない。

 靴を脱いだところで私服に着替えたらしい双子が顔をのぞかせる。

「来てくれるって解ってたらもうちょっと準備したんだけど」

 二人は無念そうだった。

 二人ともお菓子も料理も得意だからな。

「それはまたの機会に味わいたいなぁ」

 さすがに今から作ってくれなんて言えない。

 それよりも二人と過ごす方が大事だ。

「なんてね。ケーキなら買ってあるから食べなさい」

 おばさんが言うと、二人は驚く。

「え? 一人分少ないはずだけど」

 のどかちゃんが目を丸くする。

「お父さんの分をなくせばいいだけじゃない?」

 おじさんすまん。

「なるほど」

「名案ね」

 そして双子たちは容赦ない。

 おじさん、事実を知ったら泣くだろうなぁ。

 目に入れても痛くないレベルで二人のことをかわいがってたはずなのに。

「さ、アキラクンいこ」

 二人に左右から腕をとられて、とても幸せな状態で部屋に行く。

「ところで私の部屋にする? それとものどかの部屋にする?」

 はるかちゃんに聞かれた。

「今日ははるかちゃんの部屋」

「じゃあその次は私の部屋ね」

 のどかちゃんに即座に言われたのでうなずく。

 今日も幸せです。

 鼻血が出ないように注意したいが。

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