第71話 到着した面々
私達は、キーラさんの家が所有するプライベートビーチに来ていた。
既に、リュウカさん達もレクリアさん達も来ている。どうやら、私達が最後だったようだ。
「皆さん、遅れてしまって申し訳ありません」
「いや、気にするな。私達も今さっき着いた所だ。先に着いていた二人に謝っていたんだが……」
「私も気にするなといった訳さ」
私が謝罪すると、リュウカさんとレクリアさんが答えてくれた。
私は、前々から二人が似ていると思っていた。こうやって並んでいると、それを改めて実感できる。
顔も似ていなくはないが、二人が似ている所は、その性格と雰囲気だろう。
「レフィ!」
「あら」
私達がそんな話をしていると、ラノアがレフィリーナちゃんの胸に飛び込んだ。
彼女にとっては、大人達の話などは関係ない。ただめいいっぱい親友と会えた喜びを表現するだけなのだ。
「もう、あなたは仕方ありませんわね」
「クゥーン……」
「ふふっ……」
レフィリーナちゃんも、ラノアに抱き着かれて嬉しそうにしている。口では仕方ないといっているが、その顔は蕩けているので、非常にわかりやすい。
「嬉しそうだな?」
「なっ……お母様、からかわないでください」
「私も嬉しいよ」
「ラノア……もう」
ラノアの言葉に、レフィリーナちゃんは顔を赤くしていた。
基本的に、ラノアはとても素直である。その真っ直ぐな言葉は、彼女の心を大きく揺さぶったようだ。
「お熱いですわね……」
「キーラ? どうしたの? 急に?」
「いとこがあんな風に積極的なんですもの。私も見習わなければなりませんわ」
「え? いや、積極的なのはラノアなのでは?」
「細かいことは気にしてはいけませんわ」
ラノアとレフィリーナちゃんとのやり取りに、キーラさんが動き出した。サトラさんは困惑しているが、割といつものことなので、周りはあまり気にしていない。
「まあ、積もる話もあるけど、とりあえずは別荘に行こうぜ」
「あ、はい。そうですね」
「水着新調したんだってな? どんな水着なんだ?」
「それは、後のお楽しみということで」
「ああ、まあ、確かにその方がいいか」
リュウカさんの言葉で、私達は歩き始めた。
ここには、何度か来たことがある。プライベートビーチに別荘。そんなものを所有しているキーラさんの家は本当にすごいと思う。
「あれ? クラーナ? どうしたの? なんだか、怖い顔をしているけど……」
「アノン、あなたの水着は私のものよ」
「え? えっと……」
「はは、別に取りはしないよ」
私とリュウカさんとの会話を聞いて、クラーナは少し怒っていた。どうやら、私がリュウカさんに水着を楽しみにと言ったことが少し気に入らないらしい。
確かに、考えてみればあまりいいことではなかったような気もする。次からは、少し気をつけることにしよう。
それに、クラーナに何かフォローもしなければならない。そういう機会があればいいのだが。




