第15話 聖女の誤算
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何でこうなった?
私たちは教会で聞き込み……いやいや……儀式を行うために訪れた。事前に王都の教会で儀式の練習を積んでいたせいか何も問題なく終わったはずだったのだが……。
「あなたが盗賊団のボスなんですね。」
「セイコさん……一体何を言い出すの。この神父さんが盗賊団のボス……そんな馬鹿な。」
「よくわかったな。流石は『聖女』さまだ。」
意外にも神父さんから返ってきたのは肯定だった。しかも、近くにいた私を羽交い締めにして、いつの間に取り出したのか、ナイフを突き付けている。
セイコさんが言うには、この世界の神様が盗賊団のボスの名前を教えてくれたんだそうだ。ところかまわず『鑑定』スキルを使っていたら、神父さんと同じ名前だった。
人間違いかなと思ったそうだが、挨拶したときに名乗った名前と違うし、神父さんなら必ず持っているはずの『聖魔法』のステータスも持っていなかったのだという。
確かに異世界の『聖女』さまもその世界の神にコンタクトできたよ。でも、簡単な質問でイエスとノーで答えられるようなことだけで何かを調べて教えてくれるような能力は無かったはず……『聖女』スキル恐るべし……チート過ぎるでしょう……
それはこっそりと教えてくれることであって堂々と相手に聞くようなことじゃないでしょ。私は首に突きつけられたナイフを握りしめる。と、至近距離過ぎるが『ファイアーボール』を唱える。
辺り一帯に響き渡る悲鳴を上げる神父さん、もとい盗賊団のボスの腕から抜け出すとセイコさんの腕を掴んで逃げ出した。
そのときになって、ようやくとんでもない行動をしてしまったと思ったのかセイコさんは泣きながら火傷した私の身体を『治癒』魔法で治してくれた。
「『聖女』の偽物だ! 捕まえろ!!」
一般人なのか、盗賊団の一味なのか。追ってくる集団がどんどんと膨れ上がる。
罵声や怒声が響き渡る中、必死に走るのだが……セイコさんの足が遅く、すぐに取り囲まれてしまった。逃げ切るために、魔法を唱えようとすると、セイコさんが私の腕を掴んで首を振る。一般人に怪我をさせることは、彼女の信条に反する行為らしい。
「待て待て待て……これは何事だ。」
突然、人波が割れると複数の騎士たちを従えたひとりの男性が現れた。
「これは領主様、『聖女』の偽物だそうですぜ。不逞、女たちだ。」
顔を良く見てみると確かにユーストリングス団長に似ている。だが、こちらの男性のほうが若く美形だ。『鑑定』スキルで確認すると25歳となっている。
私は何かを言おうとしたセイコさんの口を塞ぐ。嘘だ、本当だと言い合いしても身の証が無い。言えば言うほど嘘くさくなるのが常だ。ここは黙って相手の出方を待つのが得策である。
しかも元凶の盗賊団のボスは何処かに逃げたのか周囲には居なかった。これでは暴き立てることもできない。
「そのほう名前はなんと申す?」
「私はショウコ、彼女はセイコです。」
「ほほう。異世界の召喚者らしい名前だ。これは慎重に扱わなくてはいけないぞ。間違いだったら、大変なことになる。この場は俺に預からせてもらおう。よろしいな。」
有無を言わせず決めてしまう。嘘とは決め付けずに対応してくれるらしい。とりあえず、この集団から抜け出せるのならば付いて行くべきだろう。
「はい。わかりました。」
とりあえず了承をしておく。危害を加えられそうになったら、『転移』魔法で逃げればいいか。
「では参ろう。」
周囲の騎士たちが拘束しようとするわけでもなく。付かず離れず取り囲むとそのまま移動しだした。




