9 あ、あれじゃね?
位階上げの為に治療しまくりましょう!という話だったけど、教会を訪れるタイミングで治療出来る人に遭遇する事があまりなく、数をこなすのは難しかった。あらかじめ時間を決めて、その時間まで待ってもらう、その時間に来てもらう案もあったが、村に時計がない為に断念した。結局、サシャさんを治す事が多かった。傷つけ方は⋯お互いの為にも優しいものに変えさせてもらった。
サシャさんの身体的ダメージ、俺の精神的ダメージもあり、能力の経験増の効果もあるのか、位階は二に上がった。だけど、位階以外の表示には変化がなかった。世界移動の時間も変わりない。体力と魔力の最大値は位階が上がると増えるらしいけど、数値化されてるわけではない為、感覚でしかわからないそうだ。前より魔法が回数多く使えるようになったとか、そんな感じで。あと、次の位階までの必要な経験値はわからない。
聖魔法の能力がある人は位階が二になると、解毒の魔法が使えるらしいが表示されなかった。そもそも聖魔法という表示がない以上、おそらく使えないのだろう。となると、やはり学習がどういう能力なのかを解明したい。解明できないと回復だけになってしまう。いや、元々魔法がない世界で生きてきた身だし、あの世界で身を立てるわけではないんだけど、いろいろできるならしてみたい。
ピンポン。
サシャさんを治すのは食傷気味なので、外に出てみる事にした。いつも教会の中にしかいなかったから、外に出るのは初めてだ。ただ、時間に余裕があるわけではないから、走りながら景色を見るぐらいしかできない。道は広いが舗装されていない。教会より高い建物はなさそうだ。それでいて、多分木造建築。家と家の間隔が結構ある。日本でいうと、何十年も前の田舎の集落みたいな感じだろうか。
そろそろ戻る時間かと思っていたら、突然何かがぶつかってくるような衝撃を感じた。
「っぶっ!」
普段の生活の中では感じた事がない衝撃だ。痛い。骨が折れたりしてないだろうか。結構痛い。ぶつかってきた相手が何なのかと確認しようとしたところで部屋に帰ってきた。
『回復』
『状態』
とりあえず回復をして、戻ってからの習慣となっている状態の確認をする。
「お?」
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ユウジ・サトウ
職業 無職
位階 二
体力 満
魔力 小
能力 世界移動 五分間
学習
学習による効果 回復
突進
経験増
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回復を使用した分の魔力が減ったくらいだろう、と流し見するつもりだった。だが、文字が増えていた。学習による効果に『突進』と表示されている。
突進?突進?⋯突進?⋯さっきなんかがぶつかってきたけど⋯え、それ?それなの?え?能力なの?
実際に使えるかの確認は、あっちに行ってからする事にした。部屋の中でやったらどうなるかわからない。となると、出来る事といえば⋯。
⋯何故、能力が追加されたのか?考察をしよう。
今回、何かから衝撃をくらった。その原因が『突進』だったとしたら⋯。くらったから使えるようになったのか?⋯それじゃあ『回復』はサシャさんにかけてもらったから?⋯だとしたら、この二つが使える理由は説明できる気がする。
つまり、能力として存在してるものなら、自分にかけられれば能力として使えるようになる。⋯って事ではないだろうか。あんな事があった直後に、それっぽい能力が増えている事を考えると、そんなに的外れではないだろう。
⋯なんか、こーゆーの、小さい頃にやったゲームになかったか?⋯敵の技を覚えて使える能力があったような?⋯⋯⋯⋯⋯⋯あ、それだろ!これ!
答えにかなり近づいた気がする。いや、むしろ正解なんじゃないだろうか。次に行った時には、答え合わせの為に何かかけてもらいたい。
あちらの世界の人から見れば、結構チートなのでは?と思ったが、冷静に考えると微妙なところだ。確かに聖魔法しか使えない人に比べれば、他の攻撃手段も使えるとなれば良いように思える。しかし、
体験しないと使えない。
だとすると、攻撃手段を増やす為にわざわざくらうのか?という事。サシャさんじゃないけど、回復魔法があるから多少はくらっても大丈夫だろう。ただ、どの程度までいけるのかわからない。例えば初級みたいのは大丈夫でも、中級、上級と威力があがっていったら死んじゃうのではないか?蘇生魔法があって、蘇生する事によって、くらった魔法も蘇生魔法も覚えられるとしても、死ぬのはちょっとどうかと思ってしまう。
位階が上がれば自然に使えるようになるものでも、ものによってはギリギリの体験をしないと使えるようにならない。探知するようなものなど、自分の身で体験できないものは使えるようにすらならない可能性が高い。良くも悪くも中途半端かも?
⋯でも、あの世界で暮らしていくわけじゃないんだし、リアルなゲーム感覚ならこんなんでいいのかな。魔王を倒す勇者でもないんだし。あー、でもサシャさんに言ったらどうなるかな。答え合わせをしない方がいいような気がする、な⋯⋯⋯⋯うーん⋯⋯。




