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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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51 長いものにまかれたい

 どっかで動きがあったとしても、まぁ知らないわけで。


 とりあえず、しばらくは魔物退治はしないで隣の町の散策を楽しもうと思っているんだけど⋯。


「キタコレッ!キタコレッ!異世界!ヒュウーーッ!!」


 ⋯声の主はサシャさんではない。近藤さんのほうだ。会社ではあまり接点がなかったのに、最近はわざわざこっちまできて絡んでくる。連絡先交換もしないで、ゆっくりフェードアウトしようとしたかったけど無理だった。そして交換をしたらしたでもう逃げられない。そんな状況です⋯。


「そうですよ。お望みの異世界ですー⋯」

「外国みたいですね!」

「まぁ、それも正解かと。違う国なんだし」

「ここはなんていう国なの?」

「パラデリアだそうで」

「ふーん。言葉が通じるから一瞬バグるけど、街並みは日本じゃないし⋯⋯⋯ビバ!異世界!」


 ⋯うざい。いや、そんなことは思ってはいけない。⋯⋯いや、思ってもいいんじゃないか?事実だし。唯一の救いとしては、彼がいるとサシャさんが少し静かになる。今みたいに右にサシャさん、左に近藤さんがいて、同時に騒がれた日にはもう発狂してしまうかもしれないから。


「ニホンにはこういう感じの町ってあるんですか?」

「作りとかの見た目は違うだろうけど、人数とか建物の高さでいうなら、田舎の方にはあるんじゃないかな。あとは別の国にもあるんじゃないかな」

「別の国?」

「うん。日本以外の国」

「⋯あ、そっか。そうですよね。こっちだってパラデリア以外にも国があるんだし」

「でも、こっちの世界は他の国との行き来が大変そうだね」

「距離がありますしね」

「それを馬とかでしょ?飛行機はないだろうし、せめて車や電車があればねぇ」

「ヒコーキ?」

「空を飛んで移動できる乗り物だよ。前にサシャさんもベランダから見たことあるはずだけど」

「あったような⋯。乗ってみたいけど、空ですか⋯」

「展望台とか、こないだのビルなんかよりもっと高いことだよ」

「⋯それは絶対に無理ですっ」

「サシャさんは高いと⋯」


 テンション高く写真を撮りまくってた近藤さんが会話に入って来たと思ったら消えていった。あっちで少し待っててもらおう。


「やっぱり五分は短いですねぇ」

「そうだね。⋯でも、いいんじゃないかな。静かになるし」

「おぉぅ。それは⋯確かに」

「ただ、今度はサシャさんもああなるしなぁ」

「っ!!?⋯⋯そうかもしれませんがっ⋯」

「おや。似ていると自覚できるようになったのかなぁ」

「⋯⋯いえ!!私は私ですっ!変えられないっ!たとえ似ていると言われようとも!!ヒィーーーハァーーーッッ!!!」


 いきなり叫ぶのはやめてほしい。通り過ぎた町の人がビクっとしてたじゃないか。その後、この人なら仕方ないかって顔されてたけど。⋯まぁ、だったら予告されたところで同じことか⋯。


「⋯⋯まぁ、これは人の癖がうつったというか、なんていうか⋯」

「ん?なんて?」

「いえ、なんでも。コンドウさんの能力はなんでしょうかね?位階もあげられるのかな」

「なんだろうね。???だったし。そのうち使えるようになるんじゃない?」

「多分としか言えないですね。こっちの人じゃないですからね。それにわかったところで使いどころが難しいのだと⋯」

「今後に活かせるかどうか、だね」

「そうですね。今まで聞いた事があって、よく分からないのは前転とか」

「え、前転?」

「えぇ、転がるこれです」


 サシャさんが前に転がるそぶりをみせる。


「それは、な、何に活かせるのかなぁ」


 体操の競技とかあれば役に立つかもしれないけど、こっちではどうなんだろうか。


「前転で位階が上がったところで⋯どうなんでしょうね?」

「⋯頑張れば魔物退治できるんじゃない?」

「⋯確かにできなくもない?」

「ま、まぁいろいろあるってのはわかった。近藤さんもそのうちかな」

「そうですね。ただまぁ正直、時間を延ばすだけなら何でもいいでしょうしね」

「⋯⋯いや、あの調子だと魔物退治もやりたがると思うんだ」

「⋯あー⋯」


 ピピっとスマホのタイマーがなる。


「そろそろ時間かな。来るんでしょ?」

「そうですね。私のボタンとは別に行けるなら行かないともったいないですから」


 そう言って手をとった瞬間、日本に戻った。


「⋯⋯ここは??」

「あ、佐藤さん。戻ってきたね」


 先ほどとは打って変わって、普通のテンションの近藤さんが待っていた。少し時間も経って落ち着いたのか、外だからなのか。いや、さっきも外だったよな?


「ここは動物園だよ」

「⋯⋯ドウブツエン??」


 こっちでの観光になればと、動物園にきている。ただ、行きも帰りも近藤さんと二人という形になっているのが、いろいろと考えさせられるけど。


「普段は見られないようなところにいる動物を集めて見られるようにしている施設かな」

「動物⋯。牛とか馬とか?」

「それも動物なのは間違いないけど、そういうのはいないかな」

「⋯どんな動物なんでしょう」

「まぁ、見てみようか。時間過ぎてあっちに戻っても、よかったら自分のボタンで戻ってこれるんだし。時間ないし、行くよー」

「はい」


 見たことのないものばかりだったのか、キョロキョロしている。かわいいとか言ってるのが聞こえたりしてたけど、途中でどっかを向いて動かなくなった。と思ったら走っていってしまった。


 えーと、あっちには⋯??


「⋯⋯なんですか?!あれは!!」

「んん?」

「あれ首??長くない?!なにあれ?!」

「あれはキリンだねぇ。あっちにはいないのかな」

「わかりませんけど、初めて見ました!魔物じゃないんですよね?!」

「こっちにはいないって」

「あれは突然変異とかそういうのですか?!」

「あーゆー動物。首の長い動物」

「あれ、触れないんですか?!」

「触れないねぇ」

「なん⋯」


 残念。時間がきたようだ。消えてったと思ったら、数分後。


「なにあれ?また長いんだけど?!鼻?!」


 戻ってきたようだ。動物園はサシャさんのお好みにあったようでなによりだ。ミラさんも連れてきている。


「あ、近藤さん。サシャさんと一緒ならもう一回あっちにいけますよ」

「っ!!!ヒィーーーハァーーーッッ!!いかいでか!」

「うん。騒がないでほしいなぁ⋯」

「なにあれ!?鼻でリンゴ食べてる?!」

「ここなに?!サシャ!あの大きいの魔物?!」


 うーん。この人達が一堂に会すると俺のダメージがひどいなぁ⋯。


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