第80話 久し振りの再会
私とクラーナは、新しい朝を迎えていた。
現在、私達はギルドに来ている。
昨日は色々あったが、協議の結果、今日も依頼に行くことになった。
最初の時より、あまり疲れておらず、問題無いと判断できたからだ。
「さて、それじゃあ、いつも通り……」
「アノン、少し待って」
「え?」
「今日は少し、いつもと違いそうだわ」
早速依頼を見に行こうと思っていた私を、クラーナが引き止めた。
いつもと違うとは、どういうことだろうか。
ギルドの様子は、変わっていないと思うが。
「あっ!」
そこで、私も気づいた。
見知った顔が、こちらに近づいてきていることに。
「二人とも、久し振り!」
「お久し振りです、リュウカさん」
「久し振りね」
その人物とは、リュウカさん。
私達を差別したりしない、冒険者だ。
私とも旧知の仲で、よくしてもらっている。
「いやあ、元気そうで何よりだ。それに、以前よりも仲良くなっている気もするし」
「え? そうですか?」
「ああ、なんだか、二人とも少し雰囲気変わっている気もするし……」
「多分、気のせいだわ」
リュウカさんは、私達の変化に鋭く気づいたようだ。
確かに、関係の進展により、私達の仲はかなり変わっているはずである。
だが、一目見ただけで、それに気づけるのはすごい。
ただ、私達の関係をここで言うのは憚られる。
リュウカさんになら、話しても問題なさそうだが、ギルドは不特定多数の人がいる所だ。
そのため、私達は誤魔化すしかない。
「うん? ……まあ、いいや。それより、丁度いい」
「丁度いい?」
「ああ、実はお前達が来ないかって思っていたんだ。頼みたいことがあってな」
「え? 頼みたいこと? なんですか?」
リュウカさんは、とりあえず流してくれた。
細かいことを気にしないのも、リュウカさんの性格だ。
それより、頼みごととはなんだろうか。
「実は、今日はパーティメンバーの内二人が、風邪をひいたみたいでな。少し、人員を増員したかったんだ。それで、お前達が来ないかなって、思っていたんだ」
「なるほど……」
「つまり、私達に増員となってもらいたい訳ね」
どうやら、リュウカさんはパーティメンバーを探していたらしい。
リュウカさん達は、いつも四人で行動しているので、半分になったら、その判断も当然だろう。
「……別に、私達は構わないけど、もう一人は大丈夫なの?」
「ああ、事前に言ったら、別に構わないってさ」
「それなら、問題なさそうですね」
私やクラーナを、もう一人が受け入れてくれなかったら、この話は受け入れられなかったが、それなら問題なさそうだ。
「それなら、頼めるか、二人とも?」
「はい」
「ええ」
こうして、私達はリュウカさん達と同じパーティで依頼をすることになるのだった。