第20話 招かれたのは
私とクラーナとラノアは、とある場所まで来ていた。
そこは、レクリアさんとレフィリーナちゃんが暮らしている屋敷だ。
本日、私達はここに招いてもらったのである。
「わかっていたことだけど……やっぱり、すごいね」
「ええ、大きな屋敷ね……」
「そうだよね、私も最初に見た時は驚いたよ」
私とクラーナは、ここに来るのが初めてだ。
一方、ラノアは来たことがある。以前、この屋敷でレフィリーナちゃんとお泊り会をしたのだ。
「ラノア!」
「あ、レフィ!」
私達がぼんやりと屋敷を見ていると、そちらからレフィリーナちゃんが現れた。
彼女は、笑顔でラノアに駆け寄り、そのまま彼女を抱きしめる。
「久し振りですわね……元気でしたか?」
「うん、元気だったよ。レフィは、どう?」
「ええ、私も元気でしたわ」
なんというか、とても情熱的な様子だ。二人も、随分と仲良くなったものである。私は、改めてそれを実感していた。
レフィリーナちゃんは、最初はツンツンしていたはずである。それが今は、これだ。すっかり骨抜きである。
ただ、それは仕方ないだろう。それ程に、ラノアは可愛いのだから。
「レフィ、喜ぶのは別に構わないが、少々はしゃぎすぎだ。アノンやクラーナもいるんだぞ? それを忘れていないか?」
「あっ……」
そこで、レクリアさんが現れた。
流石に、レフィリーナちゃんが飛び出したのには焦ったのだろう。少し慌てた様子である。
「も、申し訳ありません……別に、お二人のことを蔑ろにしているという訳ではないのです」
「ああ、別に私達は大丈夫だよ」
「ええ、私達のことは気にしないで続けてもらっていいわよ」
「い、いえ……」
レフィリーナちゃんは、私達に謝罪してきた。
だが、私もクラーナも特に気にしていない。せっかく久し振りに友達と再会したのだ。存分に喜べばいいと思う。
しかし、レフィリーナちゃんはラノアから体を離した。
基本的に、彼女は礼儀正しい。高貴な家の生まれなので、そういった面はしっかりと心得ているのだろう。
逆に言えば、それが乱れる程に、彼女はラノアとの再会を喜んでいるということだ。
彼女のラノアへの思いがわかり、なんだか嬉しくなってくる。
「三人とも、ようこそおいでくださいました」
「えっと……これから、数日間、お世話になります」
レフィリーナちゃんの言葉に、ラノアは頭を下げた。
そんな二人の様子も、なんだか微笑ましい。
こうして、私達はレクリアさんとレフィリーナちゃんの元でしばらく過ごすことになったのだった。




