38 今後の為に
壊れてしまった盾を買う為に、ホームセンターに来ている。現在、その盾がある防犯コーナーの前で数分間悩んでいる。
さて、どれにしたものか⋯⋯。
サイズも値段も手ごろで買いやすいのは、前と同じ防護盾だ。でも、先に進む事を考えると同じ盾では性能面で心もとない。また壊れてしまうかもしれない。かといって、少し頑丈そうなものにすると懐が心もとない。
安全か懐か。
どちらも、ある意味で命に関わる大事な問題だ。
⋯なんかお金になるもの、あっちで見つけられないかな?あっちで使うものなんだし。うーむ。
「あ、ここホームセンターだ」
悩んでいると、聞き覚えのある声がした。
「あ、こないだの盾じゃないですか?」
「私の盾!!?」
「⋯残念ながら、まだミラさんのものじゃありません」
「えぇ?!」
「こないだ壊れたからね。代わりを買おうか考えてたんだよ。買うにしても、どれにしようかなってね」
「同じのがいいっ!!」
「また壊れるかもしんないよ?」
「それでも!同じのがいいっ!」
それはそれで懐には助かるけども、だ。
「また壊れたら、しばらく買えないと思うけど」
「⋯⋯⋯壊さない」
「んなこと言ったって、どんな事が起きるかわかんないよ?」
「⋯⋯⋯それでも、同じのがいいな」
お、なんだか可愛く見えるような気がしてきた。
「んーーー、じゃあ同じのにするか」
「っ!!やったー!!!ありがとー!!」
「サシャさんも盾あった方がいい?」
「ミラの後ろに隠れるから大丈夫ですよ」
「⋯それはつまり、ミラさんを盾にする、と」
「っ!?その言い方はなんか違うと思います!」
「いいよっ!私の後ろに隠れなよっ!」
「あら、心強い」
とりあえず、盾は同じのにするという事で。あとは懐を潤したい。
「ねぇ、金とか貴金属もってない?」
「急になんですか?!ありませんよ!」
「今後もいろいろ準備するならさ、先立つものが必要じゃない?」
「それは⋯そうですね」
「だからそういうのがさ、あると助かるなって。鉱山とか知らない?」
「そんなの知ってたら、毎日行ってますよ!」
「そっか。サシャさんならそれもそうだよねぇ。うーん。魔物の洞窟で都合よく見つけられないかなぁ」
「よくわかんないとこですしね。どうでしょうね」
「ね」
「⋯仮にそんなの見つけたら⋯⋯⋯⋯毎日!ヒャアッハーーー!!!!!ですよっ!!!」
ある意味、いいタイミングで消えていった。
⋯⋯これ、なんか持ったまま消えたら万引きになるよな?今までにない新しい手口の万引きだろ。⋯⋯やらかさないように気をつけて見ておかないと。あれ?ミラさん持ってなかったよな?
「⋯⋯さて、レジいくか」
万引きGメンに捕まりたくないなって思った。
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「どっか、金とか出そうな鉱山とか知りません?」
「えー、そんなの知らないよ」
「ですよね」
「治療費もらえないからって、ついに直接掘ろうって?」
「違いますよ。ユウジさんがそんな事を言ってたんです。⋯⋯知ってたら、もう行ってますよ!掘ってますよ!」
「あー、いろいろ買ってもらってるもんねー」
私だけ買ってもらってるような言い方をされたけど、ミラも買ってもらっている。むしろ、私よりミラのほうが高いものを買わせている気がする。壊れた盾とか、新しい盾とか。私は服とか、食べ物くらいだし!値段は知らないけど。
「聖女はお金を稼げないからなぁ⋯」
「稼げたとしても、ニホンとはお金が違うしね」
「だから、金とか貴金属って言ってたんだろうなぁ」
もらえるものはもらいたい。でも、相手が生活できなくなるようになるのは困る。結果、何ももらえなくなってしまうのだから。なにかいい方法はないだろうか。
「⋯こっそり、外で治療して稼ぐ?」
「サシャ!それは絶対にやっちゃダメッ!!」
「やっぱりダメですよねー」
⋯でも、なんでダメなんだろう?
「ダヌさんにも聞いてみたら?私達よりは何か知ってるかもよ?こないだから会ってないけどさ」
「!!?ダヌさんっ?!」
「え、うん」
「あ、そうか。まだミラは知ら⋯⋯おっと」
「え?」
「うんん。ほら、魔物退治で忙しいんじゃないですか」
なんとなく会いづらいんだよなぁ⋯。
「聞くだけならすぐ終わるでしょ」
「⋯そうですね。次の予定も決めたいし、観念しますか」
「観念?」
ユウジさんも盾を買うくらいだから、魔物の洞窟を先に進めるつもりなんだよね?⋯となると、ダヌさんの予定も聞いておかないといけないしなぁ。
⋯⋯何か怪しい素振りを見せたら、もう一回お見舞いすればいいか。うん、そうしよう!⋯⋯⋯でも。
「今日はやめておきましょう!働かないと怒られます!」




