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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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42 火付け役、とばされる

 ダヌさんに火をつけてもらって体を乾かしていたら、サシャさんがおかしなことを言い始めた。


「ワタシ、ヤイテタベテモオイシクナイヨ?」

「⋯⋯⋯⋯⋯は?」

「ワタシ、ヤイテタベテモ⋯」

「食べないし!?なんなの?!」


 魔物退治で疲れてんのに、さらに疲れさせないでほしい。しかもなんでカタコトなんだよ。本当に意味がわからない。


 見える範囲に羊はいないようだ。今のうちに早く移動した方が良いと思うけどもう少し休みたい。


 ここが本当の草原で何もなかったら良かったのに。それっぽく見えるけど、実際には洞窟内の謎の空間で魔物の残骸が大量に転がっている。それが残念でならないけど地面に寝転んだ。


 寝ながらマップアプリをいじる。縮尺を変えて上下左右に表示を変えてみると、少し離れた所に川らしきものが表示されていた。経路探索してみると、ここからだとだいたい一時間くらいで着くようだ。前と同じように突進を使えば少しは早くなるだろう。


「もう少し休んだら、川があるみたいだから行ってみようか」

「えー、川ですかー?」

「近くだとそれくらいしかないんだよね。もっと範囲を広げればわかんないけどさ」

「ずっとここにいても仕方ないし、そうしますかー」

「あ、今のうちに状態でも見ておこうかな」


 結構な量を倒したから確認をしておきたい。


『状態』


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ユウジ・サトウ


職業  無職

位階  十

体力  中

魔力  中

能力  世界移動 十五分間+十分間

     洞窟内は時間停止

    学習

     学習による効果 回復

             解毒

             防御力上昇

             突進

             炎

             水

             土

    地図

    経験増


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あ、位階上がったから時間が増えたのかな?」

「増えました?!⋯⋯⋯⋯⋯⋯キタキタキタキタキターッッー!!!ヒャアッッホォー!!!」

「⋯あ、うん。五分ね」

「五分っ!!焼きましょう!!」

「⋯⋯なにを?」

「ヒィーハァッ!」

「⋯⋯⋯⋯⋯」


 位階が十になれば五分増える。これまでの傾向からそうなるかなと思ってたけどその通りになった。だとすると、次は位階が十五になったらまた五分増える⋯⋯けど、こちらの世界でゆっくり観光なんてまだまだできそうにない。サシャさんに比べれば時間はあるのだけれど。


「⋯さて、そろそろ進もうかな⋯」


 川に向かって移動を開始する。今のところ、見える範囲は草だけだ。地図がないとこんなとこ攻略できないだろう。そう思って進んでいたら、草以外のものが現れた。


「あ!また羊?!⋯⋯いや、牛?!」


 あくまでもここは草原ということだろうか。草原に似合いそうなものが出てくるようだ。さっきの羊と違って一頭だけ。こちらと牛がお互いを認識をした時点で、牛が猛スピードでこっちに向かってきた。ちょいちょい加速しているから突進でも使っているのだろう。そう思っていたら、突然ダヌさんが勢いよくふっとばされた。


「っ!?ぐふっっ!!?」

「ダ、ダヌさんっ?!」


 はー、人が宙を舞う姿なんて初めて見たなぁ。ここは交通事故の現場かな?⋯⋯あ、防御力上昇なんてかけてないぞ。これは結構な怪我なんじゃない?!何あの曲がり方?!ヤバいヤバい!


「サ、サシャさん!ダヌさんをお願いっ!」

「わかりましたっ!」

「ミラさん!⋯盾は構えてるね」

「あたりまえっ!」

「ちょっとまた遅くなって悪いんだけど⋯」


『防御力上昇』


 全員にかかったのを確認してたら、牛は牛で黒いモヤをまとい魔物化し始めた。


『土』


 硬い壁をイメージする。防御目的はもちろんだけど、相手が突進してダメージを負ってくれればそれはそれでありがたい。


 ッズドンッッ!!!


 牛は思いっきり壁にぶつかったようだ。激しく振動して壁にヒビが入った。補強するようなイメージで追加で魔法を使う。


 ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯⋯ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯⋯ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯⋯ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯⋯ッズドンッッ!!!


 壁を補強しようが追加しようがお構いなしに何度も何度も突進してくる。


「自滅してくんないかな⋯」


 猛スピードで動く魔物に魔法を当てられると思えない。だったらこのまま自滅してくれたほうが助かる。


ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯⋯ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯⋯ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯⋯ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯⋯ッズドンッッ!!!⋯⋯⋯⋯ズズン。⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。


「⋯⋯あれ、静かになった?」

「倒せたのかな?」


 ミラさんが盾を貸してくれないから、ミラさんを盾にして近づいてみると、土の壁の残骸のなかに魔物が倒れていた。何度もぶつかったことで自滅してくれたんだろう。


「⋯これは魔物だから食べれないなぁ」

「牛だとしても、ここのは食べれると思えないんだけど⋯」


 ひとまず魔物への対処は終わったからダヌさんの状態を確認する。最後に見た時は腕や足が変なほうに曲がってたりしてたけど大丈夫なんだろうか。


「サシャさん、ダヌさんどう?」

「いろいろヤバかったですけど、多分大丈夫ですよ」


 汚れている以外に傷などは見当たらない。


「⋯本当に回復の魔法ってすごいんだな」


 自分の病気も治ったくらいだからわかってはいたけど、ものの数分で治ってしまう回復の魔法のすごさを改めて感じた。


「そうですっ!すごいんですっ!!」


 全力でドヤっているけど、今回は甘んじて受け入れようじゃないか。


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