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パーティを追放されたので、犬耳獣人少女と生きていく。  作者: 木山楽斗
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第93話 旅館にて

 私達は、エルキーナさんとともにしばらく歩いて、町の近くにある旅館の前まで来ていた。

 ここは、この辺りでも有名な旅館らしい。なんでも、遠くからお客さんが来る程、人気がある所なのだそうだ。


「さて……女将さん、こんにちは」

「おや……」


 エルキーナさんに続いて、私達は旅館の中に入った。

 すると、一人の女性が目に入ってきた。背の高い美しい女性だ。


「エルキーナじゃないか。久し振りだね、元気にしていたかい?」

「はい、元気でしたよ」

「そうかい。それで、今日は、どうしたんだい?」

「お客さんを引っ張って来たんですよ」

「おや、それはありがたいね」


 エルキーナさんは、女将さんと親しそうに話していた。

 ここは旅館であるため、近くに家があるエルキーナさんは、そこまで利用することはない。案内してもらう前、私はそう思っていたのだが、どうやらそうではないようなのだ。

 なんでも、ここには温泉があるため、町の近くの人達もよく利用するらしい。エルキーナさんも、小さな頃はよくお母さんと来ていたそうだ。


「部屋は空いていますか? 一部屋でいいみたいなんですけど」

「ああ、空いているよ」

「それなら、よかった。最近は、お客さんが多いから少し心配だったんですよ」

「はは、大丈夫さ。増えたといっても、いっぱいになる程ではないよ。そもそも、ここまで来るのは結構大変だからね」

「まあ、それもそうですね」

「さて……」


 そこで、女将さんは私達の方に目を向けてきた。

 彼女は、ゆっくりと立ち上がり、私達に一礼してきた。その仕草は、どこか優雅である。


「ようこそお越しくださいました。私は、この妖魔館の女将、ヨウコと申します」

「えっと、私はアノン、こっちはクラーナとラノアです」

「アノン様、それにクラ―ナ様、ラノア様ですか……」


 女将のヨウコさんは、クラーナとラノアに視線を向けた。

 彼女は、獣人である二人を見ている。それによって、私は少し嫌な予感がした。

 多くの人達は、獣人に対して差別意識を持っている。もしかして、彼女もそうなのだろうか。

 しかし、エルキーナさんは彼女がそんな差別をするような人ではないと言っていた。だが、もしそうなら、この視線にはどのような意味が込められているのだろうか。


「皆様、どうぞごゆるりとお過ごしください。この妖魔館は、皆様を心から歓迎いたします」


 私が考えていると、ヨウコさんは再び一礼してそう言ってきた。

 その優雅で丁寧な立ち振る舞いは、本当に私達を歓迎してくれているような印象を与えてくるものだった。

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