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第39話 膝枕をしてあげて

 私とクラーナは、家に戻って来ていた。


「これで、今日は終わりだね?」

「そうね、もう遅いもの」


 外は既に夕日が差しており、これ以上行動するのは、無理そうだ。

 よって、出かけるのは終わりである。


「それじゃあ、休もう」

「ええ、そうしましょう」


 という訳で、ソファに座って、休憩することにした。

 そんな中、クラーナが口を開く。


「アノン……少し、いいかしら?」

「うん? 何かな?」

「その……頼みたいことがあるの」


 どうやら、頼みたいことがあるらしい。

 クラーナのこういう頼み方は、何度か聞いた。

 つまり、何を頼まれるかは大体予想がつく。


「いいよ、何かな?」


 恐らく、舐めるか撫でるかのどちらかだろう。

 断る理由はないため、私はそれを受け入れるつもりだ。


「膝を……貸して欲しいの」

「膝?」

「膝枕をして欲しいのよ」


 しかし、クラーナの言ったことは私の予想とは違った。

 クラーナのして欲しいこととは、膝枕らしい。


 もしかして、疲れてしまったのだろうか。

 今日一日色々あったため、そうだとしても仕方ないのかもしれない。


「よし、どうぞ」


 私の膝でそれが癒えるなら、喜んで貸すとしよう。

 私は膝を揃えて、クラーナを招く。


「アノン……ありがとう」


 クラーナはお礼を言いながら、私の膝に頭を乗せた。

 ふわふわの髪を伝って、クラーナの温もりが伝わってくる。


「ど、どうかな?」

「ええ、とても気持ちいいわ」


 少し恥ずかしかったが、感想を聞いてみた。

 すると、クラーナは笑顔でそう返してくれる。


 感想を聞いても、やはり恥ずかしかった。


「よし」

「あっ……」


 そこで、私はクラーナの頭を撫でてみる。


 クラーナは気持ちよさそうに、それを受け入れてくれた。

 やはり、撫でられるのは好きらしい。


「アノン……ありがとう」

「ふふ、気持ちいい?」

「ええ、とっても……」


 クラーナは笑って、私の行為を受け入れてくれる。

 なんだか和やかで、とてもいい気分だ。


 そういえば、クラーナは、耳の付け根を撫でられるのが好きだった。

 なら、そこを重点的に撫でよう。


「あっ……」

「ここはどう?」

「い、いいわ……」


 耳の付け根を撫でると、クラーナは身をよじらせる。

 どうやら、かなり気持ちいいようだ。


 それなら、このまま続けよう。


「ア、アノン……」


 そう思い、耳の付け根を重点的に攻めていると、クラーナが声をあげる。

 気持ちよさそうだが、少し困ったような表情だ。


 何か問題があったのだろうか。


「うん? 何かな?」

「き、気持ちいいけど、これ以上は駄目……」

「あ、うん、わかった……」


 クラーナは、撫でるのをやめて欲しいようだ。

 言葉の意味は、これ以上やると、自身を抑えられなくという意味だろう。

 そう考えると、顔も赤くなっており、かなり危なそうだ。

 それなら、手を止めた方がいい。


「はあ、はあ……」


 クラーナの呼吸が荒くなり、それにより胸が上下する。

 あまり見るのも良くなさそうなので、私は目を逸らす。


「あ、ありがとう、アノン。とても気持ちよかったわ」

「あ、うん、どういたしまして」


 クラーナは体を起こし、私の膝から離れていく。

 なんだか少し、名残惜しい。


 しかし、それも仕方ないので、切り替えることにする。


 そういえば、クラーナはどうして、膝枕を提案したのだろう。

 気になった私は、聞いてみることにする。


「ところで、クラーナはどうして膝枕して欲しかったの?」

「それは……その、アノンを近くに感じたくて……」

「そ、そうなんだ……ありがとう?」


 その理由は、とても単純なものだった。

 だが、そう思ってくれるのは、素直に嬉しい。

 クラーナが、私を求めてくれるのは、喜ばしいことなのだ。


「あ、そうだわ。アノンも、私の膝を使う?」

「え?」

「私だけアノンの膝を使うのは、不公平だもの」


 そこで、クラーナが意外な提案をしてきた。

 クラーナに膝枕してもらう。なんだか、とても魅力的な提案だ。


「そ、それじゃあ、お願いできる?」

「ええ、どうぞ」


 こうして、私はクラーナに膝枕してもらうことになった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] どうやら、かなり気持ちいいようだ。 それなら、このまま続けよう。 [一言] もっと、ずっと続けて。
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