12 えぐ味きいてる
『状態』
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ユウジ・サトウ
職業 無職
位階 三
体力 満
魔力 満
能力 世界移動 五分間+五分間
学習
学習による効果 回復
突進
炎
水
経験増
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炎を使えるようにした後、水も使えるようにした。炎と違って水なら普段の生活でも使いやすい。水道代の節約にも繋がる。助かる。
水はお察しの通り、水をぶつけられた。痛くなる事はなく、ちょっと濡れた程度で済んだ。
炎も水も、使えるようにさえなれば、自分のイメージ次第で何とでもなる。強めを意識すれば、強くなって魔力消費も激しくなり、逆もまた然り。自分の状態次第でもある。
水を日常生活で使うようにしたからか、割と早くに位階が三になった。時間は変わらないままだ。
ぽちっとな。
いつもの教会だ。
「ユウジさん、こんにちは」
「こんにちは」
「いつも教会にきてますけど、他のところに行った事はありますか?」
「ないね。ここから外に出ていくのは出来るけど時間が短いし」
時間が延びたけど、十分間では村の中を移動するので精一杯だ。
「明日から数日の間、隣の町に行くんですけど」
「隣の町?仕事で?」
「なんか病気や怪我の人が多いらしくって、その手伝いに」
「へぇー」
「ユウジさんも来れないものかと」
「え、俺も?」
「人手不足なら、人が多い方がいいですし、位階上げにも丁度いいですし」
「まぁ、そうだね。でもどうだろ?」
「私が居ない時でも教会に来ちゃうのか、それとも私の近くなのか」
「そういえばそうだね。どっちかなぁ」
「私ならいいですね」
にこやかな笑顔でそう言われると勘違いしそうになる。でも、この人はそんなんじゃないってのは分かってる。
「ひ、人手不足なんだもんね?」
「そうです。それに位階上げも大事です。なにより、どれくらいかかるかわからないのに、その間ニホンに行けないと困ります!」
うん、わかってたー。
「⋯⋯そうだね。お互いに知らない事ばかりだもんね」
「そうです!だから、お互いに行き来をしないと!⋯⋯あと、もっとニホンの食べ物を食べたいですね」
「⋯⋯そうだね。たくさん食べようね」
「あ、食べるで思い出しました。ユウジさんこれを食べてもらえますか?」
「何これ?草?野菜かな?」
「まぁ、そんなとこです」
スーパーで見かけた事があるような⋯⋯あ、ニラだ。
「これって生で食べても大丈夫なの?」
「大丈夫です!」
「⋯じゃあ、とりあえず食べるけど」
⋯見た目からの想像通りの味だ。ただの草だ。苦いといっていいのかわからない。とりあえず不味い。えぐ味がひどい。
「すっげぇ不味いんだけど、何なのこれ」
「ええと、スイセンです」
「スイセン?⋯⋯それって花の?」
「お、知ってましたか!正解です!」
「⋯⋯⋯って馬鹿なの?!毒じゃなかった?!スイセンってさ!こっちでは違うの?!」
「ニホンにもありましたか。こっちでも毒ですよ?」
「はぁ?!ですよ?じゃないよ?!何してくれてんの?!」
「大丈夫ですよー。あ、そろそろ時間ですね。一緒に居ないと危ないですねー。治さないとー」
笑顔で棒読みしながら、ガシッと両手を肩に乗っけてきた。笑顔が胡散臭く感じる。払いのけてしまいたいが、本当に毒ならマズイ。治してもらう必要がある。
「あ」
ちょうどよく部屋に戻ってきた。
「ちょっと早く治して!早く!早く!」
「まぁまぁまぁ。安心して下さい。治しますから。はい、『解毒』」
回復とは違って何も感じない。特に症状としてまだ何も出てなかったからだろうか。
「よし!」
「よし!じゃないよ!?いきなり何してんのさ?!」
「いえね、手伝ってもらうなら解毒は使える方が助かりますし、今後何があるか分かんないじゃないですか?」
「⋯⋯使えないよりは、使える方がいいけど」
「でしょう?」
「⋯今後もサシャさんに、何かしらくらわされそうだけど」
「あら?そんなことありませんよー」
「⋯その棒読みをやめなさい。お菓子あげないぞ」
「?!それは困ります!?ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!二度としません!!⋯⋯はず!」
「ちょっと!?」
「まぁまぁまぁ、私がユウジさんを殺すような事なんてしませんよ?そんな事したら、こっち来れませんからね」
「⋯⋯まぁ、もういいや。なんかやる時はちゃんと言ってくれ」
「それで今日は何を?!」
三個パックの少し安めのプリンを一つ差し出す。
「これを食べる前に、先に話があるんだ」
「な、なんですかっ?」
「明日から仕事に復帰するから、いつもより遅い時間になると思う」
「遅い時間?」
「夜の七時くらいなんだけど、っていっても時計ないんだよね?」
「ないですね。村だと、鐘でだいたいの時間はわかるんですけど」
会話をしてくれてはいるが、ずっとプリンを見ている。
「だから、これを渡しておこうかと」
「ん?追加の食べ物ですか?!」
「違うよ。時計だよ。腕時計」
「⋯⋯⋯え、もらっていいんですか?」
「⋯⋯⋯え?あぁ、もう使ってないからあげるよ」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ヒャッッハァァー!!」
「⋯⋯⋯あ、きたね、やっぱ」
「こんなに時計が小さいの!?うすーい!っっハァ!!」
「あ、うん。それでいくのは、短い針が七のあたりになるかなと」
「⋯⋯なんかカチカチいってる⋯。何でこれ動いてるんだろ⋯⋯。ってこれ高いんじゃ?!」
「大丈夫、安物だよ。壊れても気にしないから」
「!!?この国どうなってんの?!」
「まぁまぁまぁ。ほら、時間もないし、プリンを食べなよ」
「はっ!?これの事ですね?!プリンとは!!」
一口食べてみると表情が変わった。物理的に噛む物はないだろうが、噛み締めているような表情をしたまま、プリンを片手に消えていった。
⋯明日から夜に食べれる物でも持っていくか。あ、時計忘れてんじゃん。




