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1 え、神託ですか?
稼ぎにならない、今日の勤めというタダ働きを終えて、そろそろ休もうと思っていたところに神託を授かってしまった。
『聖女よ、目の前に現れる人を癒やしなさい』
⋯なんてこった。もう寝たいのに。目の前と言われても誰もいないし。こんな夜更けに誰が教会に来るって⋯⋯。
「え」
突然、目の前が明るくなったと思ったら、人が現れた。⋯といっても眠っているようだ。パッと見、顔色がとても悪い。身体は痩せ細っている。何かの病気だろうか。こんなになるまで治癒魔法を受ける事が出来なかったなんて、この人に何があったんだろう。
どこから来たのか?誰なのか?とか気になるけど、神託もあったし早く治してあげよう。
『回復』
魔法をかけると顔色が徐々に良くなっていく。痩せ細っている体型は、これからちゃんと食べれば徐々に戻るはずだ。
ここにこのまま寝かせておくわけにはいかないし、ベッドにでも寝かせてあげようかな。
他の人を呼んで運ぼうかと考えてたら、先程と同じように目の前が明るくなり、暗くなったら治療した人が居なくなってしまった。
「⋯神よ、何がおきたんでしょうか」