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パーティを追放されたので、犬耳獣人少女と生きていく。  作者: 木山楽斗
番外編

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第36話 ぶつかり合う者達

「……ここは?」


 現れた犬の獣人は、ゆっくりと周囲を見渡した。

 そして、私達を発見して、その目を吊り上げる。


「……人間がここにいるということは、ここは敵地のようじゃな? そこにいるの獣人が誰かは知らんが、妾の目が黒い内はその者に手出しはさせん」


 犬の獣人は、構えを取った。それは私達を敵だと認識したからのようだ。

 ただ、クラーナのことは仲間だと思っているらしい。奇抜な登場をしたが、犬の獣人に対する仲間意識は持っているようだ。


「……何か勘違いしているようだね?」

「勘違い?」

「私達はあなたの敵ではないと思うよ。そこで倒れている者と戦っていただけだ」

「……ほう?」


 アンナさんは、犬の獣人に対して冷静に言い放った。

 今の所、私達と彼女が敵対しているかは不明である。彼女がグラムベルドの味方であるなら、そうなのかもしれないのだが。


「なるほど……」

「わかってくれたかな?」

「……ふふ」

「うん?」

「勘違いをしているのは、お主らの方だ。妾にとって、人間とは全てが敵なのじゃ。お前達にとって、妾は厄災……厄災の戦姫と名付けたのは、お主ら人間じゃろう?」

「……厄災の戦姫?」


 犬の獣人が口にした言葉に、私は驚いた。

 そう言えば、聞いたことがある。遥か昔に、とある犬の獣人が人間に大きな厄災をもたらしたことがあると。

 私からすれば、それは迫害に対抗していたに過ぎないのだが、人間達は自分達の観点からその女性をとある名前で呼んだのだ。厄災の戦姫と。


「人間は滅ぼす。それが、妾の役目じゃ!」

「……仕方ないか!」

「お姉ちゃん!?」


 厄災の戦姫と名乗った犬の獣人が飛び出すのと同時に、アンナさんも彼女に向かって飛び出した。

 既にその手には光の剣が現れている。厄災の戦姫が攻撃してくると予測して、準備していたようだ。


「……はあっ!」

「……聖なる光よ! 私を守れ!」


 厄災の戦姫が突き出した拳を、アンナさんは光を展開して防いだ。

 武器にもなるし、あのように周りにも張り巡らせることができるし、あの光は攻撃にも防御にも使える非常に優れたものだ。

 とはいえ、厄災の戦姫は笑っている。恐らく、何か策があるということだろう。


「ワオオオオン!」

「……これはっ!」


 厄災の戦姫が遠吠えを始めた瞬間、アンナさんは大きく後退した。

 それがどうしてなのかはわからないが、どうやらあの遠吠えは危険なものであるらしい。


「……ほう? 妾の音波攻撃がわかったか?」

「生憎、色々な種族と戦っていてね……そういう特殊な攻撃も、ある程度読めるようになったんだ」

「敵ではあるが、見事じゃと称賛したくなる女じゃ」

「……そんなことより、もうこんなことはやめないか? 本当はわかっているんだろう? 私達があなたの敵ではないということが」

「……そこまでわかっているか」


 アンナさんの言葉で、厄災の戦姫は構えを解いた。

 正直、私は驚いている。彼女に敵意がないとは、わかっていなかったからだ。


「そこの犬の獣人よ、お主のことを妾に聞かせてもらえぬか?」

「……私?」

「そう怖がることはない……妾は確かに、頂点に立つ存在ではあるが、下に立つ者を蔑ろにするつもりはない。いや、お主に関してはそう表現するのには相応しくないのかもしれないが……」

「……」


 厄災の戦姫は、ゆっくりと私とクラーナの方に近づいて来た。

 今の彼女からは、本当に敵意は感じられない。一応、私はクラーナの前に立っているが、恐らく危害を加えられることはないだろう。

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