表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーティを追放されたので、犬耳獣人少女と生きていく。  作者: 木山楽斗
afterafter

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

227/280

第95話 旅館の一室

 私とクラーナとラノアは、エルキーナさんとともに旅館の一室に来ていた。

 部屋は、畳と呼ばれる床に、ふすまと呼ばれる戸で作られているそうだ。私達にとって、あまり馴染みがない部屋には少しだけわくわくする。


「それにしても、本当に私も同部屋で良かったのですか?」

「もちろんです。まあ、せっかくですから、色々と話したりしましょう」

「……はい」


 エルキーナさんは、最初別の部屋に泊まろうとしていた。

 だが、私達が同じ部屋でいいと言ったため、こうして四人で部屋まで来たのである。


「ところで、エルキーナさんもヨウコさんの正体は知っていたのですか?」

「ええ、この辺りの人は、皆知っていますよ」

「そうだったんですね……」


 どうやら、ヨウコさんが狐の獣人であることは、この辺りの人にとっては周知の事実であるようだ。

 まさか、獣人がそんなに受け入れられている町があるなんて驚きである。


「私やラノアを見ても特に嫌な顔をしなかったことから、獣人に慣れていると考えても良かったのかもしれないわね」

「ああ……でも、それは私に注目がいっているからだと思っていたし」

「ええ、そうね。私も、そうだったわ」


 獣人に差別意識がないということは、もっと早くに気づけたかもしれない。私達を案内してくれた老人も、エルキーナさんも、彼女のお母さんも、クラーナやラノアに差別的な目を向けていなかったからだ。

 ただ、状況的に、私というガランの娘に意識が向いているため、二人のことを気にしていないと考えられた。それが自然であったため、私もクラーナも気にしなくなっていたのだ。

 最近は町を歩いていてもそれ程差別的な意識を向けられないことも、関係しているかもしれない。人々の意識が変わったことで、私達の意識も少し変わっていたという可能性がある。


「最近は、温泉の評判を聞きつけて、何も知らない人がたくさん来るようになりました。だから、ヨウコさんはああやって姿を変えているんです」

「姿を変える……魔法を自分にかけているということですか?」

「ええっと……本人は、確か違うものだと言っていたんですけど……」

「色々とあるんですね」

「ええ……そういうことになります」


 ヨウコさんとこの町の人々の関係は、私達によって嬉しいものだった。

 獣人に対する差別がなくなること。それは、私やクラーナが望んでいることだ。

 それが成し遂げられている町があるという事実は、私達に希望を与えてくれる。いつか、二つの種族が分かり合える日が来ると。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ