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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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12/46

12 えぐ味きいてる


『状態』


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ユウジ・サトウ


職業  無職

位階  三

体力  満

魔力  満

能力  世界移動 五分間+五分間

    学習

     学習による効果 回復

             突進

             炎

             水

    経験増


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 炎を使えるようにした後、水も使えるようにした。炎と違って水なら普段の生活でも使いやすい。水道代の節約にも繋がる。助かる。


 水はお察しの通り、水をぶつけられた。痛くなる事はなく、ちょっと濡れた程度で済んだ。


 炎も水も、使えるようにさえなれば、自分のイメージ次第で何とでもなる。強めを意識すれば、強くなって魔力消費も激しくなり、逆もまた然り。自分の状態次第でもある。


 水を日常生活で使うようにしたからか、割と早くに位階が三になった。時間は変わらないままだ。


 ぽちっとな。


 いつもの教会だ。


「ユウジさん、こんにちは」

「こんにちは」

「いつも教会にきてますけど、他のところに行った事はありますか?」

「ないね。ここから外に出ていくのは出来るけど時間が短いし」


 時間が延びたけど、十分間では村の中を移動するので精一杯だ。


「明日から数日の間、隣の町に行くんですけど」

「隣の町?仕事で?」

「なんか病気や怪我の人が多いらしくって、その手伝いに」

「へぇー」

「ユウジさんも来れないものかと」

「え、俺も?」

「人手不足なら、人が多い方がいいですし、位階上げにも丁度いいですし」

「まぁ、そうだね。でもどうだろ?」

「私が居ない時でも教会に来ちゃうのか、それとも私の近くなのか」

「そういえばそうだね。どっちかなぁ」

「私ならいいですね」


 にこやかな笑顔でそう言われると勘違いしそうになる。でも、この人はそんなんじゃないってのは分かってる。


「ひ、人手不足なんだもんね?」

「そうです。それに位階上げも大事です。なにより、どれくらいかかるかわからないのに、その間ニホンに行けないと困ります!」


 うん、わかってたー。


「⋯⋯そうだね。お互いに知らない事ばかりだもんね」

「そうです!だから、お互いに行き来をしないと!⋯⋯あと、もっとニホンの食べ物を食べたいですね」

「⋯⋯そうだね。たくさん食べようね」

「あ、食べるで思い出しました。ユウジさんこれを食べてもらえますか?」

「何これ?草?野菜かな?」

「まぁ、そんなとこです」


 スーパーで見かけた事があるような⋯⋯あ、ニラだ。


「これって生で食べても大丈夫なの?」

「大丈夫です!」

「⋯じゃあ、とりあえず食べるけど」


 ⋯見た目からの想像通りの味だ。ただの草だ。苦いといっていいのかわからない。とりあえず不味い。えぐ味がひどい。


「すっげぇ不味いんだけど、何なのこれ」

「ええと、スイセンです」

「スイセン?⋯⋯それって花の?」

「お、知ってましたか!正解です!」

「⋯⋯⋯って馬鹿なの?!毒じゃなかった?!スイセンってさ!こっちでは違うの?!」

「ニホンにもありましたか。こっちでも毒ですよ?」

「はぁ?!ですよ?じゃないよ?!何してくれてんの?!」

「大丈夫ですよー。あ、そろそろ時間ですね。一緒に居ないと危ないですねー。治さないとー」


 笑顔で棒読みしながら、ガシッと両手を肩に乗っけてきた。笑顔が胡散臭く感じる。払いのけてしまいたいが、本当に毒ならマズイ。治してもらう必要がある。


「あ」


 ちょうどよく部屋に戻ってきた。


「ちょっと早く治して!早く!早く!」

「まぁまぁまぁ。安心して下さい。治しますから。はい、『解毒』」


 回復とは違って何も感じない。特に症状としてまだ何も出てなかったからだろうか。


「よし!」

「よし!じゃないよ!?いきなり何してんのさ?!」

「いえね、手伝ってもらうなら解毒は使える方が助かりますし、今後何があるか分かんないじゃないですか?」

「⋯⋯使えないよりは、使える方がいいけど」

「でしょう?」

「⋯今後もサシャさんに、何かしらくらわされそうだけど」

「あら?そんなことありませんよー」

「⋯その棒読みをやめなさい。お菓子あげないぞ」

「?!それは困ります!?ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!二度としません!!⋯⋯はず!」

「ちょっと!?」

「まぁまぁまぁ、私がユウジさんを殺すような事なんてしませんよ?そんな事したら、こっち来れませんからね」

「⋯⋯まぁ、もういいや。なんかやる時はちゃんと言ってくれ」

「それで今日は何を?!」


 三個パックの少し安めのプリンを一つ差し出す。


「これを食べる前に、先に話があるんだ」

「な、なんですかっ?」

「明日から仕事に復帰するから、いつもより遅い時間になると思う」

「遅い時間?」

「夜の七時くらいなんだけど、っていっても時計ないんだよね?」

「ないですね。村だと、鐘でだいたいの時間はわかるんですけど」


 会話をしてくれてはいるが、ずっとプリンを見ている。


「だから、これを渡しておこうかと」

「ん?追加の食べ物ですか?!」

「違うよ。時計だよ。腕時計」

「⋯⋯⋯え、もらっていいんですか?」

「⋯⋯⋯え?あぁ、もう使ってないからあげるよ」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ヒャッッハァァー!!」

「⋯⋯⋯あ、きたね、やっぱ」

「こんなに時計が小さいの!?うすーい!っっハァ!!」

「あ、うん。それでいくのは、短い針が七のあたりになるかなと」

「⋯⋯なんかカチカチいってる⋯。何でこれ動いてるんだろ⋯⋯。ってこれ高いんじゃ?!」

「大丈夫、安物だよ。壊れても気にしないから」

「!!?この国どうなってんの?!」

「まぁまぁまぁ。ほら、時間もないし、プリンを食べなよ」

「はっ!?これの事ですね?!プリンとは!!」


 一口食べてみると表情が変わった。物理的に噛む物はないだろうが、噛み締めているような表情をしたまま、プリンを片手に消えていった。


 ⋯明日から夜に食べれる物でも持っていくか。あ、時計忘れてんじゃん。


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