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パーティを追放されたので、犬耳獣人少女と生きていく。  作者: 木山楽斗
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第86話 寝て起きたら

 私はクラーナとラノアとともに、ベッドに寝転がっていた。

 今日は、私が真ん中だ。クラーナの胸に抱かれながら、後ろからラノアにも抱きしめられるというこの状況は、なんともいえない幸福感がある。


「明日には、どうなっているのかしらね……」

「そうだね……」


 呟きながら、クラーナは私を自分の方に引き寄せてきた。

 その温もりが伝わってくる。同時に、その不安も伝わってきた。

 私は、元の姿に戻れるのだろうか。それは、確かに心配なことである。

 寝ている間に元に戻って欲しい。強くそう思う。小さな姿で良かったこともあるが、やはり元に戻りたいという気持ちは強い。


「寝る子は育つというのだし、大丈夫だと思いたいのだけど……」

「ね、寝る子は育つ? いや……まあ、そうなのかもしれないけど……」


 クラーナの言葉に、私は少しだけ困惑していた。

 確かに、私は今子供の姿である。だが、そうやって表現されるとなんだか複雑な気分だ。


「たけのこみたいに、アノンもぐんぐん育つんだね」

「たけのこ……たけのこか」


 ラノアの表現にも、少し複雑な気持ちになった。

 確かに、今の私から元の私になったら、それはたけのこばりの成長だろう。その表現は、的を射ているといえる。

 別に、私はたけのこのことは嫌いではない。でも、やっぱりそう言われるのは、なんだか微妙な気持ちだ。


「まあ、とにかく寝るとしましょうか。明日のことは、明日考えるべきでしょうし……」

「……そうだね」

「それじゃあ、お休みなさい、アノン、ラノア」

「お休み、クラーナ、ラノア」

「うん、お休みなさい、アノン、クラーナ」


 クラーナの言葉で、私達は眠ることにした。

 明日の朝、どうなっているのか。それは不安ではあるが、きっと治ると信じて、私は目を瞑るのだった。




◇◇◇




 私は、ゆっくりと目を覚ました。

 どうやら、もう朝が来たらしい。カーテンを突き抜けて差してくる光が、それを表している。

 意識が覚醒してすぐに、私は自分の体を確かめてみる。私は、元の体に戻っているのだろうか。


「……うん?」


 色々と調べてわかったのは、私の体は昨日とは違うということだ。だが、元に戻っているということではない。元の体と比べても、違いがあるのだ。


「ん……あら? アノン? その姿は?」

「あれ? アノン? ちょっと大きくなってる?」

「う、うん。そうみたい……」


 私の体は、昨日よりも成長していた。

 一歳か二歳か、よくわからないが大きくなっているのだ。


「……もしかして、あの魔物の力が少しずつ抜けてきているということなのかしら?」

「そうかもしれないね……そう考えるべきだと思う」


 クラーナの見解には、私も同意である。これは、魔物の力が少しずつ抜けていると考えるべきだろう。

 あの姿が十歳くらいだったと考えると、元の姿に戻るまでには一週間くらいかかるだろうか。そうだとしたら、結構長い時間を要するようだ。

 だが、姿が変化したというのは希望ができたということである。ずっとあのままの可能性もあったので、少しだけ安心だ。


「なるほど……つまり、これから私達は毎日違う年のアノンが見られる訳ね」

「そっか、それは少し楽しみかも……」

「あのね、二人とも……」


 クラーナとラノアも安心してくれたのか、軽口を叩いてくれた。

 とりあえず、元に戻れる見込みはできた。後は、時間が過ぎるのを待つだけである。




◇◇◇




 私が子供の姿になってから、数日が過ぎた。

 予想通り、私の体は日にちを増すごとに成長し、最終的には元の姿に戻ることができた。

 元の姿に戻れたことは、とても嬉しい。子供の姿で良かったことがなかった訳ではないが、やはりこの姿が私のベストだ。


「はあ、良かったわ。本当に、良かった……アノンが元に戻って」

「本当だね、良かったよ」


 クラーナとラノアも、私が元の姿に戻ったことをとても喜んでくれた。

 二人の言う通り、本当によかった。二人の喜ぶ姿を見ていると、心からそう思う。


「アノン、これからもよろしくね」

「よろしく!」

「うん、もちろんだよ、二人とも」


 クラーナとラノアは、それぞれ私の頬にキスしてくれた。

 私は、これからも二人と一緒だ。二人を支えられるように、これからももっと頑張っていくとしよう。

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