それから
しばらくして。ある日の朝。朝食を取りながら新聞を眺めていた福に異変が……
「ん~? ん。ん!? ブフォ!」
口にしていた牛乳を噴霧器のように吐き出し咳き込む。きったな。
「だ、だって、これ」
福が指差した新聞にはボディビルの大会で太志が優勝し、期待の新星と騒がれている記事があった。掲載の写真にはトロフィーを高々と掲げた大志と、その後ろで涙する松千代の姿がはっきりと……
「これって、心霊写真じゃん!」
あー、そうなるねェ。
「なんで? なんで、誰も気付かないの?」
う~ん。充実した指導霊生活で霊力が上がっちゃったんじゃない。この前も一般人の大志や他のマッチョ達にも姿が見えてたみたいだし。あんまりはっきり見えすぎて霊だと思われないんだろう。
「うー。大志は大会で優勝。おやじは指導霊になれちゃうし……」
なんだ?
「涼さんだって『厄介事から解放された』って喜んでて……」
良い事尽くめではないか。
「あたしだけなんも報われてな~い! バックも買えなかったしぃ~!」
報われるような事は何一つやっていないだろう。おまえは。しかし、福以外の人間(霊を含む)は全て幸せになった訳だし、作者の付けたタイトルは間違っていなかったと言う事だな。よかった。よかった。
そして、福は新聞から顔を上げ、ありったけの大声で
「 『福!!がくる』なんてタイトル、うそっぱちだー。ぶわっきゃろー!」
と絶叫した。
第一話からタイトルまで完全否定するとは……困ったチャンな主人公であるなぁ。
なお、本ストーリー中に登場する人物、地域、施設、特に霊に関する設定は全て架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
真夜中に廃墟で肝試しなど、霊障だけでなく不測の事件、事故に巻き込まれる事もありますので、福のように霊能力を持ち、格闘マニアで巨乳、かつ、作者と自由に話せる方以外、絶対におやめ下さい。
「巨乳まではともかく、作者と話せる人なんて、あたし以外いる訳ねーじゃん!」