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第87話 反応はどうか

 私とクラーナは、ティネちゃんがリュウカさんへ秘密を打ち明けるのを見ていた。

 ティネちゃんはフードをとり、リュウカさんに自身の耳を見せつけている。


「ま、まさか、ティネが獣人だったなんて……」

「はい。隠していて、すみません……」


 リュウカさんはかなり驚いてはいるが、それだけのように思えた。

 つまり、ティネちゃんを怖がったり、嫌に思ったりはしてないはずである。それなら、ティネちゃんの心配も大丈夫なのではないかと思う。


「その、私、獣人であることがばれると、皆に嫌われると思って……」

「そ、そうだったのか……」

「だから、隠していたんです。すみません……」


 ティネちゃんは、リュウカさんに向かって頭を下げた。

 そんなティネちゃんを、リュウカさんは優しそうな瞳で見つめる。

 そして、リュウカさんはゆっくりとティネちゃんに近づく。


「顔を上げてくれ、ティネ」

「リュウカさん?」

「別に、そんなの気にしていないさ。そりゃあ、少し驚いたけど……」

「ほ、本当ですか……?」


 リュウカさんは、ティネちゃんの肩に手を置き、優しく語りかけた。

 その表情は、とても穏やかだ。自身の中で、色々と飲み込め、驚きが薄まったからだろう。


「本当さ。当たり前だろう? 何があっても、ティネはティネだ」

「リュウカさん……!」


 リュウカさんの言葉に、ティネちゃんは明るい表情になった。

 とても嬉しそうだ。これなら、大丈夫だろう。


「ただ、私以外の二人がどうかだな……」

「そ、そうですね……」


 そこで、リュウカさんはそんなことを言い出した。

 それには、ティネちゃんも頷く。


「そんなにまずい人がいるの?」


 そんな二人に対して、クラーナが問い掛けた。

 私も気になっていたので、これは聞きたい。

 リュウカさんのパーティは、皆いい人達ばかりのはずなので、ティネちゃんを受け入れないとは思えないのだ。


「ああ、一人は問題無いと思う。大抵のことは、受け入れられる冷静な奴だからな」

「そうですね……」

「ただ、もう一人がな……」


 リュウカさんの語る人物が誰かは、大体検討がつく。

 しかし、その人がティネちゃんを受け入れないとは思えない。何か、そう思う理由があるのだろうか。


「何か、あったんですか?」

「ああ、クラーナのことを話した時に、犬の獣人は駄目だって、言ってきたんだよ」

「ああ、なるほど……」


 私が問い掛けると、リュウカさんはそう返してきた。

 どうやら、拒絶した前歴があるようだ。

 よく知らないクラーナと、パーティのティネちゃんでは色々と違うと思うが、その言葉を聞いて大丈夫だとは思えないだろう。


「でも、いつかは話さないといけないので……」

「そうだな。頃合いを見て、話すべきだな……」


 だが、話さないという訳にもいかない。

 真実を知られてどうなるかはわからないが、隠し続けるよりは、いいはずだ。


「まあ、これからは何かあったら、話してくれよ」

「リュウカさん……はい!」

「アノンとクラーナみたいに、いい関係を築こうな!」

「え?」


 そこで放たれたリュウカさんの言葉に、ティネちゃんは目を丸くする。

 なんだか、顔も赤くなって、変な感じだ。

 一体、どうしたのだろうか。


「ああ、ティネは私達の関係がどういったことなのか、勘づいているわよ」

「え?」

「私達の匂いや、首についているチョーカーで、大体は察せるもの」


 疑問を感じていた私に、クラーナがそう言ってきた。

 それで、ティネちゃんの様子が理解できる。つまり、リュウカさんの言葉がそういう関係になるととれてしまったのだ。


「どうした?」

「あ、いえ……」


 当然、ティネちゃんもリュウカさんがそういう意味で言ったのではないことはわかっているだろう。

 それでも、その言葉は恥ずかしかったのだ。


 こうして、リュウカさんとティネちゃんの話し合いは終わるのだった。

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