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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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22/69

22 服が欲しかった

 ピンポーン⋯。

 ピンポーン⋯。


 ?ん??


 ボタンは押していない。だけど音が聞こえる。


 ⋯⋯あ、誰かきたのか。


 昨日の疲れはもうないはず。でも、何もする気になれずにいて、今日はほぼベッドの上で過ごしていた。 


「はい⋯」

『佐藤さんにお届け物でーす!』

「はいはい」


 インターホン越しに聞こえる声はとても元気で明るい。


 ⋯何か頼んでたかな?あ、ハンコハンコ⋯。


「じゃあ、こちらにハンコかサインお願いします!」

「はいはい」


 ハンコを押して受け取ったのはネット通販の箱だった。中身はなんだったかと開けてみる。


「あっ⋯」


 一人暮らしの男性の家には必要のない物が出てきた。それを見ると同時に「服をまだもらってない!」と言われた事が思い浮かんでくる。⋯そう、中身は女性の服だった。もちろん、自分が着る為のものではない。


 そういえば、頼んでいたんだったな。忘れてたわ。⋯⋯今日持っていくか?


 チラッと時計を見ると、昼の一時を過ぎたところ。


 ⋯行くとしても、二時には行かなくていいかな。また魔物退治になりそうだし。⋯また人型がでたら、攻撃できるかわからない。やらないとやられるのは分かってはいるんだけど⋯。


 「⋯⋯⋯よし、夜まで考えよう」


 もう一度、ベッドに戻ってスマホをいじり始めた。



ーーーーー



「ユウジさん、今日は来ないのかな?」


 言われていた二時は過ぎている。でも、まだ来ていない。


「昨日の感じだとどうだろうね。半々くらいじゃない?」

「半々?何と何の?」

「魔物半分、サシャの欲望半分かな?」

「私の欲望?!何の話?!」

「ふふ。冗談だよ。⋯でも、魔物の事はこっちに来るのが嫌になってもしょうがないと思うよ」

「⋯それはそうですね」

「でも、こっちが嫌いってわけではないだろうし、普通に来るかもってのがもう半分かな」


 ⋯昨日は少し強引だったかな?ニホンには魔物はいないそうだし。仕事で獣とか狩ったりしないのかな?うーん、来てくれなくなったら困るなぁ。こっちから行く手段がないんだよねぇ。それに⋯⋯。


 色々考えそうになったけど、ダヌさんからの質問で現実に戻った。


「今日はくっついてなくていいのか?」


 昨日はユウジさんに常に触れるようにしていた。ミラは私に触れながら、ダヌさんはミラに触れながらとくっついて行動していた。ユウジさんだけニホンに戻られては困るし、魔物の前にミラとダヌさんを置いていくくらいなら全員でと思ったから。ちなみに、ダヌさんにはニホンの事をなんにも説明していない。


「今のところは大丈夫です」

「わかった。ユウジは来ないのか?」

「⋯今日は来ないかもしれませんね」

「まぁ、ユウジがいなくても魔物は退治はしておかないとな」

「そうですね。でも、防御力上昇してないから気をつけてくださいよ?」

「そいや、なんでユウジは防御力上昇が使えるんだ?」

「あー⋯、なんででしょうかねぇ⋯」


 説明を⋯⋯しなくてもいっか。うん。



ーーーーー



 ⋯よし、この時間なら魔物退治はしないだろう。今日は服を届けるだけだ。配達員だ。


 ピンポン。


「あっ」

「え?あ、こんな時間でゴメン」


 言っていた時間に来なかった事を少し気まずく感じ、すぐに服が入った箱を渡した。


「え?これは⋯」


 サシャさんは、箱の中身を見てプルプルし始めた。


「⋯⋯ィイエスッッッ!!!⋯⋯⋯⋯ヒャアッッッハァーーー!!!!!!キタキタキターーーッッ!!!!」


 よし!これで今日は魔物の件の話にはならないだろう。⋯⋯⋯普通の話すらまともにできそうにないけども。


「なんこれ?!え?!あーー!?」


 今回購入したのは、緑っぽい色のワンピースと、デニムのジャケット。撮らせてもらった写真と合成してみた感じは良さそうだった。あとは本人が気に入るかどうかって思ってたけど、とりあえずは大丈夫⋯⋯かな?


「一応こんな感じだけど着れるかな?あとサイズが合うかわかんないんだけど⋯」


 ワンピースだけのパターンや上着を合わせたパターンの合成写真を見せてみる。


「ッ!?なるほど!着てみます!!」


 興奮のあまり、この場で着替え始めないか不安だった。でも流石にそれは大丈夫なようで、ちゃんと移動してくれた。移動先からは奇声が聞こえてくるから、違う意味で不安だが。


 ⋯さてさて、どうなるかな?


「ユウジさん?」

「あ、ミラさん。こんばんは」

「こんばんは。あれ、サシャは?」


 奇声が聞こえる方を指差す。


「あーー⋯」

「そろそろ時間だと思うから、あとはよろしくお願いします」

「えーー⋯」


 じゃ、そういう事で。⋯着ている姿を次見れるかなぁ。



ーーーーー



 いい色!

 触り心地がいい!


「ヒィーーハァーーーッ!!」


 ゴワゴワしてない!

 丈夫そう!


「イイね!イイね!イイねぇ!」


 どうやって縫ってんの?!

 私に似合うのかな?!


 ⋯⋯⋯こんな上等なの、相当高いんじゃ⋯⋯?


「サシャ!何を騒いでいるの?」

「ミラ!これ!これ!これ!」

「あー、だからかぁ」

「早く着ないと!ユウジさんに見せないと!」

「はぁー⋯。もういないと思うよ」

「!!?!なん⋯で⋯す⋯と?!?」

「そろそろ時間だから、よろしくって言ってたよ」

「あーーーー!!!?!!」


 声かけて欲しかったなぁーーー!!!んもぉーーー!!!ユウジさぁーーん!!!


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