~非日常な出逢い~
はじめまして!私こと、田中瑠兎は、物語の主人公である愛田乙女ちゃんの脇役をしています!!
私が、脇役だと自覚したのは幼稚園の年長さんの時です!私の横には、いつも乙女ちゃんがいました。
乙女ちゃんは、可愛くて、誰にでも優しくて、困っている人にいつも手をさしのべる天使のような子です!
男の子にも人気があってモテていました。乙女ちゃんが話し出すと周りも集まります!そんな乙女ちゃんをみて、なんとなく理解をしちゃったんですよね。
(私じゃ、主人公にはなれないだろうなぁ)と・・・。
子供にしては達観としていたかと思います。
何故、こんな風に説明しているかというと・・・私と乙女ちゃんが、異世界に来ちゃったからです!!
「瑠兎ちゃん、ここどこなのっ?」
不安気に、瞳をうるうるした乙女ちゃんは、可愛いですね。
「おそらく、異世界かな。私たちが住んでいた町ではないね。」
「ど、どういうことなの?」
「ここに来る前に現れたあいつが原因だと思うの」
「そ、それって、私の前に現れた人のこと?」
「それしかないよ」
そう、私たちがこんな訳のわからないところに来たのには原因があります。私と乙女ちゃんが学校の屋上でランチをしているときだ。
「瑠兎ちゃん、またここで食べてるのぉ?」
「うん、乙女ちゃんは、皆と食べなくていいの?」
「うん!!いいの!だって瑠兎ちゃんがいないのつまんないんだもん!」
「はぁ・・・別に一緒にいなくても気にしないよ?私に気を使わなくてもいいよ?」
「もぉ、瑠兎ちゃんは、わかってないなぁ~!私が好きで瑠兎ちゃんと一緒にいるんだよ?」
乙女ちゃんは、頬を膨らませて私の右腕を抱き込む。男にやったら、イチコロだろうに。
こんな日常に退屈を感じているけど、不満もない。
そう思っていると・・・。
(・・・った)
「?瑠兎ちゃんなにか聞こえなかった?」
「??聞こえなかったよ??」
乙女ちゃんは、首を傾げた。
(ひ・・・・ま、みつ・・・た)
「な、なに?」
「一体どこから・・・?」
今度の声は私にも聞こえた。
「ひめさま・・・見つけました・・・」
「?!」
「きゃあ!!」
私と乙女ちゃんの前にとてつもなく光が広がり私たちは目を瞑った。
光が少しずつ消えていくのを確認してからそっと目を開けると・・・。
「見つけましたよ。私の姫様」
「ふぇっ、わ、私?」
乙女ちゃんの前に跪き、右手の甲にキスを落とす様は英国の王子さまのようだ。
「あ、あなたはだ、誰なの?」
「申し遅れました。私の名は、エリオ=ラビット。姫様の守人でございます。」
「ぁ・・・/////」
乙女ちゃんの頬は赤く染まり、じっと男を見つめる。私も横で観察をする。
赤い軍服に、銀の鎖を腰に巻いてあり、すらりとした体躯。髪は銀髪で、切れ長な瞳は赤と紫のオットアイ。
白くスベスベそうな肌にはシミひとつない。まさに、美形だ。その頭についている耳がかなり気になっているけど・・・。
男の耳には、ウサギの耳がついていた。ピョコッピョコッと動いている。
「ところで・・・」
不意に男がこちらに目を向けた。睨み付けて。
「こちらのかたは誰なのですか?姫様」
「私の大親友なの!!ずっと一緒にいるのよ!」
「ほぉ・・・・・・」
「な、何ですか」
「いえ、姫様にこのような方がいるとは知らなかったのです」
その発言の裏には嘲笑が浮かんでいた。
それに私は気づいていた。
何がこの男の琴線に触れたかは知らないが不愉快だ。
何故、初対面の奴に嘲笑など浮かべられなけりゃならないのだ。
「それで、あなたはなんなの?乙女ちゃんに何のよう?」
「貴女に言うことではないですよ。さぁ行きましょうか、姫様」
「えっえっ?ど、どこにいくの?」
「私どもの世界に・・・姫様の世界に。行きましょう」
「や、やだ・・・こ、怖い!瑠兎ちゃんっ・・・!!」
乙女ちゃんは、私の服を強く掴む。その様子に益々睨まれる私。
「ぎゃははは!!見つけたぜ!!エリオ!!」
「!?お前はっ!!」
今度は、地面から黒い靄のようなものが現れたかと思ったら全身漆黒の男が現れた。男頭にも羊の角?が生えていた。
「ほぉ・・・こいつがお前の姫様か。」
男はにやりとにやつく。男の右腕から突然黒い炎がでる。
「お逃げください!姫様!!」
エリオという男が何やらぶつぶつと唱えると、私と乙女ちゃんの周りに光が集まった。
「必ず、姫様を迎えに行きます!ですから、今はお逃げください!!」
そう言って私たちを光の穴に落とした。
「きゃああああ~~~!!!!!」
「わあああぁぁぁぁ~!!!!!」
そうして今に至る。
「さて、どうしようか。」
「あっ!まずはひとを探してみようよ!!来ちゃったものは仕方ないしね!瑠兎ちゃん行こう!」
「わっ!そんなに引っ張るなって。わかったから!」
乙女ちゃんの順応力はかなり高い。
こんなとこらに来ても笑っている。私は、手を引っ張られながらこれからのことを考えた。
初めて書きました。これから、少しずつ書いていきます。こんな私の小説ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。個人的には、主人公ちゃんの悪女設定も考えていたのですが、脇役ちゃんは、そんなことを気にしない達観とした人物なので、無自覚な主人公にしてみました。