表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女奮戦記~アイン・ソフ・オウル~   作者: PONぽこPON
第1章~ゴルト村編~
4/93

格闘(書類)


 結局、書類に必要な諸々を集めるのに丸3日かかった。

 その間にも、村人から様々な相談を受ける。

 曰く、納屋を取り壊ししたので税金はどうなる?

 曰く、赤ん坊が生まれたので、手続きしたい。

 曰く、僕たち結婚しました。

 曰く、隣の家からすごい怒鳴り声が聞こえる、喧嘩してるんじゃないか?

 などなど。


「流石に手が回らないわ……」


 その日の処理した案件を記載する日報に、報告を記入しながらマヤはボヤく。すでに日はとっぷりと暮れ、辺りは真っ暗である。

 んっ、と伸びをして天井の魔導灯を見る。魔導灯は起動させるのに魔力を微かに使うが、起動してしまえば、魔導結晶が周辺の魔素を汲み上げ、魔力へと変換し明かりを灯し続けてくれる、便利な魔法具である。


「日報書いてるだけで、今日が終わっちゃうわよ、全く」


 このままでは、何時までたっても討伐隊派遣要請の書類が完成しない。

 さらに問題があった。


「被害額ゼロで派遣要請したところで、書類通るものなのかしらね?」


 通らないだろうな、とマヤも思う。

 何か被害に計上できる物はないか、と考えてみるが思い当たらない。


「書類通すために被害でっち上げてもな~」


 ペンを上唇の上に乗せ、バランスをとる。


「監査入ってバレたらそれこそ終わりだし……」


 う~む、と考え込む。


「とりあえず、日報終わらせないと」


 と、日報に向き合ったとき、駐在所の扉がノックされた。


「あ、は~い、どうぞ~まだ開いてます」


 日報と格闘しながら、マヤは返事をする。


「ごめんくださいね」


 そう言いながら入ってきたのは、


「あ、トベクさんの奥さん、どうされたんです?」


 妙齢のいかにも農家の奥様といった女性であった。


「子どもが熱を出してしまいまして、お薬も切らしてしまっていたので、あったら頂きたいのですが」


 眉を寄せ、心配そうにそう話す。


「ライリー君がですか? それはいけませんね」


 ちょっとお待ちください、とマヤは答え、薬箱を開ける。


「えーと、解熱剤は……」


 目当ての小瓶を見付け取り出す、が


「あちゃー、丁度無くなってる」


「そうですか……」


 失礼しましたと、肩を落とし帰ろうとする夫人にマヤが咄嗟に声をかけた。


「ちょっと待ってください。たしか雪割り花の蜜は解熱に効きましたよね?」


「そうですが」


 きょとんとして聞き返す夫人。


「今の時期なら、花が咲いてます。ちょっと取ってきますよ」


「えっ? それは危険ですよ!」


 驚いて夫人は止める。雪割り花は確かにこの雪の中花を咲かす植物だが、高山植物でもある。闇の中、今から山に登り取ってくるのはかなり危険、どころか自殺行為に近い。


「大丈夫です。昼間に咲いている場所は見付けてますし、ちょっとした道具もあります」


 蜜を集めて売って小遣いにしていた経験から、花の場所を覚えることを癖にしていたのが役に立った。


「直ぐ戻りますので、お家で待っててください」


 防寒着に袖を通しながらマヤは夫人に声を掛ける。それを見て止めても無駄と知った夫人は、お気をつけて、と言うしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ