第76話 海の近くの別荘で
私達は、海でしばらくの間遊んだ。
泳いだり、ビーチバレーをしたり、色々とやって本当に楽しい一日だった。
今日は、ここにある別荘に泊まる。私とクラーナは、現在その別荘の一部屋にいる。
ラノアに関しては、レクリアさんとレフィリーナちゃんの部屋に泊まることになった。やはり、レフィリーナちゃんと一緒にいたいようである。
「ふう……なんというか、あっという間だったね」
「そうね……あっという間だったわ」
ベッドは二つ用意されていたが、私達は一つのベッドで寝ている。これは、通年通りのことだ。私達に、ベッドは一つでいいのである。
「ラノアも喜んでいたし、本当に来てよかったわ」
「うん、そうだね……確かに、よかった」
ラノアは、とても喜んでいた。海を見られて、友達と遊べて、私達とも遊べて、とても満足しているようだった。
ああいう顔をしてくれると、私達も嬉しくなる。ラノアの笑顔を見るのは、私達にとって、至福のことなのだ。
「さてと……そろそろ寝ないといけないかな?」
「あら? 本当にそう思っているのかしら?」
「ク、クラーナ……?」
私の質問に、クラーナは笑みを浮かべた。
その笑みの意味は、もちろんわかっている。
クラーナは、ゆっくりと私に顔を近づけてきた。そのまま、彼女の柔らかい唇が私の唇に当たる。
「んっ……」
「んっ……クラーナ、その……」
「何かしら?」
「あの……」
クラーナは、私の体に手を伸ばしてきた。
その手を私の服の中に入れて、ゆっくりと体を撫でてくる。
「ううっ……やっぱり、こうなるんだね?」
「……嫌なのかしら?」
「嫌じゃないけど……ここでは気が引けるというか……」
「でも、毎年のことのような気がするけど」
「毎年、どうなのかと思っているんだよ?」
こういう雰囲気になるのは、毎年のことである。私は、毎年本当にいいのだろうかと思っているのだ。
だが、結果的に私はいつも折れている。結局、私は心配しつつも、受け入れてしまうのだ。
「そもそも、ここはアノンの別荘ともいえるのだから、別に問題ないのではないかしら?」
「私の別荘ではないよ。確かに、親族のものではあるけど……」
「毎年特に何も言われていないのだから、大丈夫とも考えられないかしら?」
「いや、そうなのかな……?」
「そうなのよ……んっ」
「んんっ……」
クラーナは、私に再度口づけしてきた。
もう彼女は止まるつもりはないのだろう。
だんだんと、私もそういう気分になってくる。結局、私達はいつも通りなのだった。




