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パーティを追放されたので、犬耳獣人少女と生きていく。  作者: 木山楽斗
番外編

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第38話 どこに行くべきか

「さて、話は大方理解できた。つまり、このグラムベルドという者は、妾を利用しようとしていたということか」

「あなたは、一体どういう状態だったの?」

「封印されていたのだ。妾の力が再び必要となる日まで、眠りについていた……もっとも、その伝承もいつしか失われていたのかもしれんが」


 アンナさんと厄災の戦姫は、状況を整理していた。

 どうやら、グラムベルドは強力な力を持つ存在の噂を聞きつけて、それを利用することを考えていたようだ。

 そのため、封印されていた厄災の戦姫は解き放たれた。そういう事情であるらしい。


「それにしても、この男は一体何者なのだ? 見た所、獣人にも人間にも見えないが」

「彼は、リザードマンという種族さ」

「リザードマン? ふむ……そういえば、そのような種族の噂も聞いたことがある。遠くの国にはそういう種族もいると」

「まあ、概ねそんな所だね」


 グラムベルドの計画は、概ね成功していたと考えるべきだろう。

 結果的に、厄災の戦姫は目覚めた。ただ、その時には既に彼はこと切れていたため、ぎりぎりで失敗したようだが。


「この者に妾が制御できたかはわからんが、どうやらお主には助けられたようじゃな?」

「私は、ただこの男を止めただけさ。犯罪者だったからね……」

「ふむ……」


 厄災の戦姫は、実力者であるため、グラムベルドに操られたかは定かではない。

 だが、万が一ということもあるので、事前に防げたのは幸いだったといえるだろう。


「さて、問題は妾がこれからどうするかということか……」

「目下の問題はそうなるんだろうね。とはいえ、それは私にわかることではない。その辺りについては、アノンとクラーナに聞いた方がいいだろうね」

「無論、わかっておる」


 アンナさんの言葉に、厄災の戦姫の顔がこちらを向く。

 彼女がどうするべきか、それは私達にもすぐに判断できることではない。まずは、話を聞く必要があるだろう。


「あなたには、当然行く場所もないのよね?」

「そうなるか……もうこの世には妾のことを覚えておる者はおらんじゃろうしな」

「もう一度、封印されたいとは思っていないわよね?」

「妾の力が必要になる時代は、もう来ないと思っている。それならば、眠っている必要もなかろう」

「そうね……」


 厄災の戦姫は、獣人達が再び危機に陥った時のために眠りについた。

 だが、その眠りはもう必要ない。私達が、その眠りが必要ない世界を作ってみせるから。


「それなら、隠れ里辺りがいいかしらね……」

「そうだね。あそこなら、受け入れてくれないということもないだろうし……」

「まあ、事情を話すにしても話さないにしても、受け入れてはもらえるでしょう……もしかしたら、あそこになら昔のことに詳しい人もいるかもしれないわね」

「ああ、確かにそうかも……」


 厄災の戦姫が、どこに行くべきか。それは案外、早く決まった。

 犬の獣人に関して困った時には、隠れ里に行けばいい。それは、ここ数年私とクラーナが持っている認識だ。


「隠れ里とは、なんじゃ?」

「あ、犬の獣人達が暮らしている場所です。人間から隠れて暮らせる場所で……」

「まあ、この世界から差別が消えた訳ではないから、犬の獣人同士で集まって村を作っているのよ。もっとも、最近は出て行く子もいるみたいだけれど」

「ふむ……無論、そこでも構わんが、妾としては今の世界を見てみたいという気持ちもある」


 私達の提案は、やんわりと断られてしまった。

 だが、考えてみれば、厄災の戦姫は目覚めたばかりで今の世界のことを何もわかっていない。

 隠れ里は安全な場所ではあるが、外の情報はほとんど遮断されてしまう。それでは確かに色々とまずいかもしれない。

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