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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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35/52

35 まずは日常へ

 洞窟内は時間が停止される。そのせいで、結構な時間を洞窟内で過ごしたにもかかわらず、実際には二十分しか時間が経っていない。だから、今日はいつも通り出社しなければならない。⋯だが、


 行きたくねぇ⋯。


 この一言に尽きる。


 実際に活動した時間の疲れを癒やすには時間が足りていない。怪我は回復で治しているが、そういう問題ではない。かといって、職場には復帰したばかりでまだ有給はなく、欠勤すると収入に影響がでる。ただでさえ、最近は出費が激しい。⋯だから、


 行きますか⋯。


 残念ながら、こうなる。


 ⋯そういえば、魔物の洞窟は一段落って事だよな。でも、道中でアイテムを見つけたわけでもなく、報酬があったわけじゃないんだよね。ダンジョンってなんかあるんじゃないのかね。いや、現実はこんなもんだってことかな。これはゲームや物語じゃないし。⋯⋯そう考えると、あがった位階と土が追加されたのが成果報酬ということか。⋯ダヌさんは違う意味で報酬を手に入れたかもしれないけど。


「おはようございます!」

「え?」


 出社するべく準備をしていると、サシャさんが現れた。こんな時間になんて珍しい。


「おはよう。今日は早いね?」

「ユウジさんこそ、早くないです?」

「いや、仕事行くときはこんなもんだけど⋯」

「そうでしたか。あ、朝ごはんですか?私にもください!」

「え、あ、俺の⋯。あー⋯」


 止める間もなく、準備していた朝食を食べ始めてしまった。どう見ても一人分しかなかったのに。言ったところでどうにもならないから、諦めてトーストしてないパンにかぶりつく。


「コーヒーはまだあったよな。⋯あ、そうだ。サシャさんは位階あがった?俺はあがったよ」

「あがりましたかっ!⋯もぐもぐ。私は状態を見るの忘れてました」

「あれ、珍しいね」

「もぐもぐ⋯。あ、この卵美味しい。いえね、昨日は戻ってから少し大変だったので」

「あ、そうなんだ」


 何が大変だったのか、なんとなくわかったけど触れないでおく。触らぬ神になんとかだ。


「なので、すっかりと⋯。もぐもぐ」

「⋯⋯そっかぁ。あ、あとね、土が追加されたみたい」

「ほぇ??!!⋯もぐもぐ。じゃあ、あれはやっぱり能力だったんですね。このサラダ、シャキシャキですねぇ!」

「そういう事だね。実際に攻撃としてくらったから、使う時のイメージはしやすいかな」

「ふんふん。それはなにより。ゴクゴク⋯っ!?これ苦いっ!!」


 コーヒーを持ったまま、消えていった。


「朝はブラックなんだよね。って、単に朝ごはん食べにきたのかな」


 その可能性は高い。なんてったって、サシャさんだから。


「⋯はぁぁ。会社行かないとなぁ」



ーーーーー



「苦いっ!!」

「何が?!いや、それよりどうだった?!」

「この黒いのが苦くって。でも、パンがカリッとしていたし、卵とハムとサラダが美味しかった」

「いいなぁ。⋯って、そうじゃないでしょ?!」

「ん?ああ、あとは位階あがってたって」

「結構倒したもんね。って、違うの!」

「え、えぇ?」

「あの盾!!⋯⋯違った。ほら、私達の服!下着含めて見られて触られてたんでしょ?!なんか言ってなかった?変じゃなかった?!」

「んー、特にいつもと変わらなかったと思いますけど?」

「本当に?!次に会った時にどんな顔してれば⋯」

「あれはあれで仕方なかったんだし、普通でいいと思いますよ?むしろダヌさんの方が⋯」

「なんでそこでダヌさん?!なに?!」

「あ、なんでもなかった」

「なんでもなかった?!」

「です」


 ダヌさんにあられもない姿を見られた可能性が高いけど、その事をミラには言ってない。ただ、ダヌさんが持ってきてくれた服を着たんだから、冷静に考えればわかるはず。でも、ダヌさんはダヌさんで、回復した後に特に何も言ってこなかったし、おかしな反応もしてなかった。あの一撃でうまく記憶を飛ばせたんだと思いたい。


 私の攻撃なんかで倒せるはずないんだけどなぁ??どうしたんだろ??⋯⋯⋯まぁいっか。


「さてさて、美味しい朝食をいただいたし!今日も今日とて稼ぎにならない治療をしますかねぇ!」

「私は食べてない!!」


 あ、その前に状態を見ておかないと!位階あがってますように!



ーーーーー



「まだ最初の階層だけど、クリアできたみたいだね。良かった良かった。ボスにはやられちゃうかと心配だったけど」


 戦っている様子を見てたけど、思わず叫んじゃったよ。スポーツ中継とかを見て、テレビの前で騒ぐ人間の気持ちがこんな形でわかるとは⋯⋯。


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