1話「嗚呼、快眠快眠。」
この視点誰だよ。⬅️すみません仕様です。
一応今回は伏線回ということになっています。
今回を理解するには大分話数が嵩むこととなると思いますが、最初の通り、長い目でお読みください。
※圧倒的キャラぶれが発生したため修正いたしました。
今日は非常に暖かく、5日前からつい昨日まで連日雨空が続いていた空に漸く太陽が顔を出したことにクラスメイト一同は大いに喜び、その温もりを 愉しんでいた。
教室内は日の当たらないヵ所でさえ心地よく、日の当たる所へは猫のように冷え性の女子が屯していた。
普段ならば今のような朝のHR前であっても高校生のその有り余る体力を惜し気なく振り撒いて青春の1行を刻む時間であるのだが、今日のところは一風変わった青春を刻もうとしているらしい。
クラスの人気者兼おもしろ兼まとめ役担当の光井が、普段から溌剌とした態度や発言と打って変わって
「この微睡みを存分に味わおうぜ!」
などと、老体と血気盛んな若者を混ぜたような発言をしたことにより、クラスで一番賑やかなグループの賑やか隊長が静まった為、その静けさは水面に雫が1つ落ちたあとのように次第に波が消え、いつの間にかクラスに静寂が訪れ、クラスメイト全員を微睡みへと誘った。
急に静けさが訪れた教室の中で唯一顔を上げていたのは僕だけだった。常日頃から校内で随一の快眠を得ていると自負している僕が皮肉なことにこの状況の異質さに安眠を得られずにいた。
「なんでこいつら寝てんだろ…?」
その言葉に誰も反応を取らず各々が幸せそうに眠りについている。反応が欲しかったわけでもない為、俺は1時限目の準備をして背筋を伸ばしそのまま担任が訪れるのを待った。
ガラッと、古い額の部分にゴミが溜まった引き戸である教室の扉が開かれた。
なんとなしに眺めていた教科書の裏表紙から、担任を一瞥する為に教室の扉に目を写すと、そこには見間違える人物がいた。
うちのクラスの担任である山内 優は、教師内で一番若いながらもクラスの担任を受け持っていて、その若さから生徒内からも打ち解けやすく人気がある教師であり、体格が小柄で顔も童顔なのだが、仕事に差し支えないようにミディアムカットされた黒髪は社会人らしさを感じさせるその見た目から一部男子生徒からは絶大なまでに異性としての人気を得ている。
そんな人気者の姿は開けられた教室の扉にはいなかった。正確に言えば山内 優と呼ぶには充分な姿はそこにはあるが、それを肯定し難い現状でもある。
そこにいたのは山内 優と瓜二つの顔、同じく小さな体躯をした白髪ロングの女性が立っていた。
僕が口を開くよりも早く相手から話しかけられた。
「なんだ、お前だけ起きてたのかそんな呆けた顔をしていないでお前もいつものように寝ていれば良かったのにな。意識がはっきりした状態では正気を失いかねないというのに。」
僕が口を開くのが遅れたのは理解し難い現状に認識が追い付かなかったからのようだ。山内 優と瓜二つのそれが僕の表情を指摘するまで自分でも気づけない程に唖然としていたようだ。
「僕の知る山内 優は一卵性双生児でも、悪ふざけで白髪のウィッグを着けてくるような奴でもないからな、正気を失いかけたのは今この現状のことだろうに、他に何が起こるんだよ」
「ほぅ、些か冷静過ぎじゃないかこれから何が起こるか、自分がどうなるか、もっと必死に気になりはしないものかね」
「そうは言ってもな、クラスメイトが全員寝だして普段穏やかな担任がコスプレの真似事をしているだけだからな~。」
「それもそうだな、確かにお前が今ここで喚こうがなんだろうが結果は変わらん。お前らは利用される、ただそれだけだ。」
疑問符は端から浮きすぎてどれがどの内容についての疑問符かは分からないが、何者かに利用されることだけは分かった。
「まぁ、うちのクラスメイトは隠し事は多いけど、どいつもこいつも利用するには充分な能力と権力を持ってるからね。まぁそれすらも隠してる奴等が大半だけどね~。」
「……お前は、誰だよ。」
「……は?」
「お前はなぜそれを知っているんだ?」
「いや、は?そんなん、このクラスにいれば分かるでしょ?
急にお前は何者とかやめてよ。
どういう目的があってのことかは分からないけど、
うちの担任のソックリさんがうちのクラス
を全員寝かせたみたいな雰囲気じゃん?
なら僕のことも一応は把握してるんじゃないの?」
「知らない、知らないぞ、知らない。お前は誰だ何故私の中にお前の記憶があるんだ。なぜ私はお前が普段寝ていることを知っているんだ分からないなぜだ、なぜだ、お前は誰だ…?」
「今までの扱いも散々だったがとうとう存在すら否定されるとかマジかよ。まじで2chでスレでも立てたいレベルだよこれ。」
「うるさい、うるさいうるさいうるさい眠れ眠れ眠れ眠れ眠れ眠れ眠れ眠れ…眠れぇぇえええええっ!」
なぁ、うちの担任が教師であるにも関わらず、授業直前であるにも関わらず、寝ることを強要してくるってマジか?
「あー、うん、寝るから、落ち着いて、大丈夫、特技だから、おやすみぃおやすみぃ~」
僕は瞬時に眠りに落ちた。
嫌な記憶や様々な疑問よりも微量の睡魔を優先する俺の思考回路は我ながら便利だと思う。
先ほどまで頭の中に巡られていた様々な疑問符を取り外し、自分が最も寝やすい姿勢を取って即座に寝落ちた。
嗚呼、快眠快眠。
うーん、やっぱりキャラを安定させるのは難しいですね!まぁ1話にして登場キャラを発狂させた人間が言うセリフじゃないですが。反省はもちろんしません。
読者様へ、第一部とする段階では
『ファンタジー要素<超能力バトル』に近いものになります。悪しからず把握宜しくお願いします。
鮭フレーク美味しい。