弱肉強食
はじめまして。片津 無理と申します。最後までお付き合い頂けたらなと思っております。よろしくお願い致します。
※修正を不定期にする場合があります。ご了承ください。
ここは教室。先生が淡々と弱肉強食の世界について語っている。黒板を書き終え、こちらを振り向こうとした瞬間だった。
左側から窓ガラスの破片とともになにかが入ってきた。最前列に座っていた3人の生徒は、その巨体に体当たりをされ机ごと吹っ飛ばされた。室内はパニックになった。
泣き出す子。震え怯える子。怪我をしている子。腰を抜かし声が出ないでいる先生。するとだんだん化け物の姿が見えてきた。
それはまるで大きな蜘蛛のような奴だった。
「あーあ。散らかしちゃってまぁ♪」
突然頭上から声と、銃声二発が聞こえた。蜘蛛のような奴はダメージをくらいながらも机と生徒を蹴散らし、こちらに突進してきた。
「チェルシー!」
俺は彼の名を呼びながら、右手を上げた。了解っという言葉と同時に右手には刀があった。集中しろ。戦場がどこであろうと、やることは同じだ。ゆっくりと刀を握りなおし、蜘蛛めがけて振り下ろした。蜘蛛は苦しみながらもまた、窓を突き破り逃げて行った。刀についた血を払い、腰に戻した。
「いやぁお見事♪さすがだねアリス♪」
また頭上から声がしたと思ったらその姿は見えるようになっていた。彼は猫のような尻尾と耳をはやし、宙にふわふわと浮いていた。
「そんなことよりも、これはどいうことだ?まさかこんな日中にこんな人の多いところで奴らが暴れるなんて聞いてなかったぞ。それと、俺はアリスじゃない。」
「んーとね♪ざっくり話すと、アリスがいない間にいつの間にかなんらかの原因でやつらがこんな時間にこんなとこまでこれるようになっちゃてたって感じかな♪緊急だったから一番近くにいた僕が来たってわけ♪僕でよかったねアリス♪」
アリス呼びについてはもう触れないでおこう。言ったところでこいつは聞かないな。すると隣に座っていた女の子が震え泣きながら、
「…何あれ…。殺してきてよっ!戻ってきたら…っ戻ってきたらどうすr―――」
「戻ってこないよ。」
彼女の言葉を最後まで言わさなかった。言ったらほかの人も何か俺に言うに違いないと思ったからだ。
「だよな。チェルシー。」
「うん♪いつものプランで動いてるから、そろそろ終わるんじゃないかな♪あ、言ってたら来たよ♪」
割れた窓ガラスから一人の男の人が下りてきた。右目に切り傷の跡があり、閉じている。反対の開いている左目はとてもきれいな瑠璃色の眼球をしている。
「二人ともお疲れ。とくに雪杜。いきなりだったがよくやってくれた。おかげでこちらは早く終わったよ。ありがとう。」
「いえ。チェルシーもいましたし。それよりも、どうしますか?ここ。」
目の前に広がっているのは、ボロボロになった教室と、何が起こっているのか全く分からず、ただ恐怖を感じて震える生徒の姿だった。
最後までありがとうございました。次回もよろしくお願いします。