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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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8 トラウマならん?

 ええい、ぽちっとな。


「聖魔法とは表示されてなかったんですよね?」

「さ、されてないね」


 教会に着いた途端、昨日の会話が再開された。短時間である以上、余計な会話は要らないから助かるんだけど、なんか今日はいつもより圧を感じる⋯。


「司祭様にも聞いてみたんです。普通は聖魔法が使えるから、回復はもちろん、その系統の魔法が使えるんです。回復だけなんて聞いた事がないそうです」

「でも、あるって事は⋯」

「回復だけなら使える、のかも?」


 あ、前に光ったような気がしたのって⋯⋯。


「よし、時間も少ないし、早速試しましょう!」

「試す?」


 そう言って、近くのテーブルにあったペーパーナイフのような物を逆手でもって、勢いよく反対の腕に振り下ろした。


「っっっ痛っっ!痛い!痛い!」

「ちょ!?何してんの!刺さってんじゃん!?」

「いたたたっ⋯⋯。ほら!ユウジさん!治して!」

「え?え?え?えぇ?!」

「状態と一緒です!早く!痛いんだから!」


 じゃあやんなよ!無茶振りだなっ?!ええぃ!ままよ!


「か『回復』っ!」


 少しとはいえ、血がてでいたところが少し光りながら、徐々に治っていく。パッと一瞬ですぐに治るわけではないけど、自然治癒より断然早い。治っていく過程を早送りで見ているようだ。


 治ったのを確認し、安心したら自分だけ戻ってきてしまった。


 ⋯あ、やべ。置いてきた。⋯つか、あんな事すんなよ。



ーーーーー



「治った!回復できた!あれ!?いないっ!もう!」

「サシャ?何を騒いでいるんです?」


 ⋯おっと、怒られそうな雰囲気だぞ。


「ユ、ユウジさんに回復を試してもらったんです!」

「⋯使えたんですか?」

「はい。怪我を治してもらいました」

「他の聖魔法も使えるのかもしれませんね」

「はい!いろいろ調べたいです!」

「それは構いませんが、お勤めも忘れてはいけませんよ?」

「も、もちろんですー」


 今日はニホン行きそびれたー。ユウジさんのバカー。



ーーーーー



「魔法、使えちゃったな⋯⋯。厨二病とかではなく、本当のやつ。でも、なんでだろ?」


 ⋯⋯学習による効果とは?⋯そのままの意味か?ん?学んだ覚えはないな。ゲームやったり、漫画読んだりした事も学びになるのか?いや、そしたらもっといろんな攻撃の魔法とかあるはずだ。


 『状態』


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ユウジ・サトウ


職業  無職

位階  一

体力  満

魔力  小

能力  世界移動 五分間

    学習

     学習による効果 回復

    経験増


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 昨日見た時と違いはほぼなく、わかる事は特にない。魔力の表示が小になっていたのは、魔法を使ったからだろう。


「職業、位階、体力、魔力、能力ねぇ。なんでこういう表示なんだろな。多分、位階ってレベルの事だよなぁ」 


 置き換えると、ジョブ、レベル、HP、MP、スキルってとこか?そしたら、レベル上げには経験値って事だろ?それが増ってことは多くもらえるってことか?世界移動はワールドムーブとか?学習はスタディ?うーん。なんか会社で勉強すんのなかったっけ?⋯あ、ラーニング?んで回復はリカバリー?ちょっとイメージ違うか?やっぱヒールとかだよなぁ。


 学習すると効果が増えるのか、変わるのか。今後の生活には必要ないだろうけど、他にも能力が使えるようになるかもと思うと、ぐっとくるものがある。時間制限内で何ができるのか。リアルなゲーム感覚だ。


 ⋯⋯ん?ゲーム??⋯なんだったかな⋯。


 ピンポン。


「来ましたね!位階を上げますよ!」

「んぇ?位階を上げる?」

「そう!位階が上がると他の聖魔法を覚えるのか!他の能力が増えるのか!時間は変わるのか!試さずにはいられないっ!!」


 もう、聖女ってなんだっけ?というくらい、どんどんサシャさんに対する印象が変わっていく。


「ど、どうやって上げるの?何か倒すの?」

「それも手段としてはあります。ですが、今後時間が延びないと難しいかと。でも、回復を使えるなら、治療しまくればいいんです!」


 サシャさんの自傷行為を見た後だからか、笑顔が怖い。また、やらかすのでは??


「いやね、さすがに毎回やるのは私もちょっとと思ってますよ?変な趣味になったら嫌ですし⋯」

「それなら良かったよ」

「はい。私の普段の仕事を手伝う感じでいこうかと」

「仕事?」

「毎日少なからず、怪我や病気を治したいって方がいらっしゃいます。その方を治してみましょう」

「なるほど。それで経験をして位階を上げると」

「そうです。ただ、今日はもう来ないかもしれないので⋯⋯」


 そう言って、またペーパーナイフのような物を逆手でもって、勢いよく反対の腕に振り下ろした。


「っっっ痛っっ!痛い!痛い!」

「ちょ!?また?!何してんの!?馬鹿なの?!」

「いたたたっ⋯⋯。ほら!ユウジさん!今日も治して!」

「⋯さっき言った事とやってる事違うし。ドン引きだわ⋯」

「ほらっ!早くっ!血がでてるっ!」

「はいはい、『回復』っと」


 傷が治ったタイミングで、腕をがしっと掴まれた。


「よし!今日はニホンに行きますからねぇ!」


 回復を使う度に、サシャさんの自傷行為が脳内再生されない事を祈る⋯⋯。


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