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太田牛一

毛利元就が在世中。

彼のもとに1人の人物が

『あなたの伝記を書かせてください』

と尋ねて来たことがありまして

それに対し元就は

謙遜の言葉を並べながら

(……間に合っているよ)

とやんわり断られたエピソードや、


太閤記を遺されましたは

前田藩から知遇を得ていたこともありまして

太閤秀吉のエピソードとは無関係にも関わらず

急に前田利家の活躍が登場するなど


文芸に限らず

生活費を稼ぐためには

スポンサー

と言うモノ無しには成り立たない。

これはサラリーマンも同様でありまして

例えば

モノを運ぶ仕事にしましても

持って行って欲しいモノがある人が居て、

そのモノを欲しい。送って欲しい人が居る。

自分では運ぶこと。取りに行くことが出来ない。

その欲求を満たすために雇われる形で

運搬

と言う仕事。

お金を得る機会が発生することになる。


その点。恵まれていましたのが

太田牛一でありましたり、

高坂昌信でありましたり、

大久保彦左衛門

と言った人物でありまして

彼らは

文芸作品を創造しなくとも

武将としての務め。

生活の糧を得る術。

スポンサーが居たこともありましてか

高坂と大久保に関しましては

(……そんな文書遺して大丈夫?)

と言いました

愚痴まみれの文言が綴られているのに対しまして

太田は

戦時・平時問わず

仕事の依頼のあります

右筆の際に長けていたこともありまして

信長以後も丹羽。更には秀吉・秀頼の家臣として仕事をしながら

江戸時代の天下人・家康とも繋がりを持つ。

生涯に渡り

表舞台で活躍されたこともありましてか。

見て来たことを極力ありのままに。

の作品を多く遺るだけの余裕があった。


……の話から

1人の日本人のかたが

中東で行方不明となられている

と言う報道が出ております。

そのかた。

イラク戦争直後の混乱期に

イラクで拘束されておりました

3名の日本人の消息を追い掛けるべく

イラクに入国するも

御自身も拘束される。

と言う体験をされております。

そのかたの

ではありませんが

最初の3名が解放された際、

イラクのかたの言葉が報道されておりまして

その時の記憶を頼りに綴らせて頂きますと


戦争後の混乱の只中にあるため

同じイラク国民同士でも疑心暗鬼になっている状況。

危険な状態であるにも関わらず、

なんでこの混乱とは無関係の

日本人。

それも一般の日本人が入って来るんだ。

危ないから来ないでくれ。

今回は解放するけど

今後はそうはならないよ。


の警告を発せられていた。

イラクのかたからお灸を据えられた時期に

同じく拘束されたかたでありますので

今回のような事案に巻き込まれる

と言うことは

承知されての行動であり、

結果であると感じております。


一方、なぜ彼は

このような危険地帯に何度も足を踏み入れることになったのか?

に関しましては


(……仕事として成立するから)


危険地帯に足を運ばなくとも

生活の糧を得ることが出来るのでありましたら

たぶん

でしかありませんが

戦場カメラマン

として活躍されておられましたかた同様。

けっして無理はしないと思います。

なぜなら

生きるために働いているのでありますから。

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