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花鈴×佳那子:入学式

作者: 藤谷 葵

練習用作品です

・三人称

・地の文の精密性

・上記二つを自分なりに意識して書きました。おかしなところがありましたらコメント下さい


【設定】

・鷹野花鈴……能天気な子

・伏見佳那子……体育会系

 鷹野花鈴(たかのかりん)伏見佳那子(ふしみかなこ)は、幼稚園からの腐れ縁である。

 桜の花びらが舞う春のこと。二人は窪塚女子大学付属高等学校に入学した。空は綺麗に青く、まるで花鈴達の入学を祝福してくれるかのような快晴になった。

 今、私達がいるのは、春の陽気とは思えない、冷え冷えとした体育館の中。外は春の日差しが暖かいのに、日陰となる体育館の中はまだ寒い。換気の為に少し開けられた扉から、風が吹き込むと、更に体感的に冷える。段々と足先から冷えていく。

 全校生徒が静寂に包まれる中、校長先生や来賓の方々の、長い祝辞だけが体育館に響き渡る。聞いているだけで、あくびが出てきそうになり、思わず手で隠す。すると隣から小声で声をかけられた。


「なんや花鈴、お眠か?」

「いや、だってどうでもいい話ばかりで、退屈じゃない?」

「まあ、そうやけどな」

「かなちゃんは眠くならないの?」

「そこは気合や」


 気合でどうにかなるものなのだろうか? 花鈴はそれを聞いて、真似をしてみる。くわっと目を見開き、気合を入れる。花鈴は気合を入れたつもりだが、実際はただ単に目を見開いただけである。その様子を見た佳那子が、お腹と口を抑えてプルプルと震えている。どうやら花鈴の行動が、ツボったようだ。そして、佳那子は我慢が出来ずに吹き出した。


「ぶほ!」


 その様子に、担任の先生が気づいたのか、パンプスの踵をコツコツと鳴らしながら近づいてきた。そして、花鈴と佳那子を指差して、「そこ、静かにしなさい」と小声で二人に注意をした。

 注意をされて二人で背筋をピンと伸ばす。担任が踵を返して元の場所に戻ると、途端にほっと気が抜けて、姿勢がだらけた。


「かなちゃんのせいで、怒られたじゃん。なんで笑うのさ」

「いや、気合やなくて、目を見開いただけの面白い顔だったからや」


 花鈴は頬を膨らませて、むーっと唸る。その膨らんだ頬を、佳那子が指で突っついて押しつぶす。たちまち花鈴の頬からぷっと息が漏れる。再び佳那子が口とお腹を、手で抑えている。笑いそうになるぐらいならば、やらなければいいのに。そう思いつつ、心配を胸に担任の先生の方をチラリとみる。髪がふんわりとしてスーツをビシッと決めている女教師は、気づいていないようだ。

 花鈴が視線を佳那子に戻すと、佳那子は花鈴の方に、変顔をして待ち伏せていた。佳那子に不意を突かれて、花鈴は笑いをこらえることが出来なかった。


「ぶは!」


 慌てて、並んで祝辞を聞いている先生たちの方に、視線を向ける。特に担任である女教師に。どうやら気づかれたようで、顔がこちらを向いている。まるで「あとでお説教だから」と言わんような表情をしている。花鈴は冷や汗を流しつつ、目を壇上の方に背けた。

読んで頂きありがとうございます

新人賞を目指すために練習で書いた作品です

内容はともかく、描写について意見を頂けると嬉しい限りです

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