表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生き延びろッ山田ァ!! ガチ異世界攻略タイムアタック⁉  作者: アボリジナル・バタースコッチ
15/16

第13話 不都合な事実

「あの…貴方、気を失って運ばれている間も片目が常に開いてましたが…」

 移動中、村長に伴っている男衆の一人が俺に話かけてくる。


「ああ…イルカがする半球睡眠の真似事ですよハハハッ」

「いるか…?はんきゅう…?」あ

「あっ!あまりお気になさらず」

 少し喋り過ぎたか…。やはりあまりコミュニケーションをとるのが得意ではないな、俺は改めて己の性分を自覚する。


「そういえば、村落で一人行方知れずになっていると仰っていましたよね?私を見つけていただいたのも、その捜索の途中だったとか」

「そうなんですよ…いなくなったのはクロォという青年なんですが、実は彼を探しているときに焼き討ちにあった集落を見つけまして、その近くにその…大量の血痕と彼の持っていた腕輪があったのです。」


 男はそういうと、落胆した様子で俯いた。

「エルフに襲われたんでしょうかね…それは…お気の毒でしたね」

 俺はひとまず一言弔意を示した。


「まぁ…確かに貴方の言うエルフ、奴らに襲われたのだとは思うのですが、一つ気になる点があるのです。エルフは強壮剤等の薬物の素材として我々を連れ去ります。移動が出来ない老いた者や病気の者はその場で殺してから火を放つのです。なので、彼のように大量の血痕だけ残して殺されるというのは異例なことなのです。近くには木に葉を立て掛けた新しい住居らしきものや石槍もありましたがこの件に関係があるのか、奴らがなにかしたの秘術を使ったのか、それとも別の生物に襲われたのか何から何までで全くわかりませんね。」


「はぁ…なるほど。焼き討ちのあった村から彼が亡くなった場所まではどのくらいの距離だったんですか?」

「ああ…だいたい歩きで一時間ほどの距離ですね」

「あっ…」


 俺は気づいてしまった。

 クロォとやらの遺体が見つかったのは俺のつくったシェルターの近く。つまり、転移時に俺の周辺に広がっていた血溜まりや肉片は彼のものであった可能性が高い。もしかしたら、俺が転送された際に発生した衝撃波なんかに巻き込まれてしまったのかもしれないな…。

「忘れよう…」

 俺は小さい声でそう呟いた。


「何かおっしゃいましたか?」

「あっいえ…」

 ”クロォくん”の身に起こったことは、俺の胸の中にしまっておこう。




 ※クロォの下りについては「第2話 never生きねば」を参照のこと。


 ※半球睡眠:イルカなどが行っているとされる、特殊な睡眠法。片方の脳を休ませ、もう片方の脳は起きている。睡眠中も呼吸をしなければならない宿命にある、水中哺乳類のイルカらしい身体の仕組みであると言える。

 山田は、睡眠中も周囲を警戒するためにこの睡眠法を行っていることがある。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ