第22話 ご褒美にしておかなければ
私とクラーナとラノアは、レクリアさんとレフィリーナちゃんが暮らす屋敷にお邪魔することになった。
現在、私とクラーナは客室にいる。これからしばらくは、ここが私達の寝泊まりする場所になるのだ。
ラノアは、レフィリーナちゃんの部屋で寝るそうだ。せっかく泊まるので、彼女と過ごしたいというのは当然理解できる。しかし、親としては少し寂しい所だ。
「さて、荷物も置けたし、戻ろうか?」
「ええ」
私とクラーナは、部屋から出ることにした。
ここに来たのは、荷物を置くのと部屋の場所や内装を見て見たかったからだ。今日は、せっかくの機会なので、レクリアさんと過ごす予定だ。
ラノアとレフィリーナちゃんは、二人で遊ぶつもりのようなので、大人は大人で、色々と話をしようという流れになったのである。
という訳で、私達はレクリアさんが待っている部屋に向かうことにした。
広い屋敷なので、迷わないかは少し心配である。
「こっちであっているのかな?」
「ええ、大丈夫よ。こっちで間違いないわ」
「……ありがとう。やっぱり、クラーナは頼りになるね」
自信がなかった私だったが、クラーナの笑顔に安心することができた。
彼女は鼻が利くため、こういったことには非常に秀でているのだ。
そんな彼女の鼻には、日常生活や依頼で大いに助けられている。本当に、クラーナには感謝の気持ちでいっぱいだ。
「別に気にする必要はないのよ。まあ、でも見返りとしてアノンの匂いを嗅がせてもらいたいと言っておこうかしら?」
「見返りじゃなくても、いつでも大丈夫だよ?」
「それは、ありがたいわね。でも、自制しておかないと四六時中アノンの匂いを嗅ぎたくなってしまうから、ご褒美ということにしておいてもらった方がいいかもしれないわ」
「そっか……」
クラーナは、よく私の匂いを嗅いでいる。
多少の恥ずかしさもあるが、彼女が喜んでくれるのは私にとっても嬉しいことだ。
そのため、いつでも嗅がせてあげたいと思ってしまう。しかし、それでは駄目なのかもしれない。彼女を見習って、自制するべきなのだろう。
「クラーナは立派だね?」
「そうかしら?」
「そういう風に自制できるのは、すごいことだと思う」
「……やっぱり、そんなに褒めないで。私、結構簡単に欲望に負けるから」
「それは、それで可愛いと思うよ」
「あまり甘やかされると駄目になってしまうかもしれないわ」
「それでも、大丈夫だよ」
私とクラーナは、そんな他愛もない話をしながら、レクリアさんのいる部屋に向かうのだった。




