2話
“世界の果て”というものを聞いたことはあるだろうか。
目の前に広がる大地が、かつては呼ばれていた。
ーーそう。“かつて”は。
*****
フィレス大陸、中立地帯。
山間に隠される様に置かれた水車に引かれ、流れる小川が通った集落は大きいとは言えないが、総勢300名以上もの人々が犇き合って暮らす村だった。
大国二つに挟まれながらもどちらにも属さない上、誰にも顧みられることのない不毛の地。
ーーしかし今は見渡す限り和やかな風景が広がっている。
田畑に果樹園、干しものが吊るされた軒下。どれも依然には無かったものだ。
人口的に舗装された道には誰かしらが通り、井戸の前では時折、女性達の笑い声が響く。
そこはほんの一年前からは想像もつかない程、平和でのどかな風情の村だった。
“ミシマ村”という、半年前にキヨが自身の姓をそのまま付けた村は、山も海も手を伸ばせば届きそうな近さにある。まさに中立地帯と呼ぶに相応しい土地だった。
キヨは前世で89才で寿命を迎え、その記憶を持ったまま生まれ変わった、いわゆる“転生者”だ。
現世では5才児だが、小さい身と侮るなかれ。幼児ではあり得ない存在感と貫禄を持ち、確たる実績を前に村人に認められた実力者である。
彼女は転生後すぐに、産みの親を殺された。隣接する大国ティグマーレンによる焼き討ちの被害者だ。
赤子だった彼女を引き取り育ててくれた娘ミラも、他の村民達も皆、同時に親兄弟を亡くした。当時村は廃墟同然で、ここまで持ち直したのは奇跡と言っていいだろう。
キヨがそんな回想に浸りながら村の小道を歩いていると、二人の子供に話し掛けられた。
「村長〜!」
「こんにちは、村長」
見れば、進行方向からドレイク家の長女と三男が姿を見せた。
「おぉ、ラディにシーリーン。どうしたえ?」
彼らは一家で仕事を手伝っている。女伊達らに漁業を担う、サーシャ・ドレイクの末の子供達である。
シーリーンは今年15才。母親に性格がそっくりな女子で、ラディは10才になる、子供らしく生意気な男子だ。
「なぁ、何で髪真っ白なんだ?」
「こらっ、失礼じゃない」
言われた通り、キヨの髪は真っ白だった。
キヨをこの世に産み出してくれた母はくすんだ金髪で、父は茶交じりの金色をしていた。眼はどちらも薄青かったと記憶している。
しかしキヨは何故か新雪の様な白髪で、瞳は神秘掛かった瑠璃色だった。隔世遺伝では無いかと思われる。だが、文明の違うフィレスでは遺伝について理解がないらしく、単に異端とされていた。
村の大人達は初めは何か言いたそうにするものの、重役であるキヨの色彩について触れることはない。
ミシマ村自体、異種同士という事もあるだろうが、ミラに至ってはそれを自慢にさえしている。
きっと深い考えは無かったろう、ラディの様子に嫌味は無く、彼の質問に悪意が無いことは分かったが、シーリーンが慌てて諌めた。
キヨは笑いながら返す。
「さあのぅ。して、ラディ。お前さんは何故赤い髪なんじゃ?」
これは単なる言葉遊びではない。
ラディに考えさせる為。教育の一環だ。
「えっ、オレ?……うんと、……母ちゃんが赤いから?」
確かに、ドレイク一家は揃って赤髪。肌もシーリーンを除いては全員が浅黒かった。
「では何故、ラディという名前なんじゃ?」
「え、それは……、親が付けたから……」
「そうじゃな、私も同じじゃ。親の色を受け継ぎ、名を貰った。それが何故かと訊かれてもちと困るの」
考え込んだラディの頭を小突きながら、シーリーンが頭を下げる。
「すみません、村長」
まるで保護者の様なしっかりとした対応だ。
しかし、謝罪相手が見た目5才児なので、おままごとにしか見えない。
「よいよい。ラディはまだ“十才”じゃ。これから学ぶじゃろ。……そういえば、わしに何か用かえ?」
キヨが冷静な声で続けると、シーリーンがあっ、と声をあげて、ラディが早口にまくし立てた。
「母ちゃんが村長を迎えに行けって!今日、家来るんだろ?」
「ラディ!……今日は視察の日だと母から聞いています」
律儀に言い直す少女を微笑"ほほえ)ましく思いつつ、キヨは頷く。
「そうかそうか。私の迎えじゃったか。すまんのぅ」
今日は、漁業の状況を見る為に海沿いに住むドレイク一家を訪ねることになっていて、先程ミラに見送られて出て来たところだったのだ。
「では、案内してくれるかの?」
キヨがそう言うとシーリーンがおずおずと手を差し出してくる。それを素直に取ると、彼女ははにかんだ。
やはり傍目には“村長と使者”では無く、おててを繋いだ“少女と幼児”の図にしか見えないが、シーリーンが嬉しそうなので良しとしよう。
何やら後ろから視線を感じたので振り返ると、ラディがこちらを羨ましそうに見ていた。
「ラディも手を繋ぐか?」
空いている片手をヒラヒラ振りながら問うと、少年は顔を真っ赤にして憤慨した。
「ふざけんな!誰がつなぐかっ、バーカ‼︎」
「ラディッ‼︎」
「おやおや、嫌われてしまったかの」
照れ隠しだと分かってはいたが、冗談交じりに言うと、そっぽを向くラディを引っ叩きながら、シーリーンが本気で弁明を始めた。
その余りの剣幕に、流石のキヨも一瞬たじろいでしまった。
(何だか、可哀想な事をしたかの……)
齢94の記憶を持ってしても、巧くいかないものもある。
ーーキヨは改めてそう感じたのであった。
*****
「おー、村長!待ってたよ!」
海の近く、さざ波が聴こえる場所に出ると、威勢の良い声に出迎えられた。
ドレイク家・家長のサーシャだ。
彼女は赤い髪に小麦色の肌をした、男勝りの美形。丁度、ラディを大きくした様な女性だった。
サーシャは5年前の戦火で夫を亡くしていて、女手一つで4人もの子を養っている。キヨの前世に通じるものがあった。
「おぅ。調子はどうじゃね?」
「まぁまぁかね。……あぁ、礼のワカメ、出来上がったから後で男らに引き取らせに来てよ」
礼の、と表現したのは、乾燥させたもののことだ。
この近海はワカメの宝庫だった。キヨはワカメ産業を推奨し、食卓を潤わせると共に商業の足掛かりにしたのである。
そのまま食べることも出来るが乾燥させることで保存可能で、水さえあればいつでも食べられると教えたときには村で話題になったものだ。
この数ヶ月で、毎日の食卓に乗るくらい、村に馴染んでいる。
「まったく、ワカメばっかり採れてしょうがないよ」
「食料庫が空になるよりマシじゃろうて」
食料庫とは、村人全員の為に乾物や保存食を備蓄した倉庫のことだ。これにより餓死者がゼロになった。
「 もうちっとデカい船がありゃ、魚もいっぱい採れるだろうよ」
「ふむ。……ならば、追い込みをしてみてはどうじゃ?」
船体を大きくするには、資材も技術者も足りない。しかし船に数があれば別の方法で間に合わせることが出来る。
「追い込み?何だいそりゃ?」
「囮の船を使って挟み込んで……」
サーシャに追い込み漁を簡単にレクチャーすると、彼女も思う所があったのか、真剣な表情で考え込んだ。
その後、追い込みや囲い込みがイルカなどの哺乳類の狩りを真似た事や、海の生物と漁業の関係などを講釈しているうちに陽はすっかり傾いて、そろそろ暇乞いの時間になってしまった。
「今朝採れたばかりの魚、持ってって」
「おおっ!いつもすまんな」
「なぁに。村長のお陰で皆おまんまが食えるんだ。こんくらいどうってことないさ」
サーシャの気前の良い言葉に、魚介類が大好物なキヨは、遠慮なく土産に頂いて帰る事にした。
そんな時だったーー。
「おい、村長!緊急事態だ!」
ドレイク家に駆け込んで来たのは末っ子のラディ。彼はシーリーンと共に兄達の所に行った筈だった。
「ちょっとラディ!紛らわしい言い方するんじゃないわよ」
少年に追い付いたシーリーンが、彼の頭を小気味良く叩いて訂正する。
「ーー村長。ミラさんからですけど、急いで戻って欲しいって」
「子供が行き倒れてたんだってよ!」
「なに、行き倒れじゃと?」
それは緊急事態だ。
キヨが眉を寄せると、シーリーンはまたもや弟の頭を叩く。
「お前は黙れ。ーー違うんです。何でも迷子みたいで、村の子じゃないらしくて。村長の指示が欲しいそうです」
ラディの言い回しに、彼女は母に良く似た低い声を出して黙らせ、補足を入れた。
彼女が言うには、見知らぬ子供が村の外から単身でやって来たという。ミラが保護したが、扱いについては村長であるキヨの意見が欲しいと、伝言を寄越したそうだ。
因みに、手紙のやり取りには伝書鳩ならぬ伝書烏を遣っている。
「成程のぅ。……あい、分かった。直ぐに帰宅すると伝えておいで」
キヨの言葉に、直ぐ様シーリーンが動く。
ワクワクした様子で自分も見に行きたいと纏わり付いてくるラディに、一連のやり取りを黙って眺めていたサーシャがGOサインを出した。
「あんた荷物持ちね。村長、悪いけど連れてってやって」
「うむ。構わんよ」
返事をしたためて戻ったシーリーンが、キヨについて行くことになったラディに土産の魚を託し、二人がドレイク家を出発したのは、夕焼けの頃だった。
*****
キヨとミラは二人で住んでいる。表向き、ミラは保護者という事になっているからだ。
キヨが村の村長だということは、村の古株の住人しか知らない。ーーというよりは、信じない。
それで特に不都合は無いし、要らぬ面倒を避ける為にも、新しく村に入った者たちには取り敢えず伏せて置く方針になっていた。
「ーーということじゃ。ラディ、客人の前では名前で呼ぶのじゃぞ」
子供にも分かりやすい様に噛み砕いて説明し、キヨは村長宅である建物の扉を叩いたのだった。
言うまでもないことだが、5才児の身長では洋式のノブに手が届かない。いつもミラに中から開けてもらうのだ。
『はいは〜い。ちょっと待ってね〜』
中から女性の声が聞こえてくる。
やや間があって、中から扉が開けられると、淡い金髪の娘がキヨ達を迎え入れた。ーーミラだ。
「お帰りなさい……、あら。ラディもいらっしゃい。まあまあっ!サーシャさんから?ありがとう〜」
ミラがラディから魚の束を受け取り、顔を綻ばせる。
「ミラ、迷子のことじゃがーー、」
「ああ!そうだったわ。取り敢えず中に入って!」
ミラの先導で二人は客間に向かった。
客間と言っても、普段は茶の間として使っている小さな部屋だが。
軽くノックをしてミラが入り、キヨ、ラディと続くと、この世界では嗜好品の紅茶の香りが鼻を突いた。
「あ……、お邪魔してます」
聴こえてきたのは、耳に優しいボーイソプラノ。そこにいたのは、見るからに育ちの良い、蜂蜜色の髪をもつ少年だった。
凡そ10才前後か。
ラディと同じくらいの背丈だが、着ている服の仕立ての良さや、理知的な水色の瞳、更には所作から貴族階級の子息と見受けられた。
「一人にしてごめんなさいね。この子はキヨって言うの。仲良くしてあげてね」
ミラも馴れたものだ。キヨの保護者という表の顔は、完璧なものだった。
「キヨちゃん?僕はテオって言います。よろしくね」
にっこりと微笑む少年はかなり整った顔立ちで、天使もかくやといった美しさだった。常人ならコロリとやられるところだろう。
ーーしかしキヨは90年以上人の表情を見てきた玄人だ。作り込まれた笑顔だと一眼で分かった。なので、あくまで冷静に返す。
「キヨ、と呼び捨てて良い。一人で来たのかえ?」
すると、貴族の少年ーーテオは、困った表情を浮かべた。
「うん、そうなんだ。キヨちゃ、……キヨはここの家の子?隣の子は、お友達かな」
「ちげーぞ。こいつは、」
「ーーそうじゃ。ミラと暮らしておる。彼はラディという。漁師の子じゃ」
余計なことを言われる前に、キヨは言葉を被せた。嘘は吐いていない。
「……そう。ラディ君ね」
「おうっ、俺も呼び捨てでいーぞ。よろしくな!」
ラディが元気良く手を差し出すと、一瞬目を見張ってから、握手に応えるテオ。
「よろしく、ラディ」
ーーこうして、キヨは運命の(?)出会いを果たしたのであった。
*****
キヨは魚介類が大好物だ。
その中でも特に刺身が好きで、冷蔵庫が発明されていないこの世界で、魚を生で食べられるのは海の近いこの村ならではだろう。
夕食の手伝いと称してミラについてきたキヨは、まな板の上の銀色に輝く新鮮な魚に眼を奪われながら、ミラに事の経緯の説明を受けていた。
「つまり、跡目争いから逃れて来たということじゃな?」
テオは、キヨハル村に隣接するアクゼリュオン大国某貴族の嫡子で、後継争いで兄達に命を狙われているという。
「しばらく匿ってあげられないかしら?」
彼は、ほとぼりが冷めるまで身を隠していなければならないようだ。ならば、ここで保護したいとミラは言った。
「そういうことなら構わぬが、村の運営やわしのことは様子を見てからじゃな……」
今は情報を制限しなければならないだろう。勿論、村民達とテオの両方にだ。
「分かったわ。皆にもそう伝えましょう」
「うむ。……して、この魚。ちと味見してもーー、」
「いけません」
にっこりと一蹴され、キヨは項垂れた。
*****
この世界の文明は地球に比べて大分遅れている。ヨーロッパで言うならば、16世紀くらいだろうか。
丸みを帯びた大地。フィレス大陸は、アクゼリュオン大国、ティグマーレン大国、砂漠のマハトラからなり、ミシマ村がある此処は、そのどれにも属さない中立地帯だった。
一見狙われ安そうな立地だが、アクゼリュオンとティグマーレンが互いに睨み合っている中、誰も痩せた村を顧みることはなかった。精々(せいぜい)が戦時の中継に遣われるだけの不毛の土地とされていた。
ーーほんの一年前までは。
今では自給自足が成り立ち、村で生産されたものをアクゼリュオンの町に売りに行ったりして、かなりの潤いを見せている。
その代わりに人手が足りなくなり、それを補う様に流民を受け入れている昨今だった。
総勢300人を超える集落は最早、村ではなく町と言えるだろう。
たかだか数年でここまで発展した場所は他に無い。単にキヨがもつ、前世の知識の賜物だった。
「おはよう、テオ」
ミシマ村の村長宅に昨日から泊まっている少年に、キヨは朝の挨拶をした。
昨夜の夕食後、ラディが帰った後に、ミラが打ち合わせ通りに彼を迎える提案を伝えた。それを本人が是非も無いと受け入れ、一晩を越えた。
「おはよう。良い朝だね」
テオは朝早くにも関わらず、一糸乱れぬ出で立ちで、爽さわ)やかな笑顔を浮かべていた。
ーーこれぞ目の保養。キヨは前世の概念からそう思い、上機嫌に笑みを返した。
「良かったらお話ししない?この村の事とか」
「構わぬが。ーー良ければ村を案内しようか」
「ぜひ、お願いするよ」
村の各要所には昨夜のうちに連絡を取り、隠せるものは隠してある。ーーすでに見られている可能性のあるもの以外は、だが。
余所には極力凡庸な田舎で通している。ただ、どうしてもボロが出てしまいそうな部分もある。例えば、5才児に一室が与えられるなど、平民では普通ないが、そういった常識外のことは全て“ミシマ村”ならではだと説明する。
雑談を交えながら村を案内していると、テオは時折驚いた様子を見せていた。
正午になり家に帰ると、手が届かないキヨの代わりに彼がさっと扉を開けてくれる。
流石貴族階級。子供ながらに紳士の意識付けが完璧だ。
これからは彼に扉を開けてもらおう。
キヨはこっそりそう考えた。
「ごめんなさいね、お昼まだなの。出来上がるまでお茶を呑んでいてくれる?」
「私も手伝おうか」
「僕も」
「うふふ、大丈夫よ。二人は待ってなさい」
ミラは笑みながら、しかし断固とした意思のみえる口調で言う。
調理場は彼女の領分だ。彼女に任せよう。
キヨはテオを伴って客間へと向かった。
程無くして、ミラがティーセットを持ってきた。キヨが馴れた所作で茶器を並べ、ミラが後は任せたとばかりに退出する。
部屋にはキヨとテオの二人だけになった。
「……不思議な色だね」
「うん?緑茶は初めかえ?」
今日は紅茶の気分ではなく、長年親しんだ味の茶を選んだ。この世界にないものの一つだった。
「りょくちゃ?」
「うむ。緑色をしているが、茶葉自体は紅茶と同じじゃよ。香りと風味は違うがな」
「ーーえ?紅茶と同じ?」
「そうじゃ。工程が違うだけで、元は同じものじゃ」
テオは関心した様に頷く。しかし、やはり見慣れないものは口にしたくないのか、呑もうとする気配がなかった。
「どうしたえ?」
「……ああ、うん。何でも」
「毒見が必要かえ」
キヨが何気無く言った言葉に、テオは虚を突かれた様な顔をした。きっと5才児にそんな気遣いをされるとは思いも寄らなかったのだろう。
「大丈夫、ちょっと猫舌なだけだから」
テオは笑うが、キヨにはその笑顔がどうにも胡散臭く見えて、何とも歯がゆくなった。
だからつい、お節介心なことを言ってしまう。
「無理に笑わんでよい。普通にしておれ」
「え……?」
「お前さんが楽しくて笑っているのでない限り、私の前で笑わんでよいよ」
キヨはズバリ言い切って見せた。踏み入った発言だとは分かっていたが、これから暫の間は共に暮らすことになるのだ。自然体の方が、お互い気を遣わなくて済む。
そう思って言ってやったのだが、テオは面食らったのか目を見張った後、キヨの顔をまじまじと覗き込んだ。
「キヨは小さいのに、すごく賢いんだね。ーーそれもミラさんの影響?」
「それはどうかの……」
キヨの影響がミラに、ならばあるが。
キヨはぼそりと呟いた。
「そう言えば、キヨの髪はとても綺麗だよね。ミラさんとは色が違うけど、魔力持ちだったりする?」
今度はキヨが目を見張る番だった。
ーー魔力?なんじゃそれは。
テオがもう少し大きかったら、所謂中二と呼んでしまうところだが。
キヨは喉元まで出掛かった言葉を辛うじて呑み込んだ。
「どういう意味かえ……?」
冷めかけた紅茶を卓に戻しながら、キヨは恐る恐ると言った風に、テオに向き合った。
*****
ーーそしてこの後、キヨはそれまでの常識を覆すような、びっくり仰天な発言を耳にすることになるのであった。