30 アトラクションなのかな
何もないところを歩くというのはこんなに大変なことだったのか。いくら進んでも景色が変わらない。地獄のようだ、とは言いすぎだろうか。本来は出てきてほしくない魔物が出てくることに喜びすら覚える。地図に表示されている目的地までの残り時間が変化しているから耐えられるものの、それがなかったら狂ってしまいそうだし、確実に遭難するだろう。こんなとこ、攻略されないでいるのがよく分かる。
「ねぇねぇ、まだですかぁ??ユウジさーん」
普段なら黙っていてほしいと思うサシャさんの無神経な一言さえ、ありがたく感じる。⋯⋯いや、やっぱり気のせいかもしれない。
「あと一時間くらいかな」
「まだそんなに?!なんとかなりませんか?!」
「えーと⋯⋯走るとか?」
「そんなの無理ですよぉ!」
「んー⋯。あっ」
「ん?あ?」
そうだ。あれを試してみようかな。
サシャさんの手を握る。深い意味はない。
『防御力上昇』
からの、
『突進』
「わわわっ!!?」
「少しは進んだかな?」
ミラさん達との距離からして、十五メートルくらい進んだようだ。魔力は使うけど、何度も使って進むのもいいんじゃないだろうか?
「⋯⋯今のは突進ですね?」
「うん。少しは進むかなって思ったけど、そんなに進まなかったね」
「⋯今度は全員でやってみません?」
「え?いいけど」
サシャさんの言うとおりに全員で手を繋ぎ、
『突進』
「おおぉっ!?」
「きゃっ」
「⋯ふむふむ」
さっきの倍の人数だけど、距離はほぼ同じようだ。
「⋯ユウジさん、突進を使ったあとって疲れます?」
「疲れないよ。魔法と同じで魔力が減るくらいじゃないかな」
「ダヌさん、魔力はまだ大丈夫そうです?」
「大丈夫だと思うぞ!」
「今のところ、一発で倒せますよね?」
「倒せてるなぁ」
「じゃあ、魔物の対処はダヌさんに任せて、ユウジさんは突進を連続で使ってみません?」
サシャさんの言わんとしてる事が分かったような気がした。歩くのは疲れる。走るのはもっと疲れる。でも、突進は全員疲れない。少しは早く移動できる。魔物はダヌさんに任せる。うまく行けば突進で魔物を倒したり、避けたりできる。魔力は減るけど、それでも使った方がいいという事。⋯あとは、突進中のジェットコースター的な体感がいいとかそんなとこだろう。
「⋯そうだね。そうしてみようか」
「?!どうしました?ユウジさん?素直ですね?!」
「いや、別に拒否する理由もないし」
「そうですか?!魔力減りますよ?少ししか進みませんよ?!いいんですか?!」
「⋯そうだね」
「ユ、ユウジさん!押し問答しなくていいんですか?!」
「そんなのいらんがな」
「ちょっとー!?」
騒ぐサシャさんの手をとり、他の二人とも手を繋ぐ。
『突進』
止まったあたりでもう一回、
『突進』
『突進』『突進』『突進』⋯⋯⋯
連続して十回くらい使ったあたりで、魔物の姿が目に入った。一旦止まり、対処はダヌさんに任せる事にした。その間に地図を確認する。さっきよりは残り時間は減っている。ただ歩いているよりは早くつけそうだし、疲れないのはいいことだろう。使いまくれば位階が上がるかもしれない。
魔物の対処は問題なくできたようなので、再び突進を繰り返す。最初は騒いでたサシャさんも大人しくなってきた。ジェットコースターにも飽きたんだろうか。まぁ、無駄に騒がれるよりは全然いい。
そういえば、こんなに突進使ってるけど、まだ使えんのかな?
残り魔力が気になり、再び止まって確認をする。
『状態』
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ユウジ・サトウ
職業 無職
位階 七
体力 満
魔力 中
能力 世界移動 十分間+十分間
洞窟内は時間停止
学習
学習による効果 回復
解毒
防御力上昇
突進
炎
水
地図
経験増
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何度見ても、無職はこたえるよね⋯。無職じゃないんだよ、働いているんだよ。いや、この世界ではそうだろうけどさ⋯。えーと、魔力は中ね。まだまだいけるかな。あ、位階が七に上がってる!突進使ってるし、地図も使ってるからかな?まぁ、体力魔力の上限があがってるのかもしんないねってことだね。
「突進はまだ使えるね。皆は大丈夫かな?」
「特に疲れてませんし!突進で行きたいです!」
「あ、私も私もー」
「あの感覚、いいよな!」
とりあえず大丈夫なようだ。
「じゃあ、また使うね。邪魔になりそうな魔物がいたら止まるけど、いなければ目的地付近まで止まらないでいくよ」
目的地に設定したところより、少し先に動かすと黄色い三重丸のマークがある。普段の地図では見た事がないから、何を表してるのかわからない。ダンジョンなら、次の階層に行く、休憩できる場所、セーブやワープしたりとか⋯⋯。まぁ、次があるなら行くって言う人いるし、休めるなら休みたいし、帰れるなら帰りたいよね。
さてさて、なんだろね⋯。




