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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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45 プチ観光かな

 電車が止まらずに、延々と地下を走り続けた。⋯⋯なんてことにはならずに、電車は目的の駅で止まってくれた。


「着いたんですか?」

「多分ね」

「本当に移動してたんですか?ずっと暗かったから、実感わかないですね」

「ねー。なんかガタガタしてたけどねー」

「あー、ずっと地下を走ってたからわかりづらかったかもね。でも、さっきと違うとこだよ」


 ホームにおりて、動いているエスカレーターを見せる。


「ほら、あれ。さっきはなかったでしょ」

「「「階段が動いている?!」」」

「あ、これもまだ知らなかったか」

「⋯⋯いえ、見たことあるような気も」

「まぁ、いいや。エスカレーターっていって、階段が上か下に動いてるから、乗ってれば勝手に着くよ」

「じゃあ、あれに乗れば階段で上がらなくていいと」

「うん、そういうこと」

「イヤーッフゥッ!!やったーー!!もう階段は嫌ですよっ!!」

「⋯⋯そうだね。普段は階段を使わないのかな?」

「使いませんね。今日はもう一生分の階段を使ったと思います!」

「⋯あ、そう。⋯⋯じゃあ、ダヌさん、どうぞ」

「え?!そこは私じゃないの?!」

「⋯いや、誰でもいいんだけど」

「じゃあ!!私からっ!!ダヌさん!いいですね?!」

「あ、あぁ⋯」


 ダヌさんを押しのけたサシャさんは勢いよくエスカレーターに乗⋯⋯⋯らなかった。


「⋯⋯ユウジさん」

「なに??乗らないの??」

「⋯⋯これ、いつ乗ればいいんですか?ずっと動いているから乗れないんですけど」

「え??自分のタイミングで乗りなよ」

「⋯⋯え、自分のタイミング??」

「え??うん」

「え???」


 え?なんて言えばいいの?エスカレーターは止まらないんだから、そのまま進めばいいじゃない。


「サシャが乗らないなら私が先に行っていいかな?」

「いいんじゃない?あ、上にいくのは右のほうだからね」

「右だね!わかった!」

「え?あ⋯ミラ⋯」


 ミラさんは止まることなく、スタスタと歩いていって、すごく自然にエスカレーターに乗った。


「うわ!すごいね、これ!何もしなくても上にいけるんだね!楽じゃん!」

「ちょっと、ミラ⋯⋯え、なんで乗れたの?」

「サシャさん。難しく考えないで真っすぐ進んでみたら?」

「え、えぇ⋯」

「ほら、ミラさん行っちゃったから早く行かないと。サシャさんが行かないなら先に行くよ?念を押すようだけど右だからね?」


 なかなか進まないサシャさんを置いて、エスカレーターに乗る。ダヌさんも普通に乗れたようでついてきた。


「ほらほら置いてくよー?」

「ちょっ?!ちょっと待ってくださいよ!?」


 あれ、なかなか乗ってこないな。このままだと見えなくなるんだけど。


 十数秒後、サシャさんの姿が完全に見えなくなってから声が聞こえてきた。


「イヤーッフゥッ!!やったーー!!乗れましたよー!!動いてる!!すごいっ!!」


 ちゃんと乗れたようでなによりだ。本当の日本じゃないけど、いい経験になっただろう。


「ヒィーハァッ!!勝手にあがってるー!!らくちーんっ!!」


 ⋯うん。ここが洞窟内で本当に良かった。でないと、全力で他人のふりをしないといけなくなる。


 改札のある階で、遅れてきたサシャさんと合流して、どの出口から出たほうがいいのかマップを確認する。


「どれどれ⋯拡大してっと⋯」

「さぁ!次はどっちですか!?いや、その前にユウジさん!」

「んん?」

「あれは何ですか?!ニホンでは結構見かけますけど!」


 指をさされたほうには、どこにでもある普通の自動販売機があった。


「あ、私も気になってた!いろんなとこにたくさんあるよね!」

「あれは自動販売機っていって、飲み物が買えるんだよ」

「⋯え?お店ですか?あそこに人がいるんですか?!」

「⋯⋯え?人はいないけど」

「⋯え?人はいない?どうやって売ってるんですか?」

「あー⋯お金を入れたら、飲み物が出てくる機械だよ」

「キカイ⋯。人がいなくてもいい⋯」

「さっきのエスカレーターだって機械だよ」

「キカイ⋯キカイ⋯エスカレーター⋯ジドウハンバイキ⋯⋯」

「あの、サシャさん?そろそろ行かない?」

「やっぱり!!もっとニホンに来ないといけませんねっ!!」

「え、あ、うん」

「さぁ、どっちですか?!」

「え、あ、あっちです⋯」

「あっちですかっ!!」

「⋯⋯大変だな、ユウジ」

「ダヌさん?代わってくれていいんですよ?」

「いや、遠慮しておく。⋯⋯今さらだけど、普段ユウジがいるのは別の世界なんだな?」

「そうです。そういや言ってなかったすね」

「まぁ、いいさ。いろいろ不思議な体験させてもらってるしな」

「ダヌさん⋯」

「それより、行く方向は大丈夫なのか?あの二人、放っておくとどこに行くかわかんないぞ」

「⋯⋯そこらへんは、もういいかなって」

「⋯⋯それもそうだな。いい大人なんだしな」


 そう、子供を引率しているわけじゃないんだ。いくら違う世界で慣れてないとはいえ、いい大人なんだから。とはいえ、別に間違った方向に進んでるわけではないから二人を追いかけて駅を出た。


「本当にさっきのとこと違う!」

「全然違う!」

「⋯⋯あれ?」


 こんなの、あったか??


「どうした?ユウジ」

「いや、ここにこんなのなかったはずなんですよね⋯」

「⋯まぁ、一応洞窟の中だし、普段と違うんじゃないか?」

「⋯それもそうですね」


 駅をでですぐのところに見覚えのないビルが建っていて、地図に表示されている目的地がそのビルだった。


「とりあえず、ここになんかあるみたいだから入るよー」

「⋯⋯ワン⋯⋯」

「ん、サシャさん?今度は犬の真似してるの?」

「今度はって、前もしてませんよ?!」

「あれ、そうだった?」

「そうですよ!?」

「え、じゃあ、どっかに犬がいる?!それなら来る前にとっとと入らないと!」


 かわいくない動物にまた追いかけられては困るから、急いでビルの中に入ることにした。


 さてさて、今度は何があることやら。


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