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第24話 撫でるのが楽しくて

「それで、今からどうしようか?」


 手が治って、話もまとまった後、私はクラーナに話しかけた。

 今日は、もう出かけないため、暇なのである。


 ゆっくり寝てもいいし、何かして遊んでもいい。

 私は特に決めていないため、クラーナの意見を求めることにした。


「そうね、それなら……」

「何かな?」

「アノンに……して欲しいことがあるわ」


 私の質問に、クラーナはそう言ってきた。

 何か、私にして欲しいことがあるようだ。


「うん? いいよ、なんでも言って」


 できることなら、してあげたいと思い、私はそう答えた。

 きっとクラーナなら、そんなに無茶なことは言わないだろう。


「そう? それなら、言わせてもらうわ」

「うん」

「アノンに撫でてもらいたいの」

「撫でる?」


 クラーナの口から放たれたのは、そんなことだった。

 なんだか、今までに比べると穏やかな気がする。


「手が治ったから、撫でられるでしょう? だから、お願いしたいのよ」

「うん、それくらいお安い御用だよ」


 私は、クラーナの提案を受け入れた。

 恐らく、これも犬の獣人が持つ性質なのだろう。


 撫でるくらい、全然問題ない。

 今までに比べれば、恥ずかしさもましなはずだ。


「本当? それならよかったわ。それじゃあ、ベッドに行きましょう」

「ベッド? まあ、いいけど」


 どうやら、ベッドでするらしい。

 少し疑問に思ったが、私はベッドに向かうことにした。




◇◇◇




 私とクラーナは、ベッドの上で向き合って座っていた。


「まず、頭を撫でてもらえるかしら?」

「うん、それじゃあ、撫でるよ?」

「ええ……」


 その言葉を受けて、私はクラーナの頭に手を乗せる。


「あっ……」


 そこで、私は驚く。

 クラーナの髪は、とてもふわふわで良い触り心地だった。


「どうかしたの?」


 私が撫でないことで、クラーナが疑問の視線を向けてくる。

 つい驚いていたが、これでは駄目だった。早く、撫でるとしよう。


「あ、いや、なんでもないよ。撫でるね」

「それなら、いいけど」


 私は、クラーナの頭をゆっくりと撫でていく。

 やはり、いい触り心地だ。撫でているこっちも、気持ちいいくらいである。


「ん……」


 クラーナは蕩けた顔になっており、とても嬉しそうだ。

 その顔を見ていると、私も嬉しくなってくる。


「あ、アノン、耳の、つ、付け根を……」


 クラーナから、そんな声が聞こえてきた。

 クラーナの頭からは、犬のような耳が生えている。どうやら、その付け根を撫でて欲しいようだ。


「……ここかな?」

「あ、うん、そう、そこ……」


 言われた通り、耳の付け根を撫でてあげると、クラーナは甘い声をあげた。

 とても気持ちよさそうだ。


 やはり、その辺りは敏感なのだろうか。


「……アノン、ん、次……は、喉の辺りを、撫でて?」

「喉?」


 そこで、クラーナから新しい要望があった。


 喉を撫でるとは、中々珍しいというか、すごい提案だ。

 どうやればいいかわからず、私は手を止めてしまう。


「くすぐる、という表現の方が、正しいかも……」

「くすぐる……それなら」

「あっ……んっ、いい感じ、よ……」


 私は指を使って、クラーナの喉や顎をくすぐる。

 すると、クラーナは先程と同じような表情になった。

 どうやら、これで正しいようだ。


「んっ……」


 くすぐられて顔を緩めるクラーナは、とてもかわいい。

 先程から感じていたが、私もこの行為がとても楽しかった。


「あ、アノン、ん、次は……」


 そこで再び、クラーナの口が開かれる。

 また、何か要望があるようだ。


 私とクラーナの撫でる遊びは、もう少し続きそうだった。

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