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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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46 上に参ります、下に参ります

「ん、石像⋯?」


 目的地であるビルの中に入ってみると、たくさんの石像が両サイドに並んでいた。ここに来るまでの間に見たり聞いたりした動物の石像だ。


「本物じゃないですよね⋯?」

「多分⋯。でも、なんか今にも動きだしそうだから、ここ通るの嫌だなぁ⋯」

「でもでも、この先に扉みたいなのないですか?」

「あー、確かに⋯」


 先にはエレベーターがあるのが見える。それ以外には何もないようだから進むしかない。


「気持ち悪いよー⋯。動きませんように⋯」


 ズズッ⋯。


「え?」

「ど、どうしましたっ?!」

「いや、なんか聞こえたような⋯」

「や、やめてくださいよっ!?何も聞こえませんでしたよ?!」

「そ、そう?」

「そうですっ!!」

「気のせいかな⋯」


 ズズッ⋯。ズッ⋯。


「んーー??私もなんか聞こえたような⋯」

「ミラまで何言ってるんですかっ?!」


 石像の間を進むにつれて、音が聞こえる気がする。


 ズズズッ⋯。ズズズッ⋯。


「お、おい⋯」

「ダヌさん?どうしました?」

「あれ⋯⋯あれ⋯⋯」

「あれ?」


 ダヌさんが指をさす方向には、通り過ぎた石像があった。その石像はビルの入り口方向を向いていたはずなのに、こちらを向いている。


「⋯⋯え?」


 よく見ると、他の石像も全てこちらを向いている。


「動いている⋯の⋯?」

「気持ち悪い⋯です⋯」

「⋯あれ、近づいてきてはいない⋯よね?」

「多分きてないと思うけど⋯⋯きたら困るね」

「さ、さっさと進みましょうっ!!ユウジさん!あの扉みたいなの、何なのかわかりますよねっ?!」

「わかるよ。エレベーターかな」

「エレベ⋯」


 ズズズッ⋯。


「あ、こっちが動くと石像も動くんだね」

「そんなのいいから、早くっ!早く行きますよ!!」

「サシャ、怖いの??」

「怖いですよっ!!」

「えぇ?今までずっと魔物とかいたのに?」

「それとはなんか違って⋯不気味というか、なんていうか⋯」

「⋯あー、少し分かるかな」

「分かります?!」


 ズズズッ⋯。ズズズッ⋯。


「ヒィッ!!?」

「⋯あれ、やっぱり近づいてきてるよね?」

「やめてくださいよ?!」


 ズズズッ⋯。ズズズッ⋯。ズズズッ⋯。


「い、嫌ですってぇーー!!エ、エレベーターッ!!」

「あ、ちょっと!」


 サシャさんが走って行ってしまった。急いで後を追いかけていくと、比例して石像たちの動きも早くなってしまった。エレベーターに到着する頃には振動も音も大きくなって、距離も近くなっていた。


 ズズズズンッッ!!ズズズズンッッ!!ズズズズンッッ!!ズズズズンッッ!!


「え?!え?!え?!潰されちゃう?!」

「キャーッ!!キャアッ!!ユウジさん!この扉どうやって開けるんですか?!」

「そこのボタン押して!」

「ボ、ボタン?!⋯⋯あ、これですか!?えいっ!!」


 ぽちっとな。


 この階にエレベーターのかごはあったようで、すぐに開いた。急いで乗り込んだ。


「皆乗ったね?!⋯閉まるボタン押してっと。えっと階数は⋯」


 開閉以外のボタンは一階と五十階しかない。


「ご、ごじゅう⋯⋯」

「え、まさかエレベーターって高いとこまで行くんじゃぁ⋯」

「⋯うん、そう」

「っ!!嫌です嫌です!!高いところは嫌です!!しかもこないだより高いですよね?!無理無理無理無理ですーーー!!むーりーっ!!」

「⋯⋯じゃあ、降りる?石像いっぱいだけど」

「⋯⋯⋯くっ!それはそれでダメなやつ⋯」

「はい、なので押しまーす」

「あぁっ?!」

「え、高いとこいいじゃーん!」

「え、高いとこ⋯?」


 ダヌさんはわかってないようだけど、押せばわかるだろう。


 五十階をぽちっとな。


 エレベーターはゆっくりと動き出した。


「おぉ、これは上にいくのか⋯」

「これ、エスカレーターとは違うんだね」

「なんで見えるの⋯。こんなの見えなくていいのに⋯。なんなのなんなの⋯」


 ここのエレベーターは、扉やかごなどが全てガラスで出来ているようで丸見えになっている。だから、登っていくのがわかるようになっているが、それがサシャさんに追い打ちをかけているようだ。何かブツブツ喋っていたと思ったら、急に静かになって小刻みに震えている。顔色も悪くなったような気がする。


「あ!羊じゃない?」

「え?」


 何階なのかはわからないが、羊がたくさんいるのが見える。その階が近づくにつれ、エレベーターの上がる速度がゆっくりとなっていく。止まるんじゃないかと身構えたが、止まることはなかったから助かった。


「あ、今度は犬!」

「猫もいる?!」


 今までの動物はここからでてきていたんだろうか。


「あ、止まった⋯?あ、開かないよな⋯」


 今まで止まらなかったのに、牛の階で止まってしまった。


「なんで止まってるんですか?!」

「わかんない⋯」

「⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯動いて⋯」


 もし扉が開いてしまったら、すぐに防御力上昇をかけないといけない。そんな状況を察したのか、ミラさんが盾を構えた。ダヌさんも構えている。サシャさんは目をつぶってブツブツ喋っている。


『⋯⋯上に参ります⋯』


 さっきはなかったアナウンスが流れ、また動き出した。


「⋯ふう。良かったぁ⋯」


 上を見上げてみると、他には何もないように見える。あとは上までいってくれるはずだ。


「⋯⋯早く着いて⋯。いや、止まって⋯。いや、下に⋯」

「サ、サシャさん⋯」


『五十階です』


「!!」


 十数秒後、アナウンスが流れて五十階に着いた。サシャさんが目を見開いた。でも、何も喋らなかった。


 エレベーターの扉が開いたから降りてみると、一階にあったような石像もなく、ほぼ何もないフロアだった。


「あれは⋯」


 フロアの中央には見たことがあるような台座があった。前はボタンがあったけど、今回は⋯。


「パソコン??」


 一昔前のパソコンのようだ。モニターが薄くないし、画面がぼやけているように見える。キーボードもマウスもなんかゴツい。


「テレビみたいですね。なんか書いてません?」

「んん?どれどれ⋯」


 英語かな?⋯システムスタート?いや、実行中か?⋯⋯こっちはシャットダウン?⋯⋯これ、カーソル動くのか?


 カタカタ⋯。


「あ、動くね。そしたら⋯」


 カーソルを動かしてシャットダウンに合わせてみる。そして、エンターボタンをぽちっとしてみた。


「えいっ」

「え?それ押して大丈⋯」


 ゴゴゴッ⋯。ズズズッ⋯。


 なんかフロアが振動し始めた。徐々に大きくなっていく。


「地震?!ちょっとユウジさん?!何したんですか?!」

「⋯さぁ?」

「さぁ?じゃありませんよ?!ここ五十階なんですよ?!こんな揺らしてどうしてくれるんです?!」

「⋯あー、ごめん?」

「なんで疑問系なの?!」

「おいおいおいおいっ?!」


 なんかやっちゃったかもと思っていたら、床がなくなった。


「床がっ !!??」

「キャアッ!!??」

「ヒィーハァッ???!」

「うおおおおっ??!!」


「「「「やばい!落ちるーっ!!!!」」」」


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


「落ちっ!落ちっ!!⋯⋯てなーい??」

「え?え?え?」

「あれ、ここは⋯」

「⋯洞窟の入り口か?」


 五十階から落ちたと思ったら、洞窟の入り口付近だった。


 え、どういうこと??日本ぽいとこの次は、こっちっぽいとこってことか??


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