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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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53/62

53 暑いんだし

 そろそろ夕飯でも食べようかと思っていたら、ソイツはやってきた。そして、俺の夕飯を当たり前のように食べ始めた。


「捕まるかと思いましたよ!もぐもぐ⋯。このお肉、柔らかい⋯。もぐ⋯」


 こうなると、何を言っても無駄だと分かっている。だから、自分の分を追加で用意するしかない。⋯もう冷凍食品でいいかな。


「⋯おや?ユウジさん?追加で作ってくれるんですか?ありがたいありがたい」

「いや、俺の分なんだけど⋯まぁ、いいや。で、捕まらなかったんだ?」

「そうです。無事です!」

「⋯残念だよ。捕まってたら面白そうなのに」

「え?面白くはないですよ?」

「え?そうかな?」

「そうですよ!⋯あ、それどころじゃ⋯もぐ⋯もぐ」


 会話ではなく、食事を優先するようだ。話を聞くなら明日以降でもいいか。


 電子レンジの音が鳴り、解凍されたものを持っていったらそれも食べ始めた。時間の許す限りは食べるつもりなんだろう。


 ⋯うん。自分の分はいなくなったら食べよう。


 食べる姿を眺めて終わった次の日。


 ぽちっとな。


 ピンポン。


 今日も教会だった。昨日より怪我人が多いように見える。こちらを見つけたサシャさんとミラさんが声を合わせた。


「「ユウジさん!ちょっと手伝ってほしいです!」」


 順番を待っている人の視線がこっちに向いた。隣にいる近藤さんも、だ。だいたいの人は何ができるのか?というような目をしていたように思う。


「佐藤さん?何を手伝うの?俺もやる?」

「⋯あー、近藤さんは時間が短いからいいよ」

「ユウジさん!こっち!ここの列と変わって!」


 そういうミラさんと交換し、ミラさんは別に列を作りはじめてそちらを治療し始めた。


 昨日の今日でばらすのもあれだけど仕方ない。


 並んでいる一番前の人の状態を確認する。知識はないけど、これなら自分でも大丈夫だろう。


『回復』


「⋯治ったっ!?教会の人なのか?」

「いえ、違いますよ。たんなる手伝いです」

「手伝いって⋯。聖女さん達と変わらんじゃないか」

「まぁまぁ。他にもいらっしゃるので次の人と変わってもらえますか?」

「あぁ、すまん。ありがとう」


 そう言って次の人と変わる様を見ていたら、視界の端で百面相をしている近藤さんが目に入った。叫ぶかと思ったら消えていった。よし。


 自分の列にいた十人程度の怪我人を治したところで、サシャさん達ももうすぐ終わりそうだ。俺がいなくても人数的には間に合っただろうけど、早く治さないといけない人もいたようだ。役に立ったなら良かった。


「ちょうどいいタイミングでしたよ!」

「それは良かった。なんかあったのかな?」

「⋯噂を確かめようと、洞窟に行く人が増えているみたいです」

「噂?」

「洞窟が攻略できる、とか。騎士団が動いた、とか。なんかいろいろですね。攻略はともかく、騎士団が動いたんなら大人しくしてればいいのに⋯。聞いてる感じだと位階をあげたり、地図だったりで貢献できれば⋯って事らしいです」

「確かに地図はあったほうがいいね。でも毎回変わるなら意味ないんだよね」

「はい。でも、金の亡者の皆さんはそこまでわからないでしょうし」

「え、自分の事?」

「なんのことでしょうかね。私は聖女です!」


 キリッとドヤ顔されると無性に腹が立つ。


「まぁ、いいや。とりあえずそろそろ時間かな」

「おっと、じゃあ休憩しないといけませんね!」


 まだミラさんが最後の人を治療しているけど、別室に背中を押して連れて行かれる。と、思っていたら、昨日と同じく公園で待っていた近藤さんが目の前に現れた。


「「うわっ!!?」」


 あまりないパターンだったから無駄に驚いてしまった。


「⋯⋯どうしたんですかー?」

「「なんでもない⋯」」


「それよりもっ!!佐藤さん!魔法使えるの?!使ってたよねぇ?!」

「えぇ?」

「そうですよ!ユウジさんは魔法使えるんですよ!」


 何故かサシャさんがドヤる。


「え?!なぁんでなぁーんで?!」

「なんでって知らない」

「神様のおかげでしょうね!!」


 神様のおかげでもサシャさんがドヤる。


「は?神様?そんなのいないでしょ?」

「あっちにはいるらしいですよ」

「えぇ?!」

「そう!います!こう見えてもわたし!神託を授かってますから!」


 渾身のドヤ顔だ。


「神様、ほんとにいるんだ。⋯⋯だったら!だったら俺にも、いや、オラにも何にか能力わけてくれーー!!」


 近藤さんが両手をあげて叫んだ。なんかどっかで見たことがあるような気がする。


 ここ日本だぞ。通報されたくないんだけど。それにそんなのでもらえるなら苦労しないだろ。変な能力だったら困るんだぞ。⋯まぁ、近藤さんだからいいけど。


 ピンポーン♪


 ボタンを押した時と同じような音がした。近藤さんがスマホを確認している。メールかなんかだろう。


「ん?なんだこれ⋯」

「どうしました?」

「変なメールきてる。『あげちゃう。扇風機なんてどうかな』って書いてある」

「⋯⋯⋯⋯ちなみにどこから?」

「え?⋯えぇと、通知不可能だね。迷惑メールかな?」


 ⋯まさか。


「⋯近藤さん、状態を使ってみようか?」

「え?いいけど。こっちでも使えるんだ?」


『状態』


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    タクミ・コンドウ


職業  無職

位階  一

体力  満

魔力  中

能力  扇風機


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「「扇風機??」」


「おや、もしかしてなんか能力が??」

「うん。なんか増えたみたい」

「「ヒャハ⋯」」


 おっと、二人ともぷるぷるし始めたぞ。


「「ヒィーーーハァーーーッッ!」」


 二人が同じタイミングで、同じ声量で叫び始めた。


 それはおいといて、扇風機って何だろう??今の季節に使うあれかな?


「「ヒィーーーハァーーーッッ!」」


 うまく使えば電気代節約できるんじゃ⋯。


「「ヒィーーーハァーーーッッ!」」


 ⋯⋯⋯⋯⋯。



ーーーーー



『オラにも何にか能力わけてくれーー!!』



 いいよ!あげちゃう!


 タクミのポーズを見てたら、なんだか早くあげたくなってきた。


「あ!これならちょうどいいんじゃないかなぁ」


 今まで何がいいかと悩んでいたけど、暑そうな日本を見ていて急に思いついた。


 じゃあ神託だしてっと⋯。これでいいよね。


 どんな能力でも、イメージ次第で使いようはある。うまく活用してほしい。



『『ヒィーーーハァーーーッッ!』』


 ⋯おっと、これは私のせいなんだろうか。


『『ヒィーーーハァーーーッッ!』』


 いや、違うはず⋯。


『『ヒィーーーハァーーーッッ!』』


 ⋯⋯⋯⋯⋯。


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