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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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59 ここじゃない

 歩き始めて二時間は経ったくらい。途中で何度か魔物に遭遇するも、問題なくさくっと倒せて進んでいる。このまま無事に目的地までいけますように。


 ブォー⋯。


「あ〜涼しい⋯」

「ウホウホ」


 聖女とゴリラは、近藤さんに後ろから扇風機をかけてもらっている。使えば位階が上がるんだから、と説得されて使い続けているが、どこか納得できない顔をしている。確かにサシャさんの言う通りに使い続ければ上がると思う。だけど、少しでも快適に過ごしたいところに、ちょうどいい理由があったというのが正しいだろう。⋯これが本音と建前というやつか。


「まぁ、せめてちゃんと位階があがればいいね⋯」

「え、あがらないの?!」

「あがるだろうけど、どれだけ使えばいいかかわかんないだけだよ」


 自分にはいろんな能力と経験増があるけど、普通はそうではない。だから、普通がわからない。


「あとどれくらいかな⋯」


 目的地までの所要時間を確認してみると、約五十分と表示されている。地図では真っすぐを示しているが、実際は道なき道だし、起伏もそれなりにある。真っすぐなんて進めない。突進でも使って進みたいけど、木にぶつかってしまいそうだ。


「まだ着かないんですか?!」

「あと一時間くらい⋯」

「まだそんなに⋯」

「ウホウホ」

「⋯あれ?」


 小さいゴリラがなんか持っている。


「それ、何持ってるの?」

「ウホ?」

「それ?」


 ゴリラの手には見たことがあるボタンがある。


「サシャさんの?」

「いえ、渡してませんけど⋯」

「ウホウホ」

「え、自分の?」

「ウホ!」

「そうでしたか」

「ウホウホ」

「ふんふん?」


 ⋯嘘だろ。サシャさんとゴリラが会話しているように見えるぞ。


「とりあえず、これはこの子のものみたいですね」

「⋯⋯そ、そっか」


 踏みこんだら負け、な気がする。


「ウホ!!」

「え?押すの?」

「ウーホッ!」


 ゴリラがジェスチャーし始めたせいか、サシャさんが訳さなくてもなんとなくわかる。別に押したところで何も起きないはず⋯⋯⋯だよな?


「ウホッとな」


 ピンポン。


「え?喋った?」


 世界を移動する時と同じように音がしたと思ったら景色が変わった。


「え?」

「こ、ここはっ?!」

「あれ?」


 目に入ってくる景色は見覚えのある場所だった。


「教会だ⋯」

「あれ?!あの子がいないっ?!どこ行ったの?!」


 ゴリラが見当たらないとサシャさんが教会の奥まで探しにいってしまった。


「佐藤さん。ここっていつもの教会?戻ってきたの?」

「⋯多分だけど違うんじゃないかな」

「なんで?」

「あんなのなかったと思うし」


 教会の中央にあたる位置に立て札がある。近づいてみると何か書いてあるけど読めない。


「テクノさん。なんて書いてあるかわかりますか?」

「んん?これか?⋯⋯『ここは安全地帯です』??なんだこれ?」

「あ、そう書いてあるんすね⋯。って事は進むならあっちとか書いてます?」

「ええと⋯書いてあるな。進むならあっちだそうだ」


 そう言って指を差した方向は、教会の出入り口だった。


「なるほど⋯。ここは魔物がでない休憩所みたいなとこですね」

「洞窟内に?!」

「そうみたいです。前に行ったとこにもありました。なので、暑かったし疲れたから休みましょう」


 テクノさんや近藤さんに、前にもあったことを説明する。


 安全地帯だとわかったからか、ミラさんが教会の奥に何かを探しに行ったと思ったら、サシャさんが入れ違いで戻ってきた。


「あの子が見当たらないんです⋯」

「え?⋯あぁ、ゴリラのこと?」

「もう会えないんですかね⋯」

「そうなんじゃない。洞窟内だし、ここ安全地帯みたいだし」

「⋯え?安全地帯?そうなんですか?」

「あれに書いてあったって」


  テクノさんに読んでもらった立て札を指さす。


「!!?って事は、お風呂とか?!」

「⋯⋯⋯教会にお風呂はあるの?」

「!!??」


 わかりやすく、あっ!って顔をしている。それだけで、教会には風呂はないから入れないし、悔しいし、悲しいといった感情が丸わかりだ。


「なんでここなの?!ユウジさんの部屋が良かった!!」

「なんでかな。ゴリラのせいじゃない」

「あの子の?!」

「ボタン押したのはゴリラだし、サシャさんに懐いてたし。⋯⋯あ、ってことはサシャさんのせいじゃない?」

「え?私?!⋯くっ!!それなら仕方ないか⋯」

「⋯⋯⋯⋯⋯(ぼそっと)ゴリラバカ⋯」

「なんか言いました?」

「いえ、なにも」


 既に安全地帯にいる以上、ないものねだりをしても仕方ない。可能な限りは休んでこれからに備えたい。


 長椅子に座って、鞄の中身を出していく。


 おにぎり、お菓子、飲み物、カップラーメンなど。ここまで暑いとこを歩いてきたから、おにぎりだけは悪くなる前に食べておきたい。ただ、このあとがどれくらい続くのかわからないから、残せるものは残しておきたい。


「ここには何か食べ物とかあるのかな?」

「どうでしょう。いつも食事してる部屋に行ってみますか」


 サシャさんに連れられて、皆で教会の奥に進んでいく。


 さっきミラさんもこっちに行ったような⋯。


「あ!?ミラ?!」

「ん?もぐもぐ⋯。なに?もぐもぐ⋯」

「なにって⋯」


 部屋に入ってみると、ミラさんがパンやら野菜やらをひたすら食べていた。


「もぐもぐ⋯⋯もぐもぐもぐ⋯⋯おいし⋯」


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